CHiCO×sana×ハニワの自由なカップリングナンバー

──そして両者ともにシングルのカップリングは、どちらも表題曲とは違ったインパクトの強い曲が収録されています。CHiCO with HoneyWorksの「これ青春アンダースタンド feat. sana」はすごく展開のややこしい4つ打ちダンスロックで。

CHiCO　1回聴いただけでは把握できないであろう複雑な曲です（笑）。何回か聴いてやっとメロディの進行がわかってきて、だんだん口ずさみたくなるみたいな。sanaちゃんと一緒にレコーディングしたんですけど、sanaちゃんはGomさんの特性を知ってるからすんなり受け入れられたらしいんです。私はなかなか把握できなくて。

寿　（資料を見ながら）膨大な歌詞の量……。

戸松　私も思った！

CHiCO　そうなんです。早口な部分が大変で。2番終わりでは曲調がガラッと変わったりして、Gomさん自由だなあと（笑）。

──Gomさんとしては、これは表題曲との関連性を考えず、自由に作ったんでしょうか。

Gom　シングルのカップリングって好きなんです。自由に書けるから（笑）。実は一応キャラソンではあるんですよ。いつも曲を作るときは映像をイメージするんですけど、この曲では2人のキャラクターがわちゃわちゃとギャグでケンカしているようなイメージで。

豊崎　sanaさんとのコラボはファンの人も楽しみにしているところでもあるから、期待値が高いですね。

CHiCO　はい。Twitterでカップリングの情報を公開したときは「待ってました！」「CHiCOさんとsanaさんでまたやってくれるのすごくうれしいです」って声をいただきました。

Gom　ライブで2人が歌っているときにすごく盛り上がっていたので、掛け合いの曲を増やしていきたいなと思ったんです。

スフィア、ついに結婚します！

──そしてスフィアのカップリング曲「愛に出会い恋は続く」は……これ、いわゆるウエディングソングですよね。

豊崎　そうなんです！ スフィア、ついに結婚します（笑）。すごくロマンチックな曲で、スフィアの中で一番かわいい曲になりました。

寿　これ、どういう絵を思い浮かべながら作ったんですか？

shito　まさに「ウエディングソング」を作りたいと思ったんです。スフィアにウエディングソングを歌わせたいっていう、ファンの願望というか（笑）。最初は怒られるかなと思ったんですけど（笑）、OKをいただいて。

高垣　「一分一秒君と僕の」が学生生活や友情を描いた曲だったので、カップリングはハニワさんとのコラボならではの恋愛ソングにしたいねってスタッフとも話していて。「どんな曲が来るんだろう。やっぱり高校生のキュンキュンするような恋愛ソングかな？」と思っていたら、「えっ？ 結婚？」みたいな。私たちももうアラサーで……私はサーですけど（笑）。

戸松　サーッ！ サーッ！

高垣　うるさいな（笑）。すごくリアリティのある結婚観というか、「こんな結婚だったら素敵！」という情景が浮かんでくる曲だなって。結婚情報誌を見ながらワクワクするみたいな……そんなことしたことないですけど（笑）、そんな憧れが詰まった1曲だなと思います。あと曲をいただいたときは、サビがすごく高かったので、4人がこの高音をユニゾンするとどうなるんだろう？って。そこも新境地でしたね。

──恋と愛の違いというのはよくある命題ですけど、「愛に出会い 恋は続く」ってすごくロマンチックな解釈だなあと思いました。

高垣　うん。超理想ですよね！ だって、結婚しても恋は続いてるってことですよね？

戸松　普通は逆ですよね。恋をしてから愛に変わるみたいな。

Gom　それを男2人が密室でこう……（笑）。

shito　寝癖を付けたまま書いてるんですよ（笑）。

ヤマコ　この曲に限らずですけど、2人は曲ができるとうれしそうに言ってくるんですね。「今回の曲……いいよ！」って。タイトルとか曲の内容について熱く語ってくれます。

戸松　スフィアが結成されたときからお世話になっているディレクターは、レコーディングで泣いてたらしいです（笑）。

高垣　娘を嫁にやるお父さんのような気持ちになったんでしょうね、きっと。

キャラクターと歌の距離感

──今日はせっかくの機会ですので、3者それぞれ何か気になっていること、聞いておきたいことなどはありませんか？

豊崎　あるあるある。CHiCOちゃんは曲によって声の質感も変わっていたり、いろんな歌のアプローチがあってすごいなと思うんですけど、いつも歌詞の主人公になりきって歌うんですか？

CHiCO　出てくるキャラクターになりきって歌ってます。でも最初の「セカコイ」（2014年8月発売のデビューシングル「世界は恋に落ちている」）は何もかもが生まれて初めての経験だったので、とにかく「CD音源なるものを作らねば」と必死でした（笑）。そこからシングルを3枚出させてもらって、アルバムも1枚作って、だんだん自分で「この曲ではこんなふうに表現したい」という欲求が出てきて。「恋色に咲け」はブロックごとに異なるキャラクターが出てくるので、歌詞の心境を1つひとつちゃんと歌ってあげないと全部のキャラが出てこないんじゃないかと思って、何度も歌い直しました。

高垣　その距離感がまた素敵なのかもね。役者さんが歌うキャラクターソングは演じるキャラそのものだと思うんですけど、CHiCOちゃんの場合は1人の歌手としてキャラクターの気持ちを描いてるんですよね。だからCHiCOちゃんの歌は、キャラクターのものでもあるし、聴いている人の心にも届いてくるんだと思う。あとさ……すごく綺麗になったよね。

CHiCO　えっ!?

戸松　どうしたの急に？ 怖い！（笑）

高垣　私、人の変化に敏感で、表情を見て「最近は調子いいのかな」「なにかつらいことがあったのかな」とかいろいろ想像しちゃうんですよ。CHiCOちゃんは最初に会ったときの印象と比べると、すごく綺麗になったし、どんどんアーティストとして洗練されているんだろうなって。歌で自分なりの表現をしたいという欲求が出てきたというのも、パーソナルな部分が充実していて、それが表情にも出ているんじゃないかなと思うんです。

shito　僕らもよく冗談のように言いますけどね。「アーティストっぽくなってきたね」って。でも実際すごく変わりましたよ。