意思表示するためにはっきり物事を言おう

──メンバーがトラックを作ることとか、ラップをすることって、3人にとって基本中の基本ですよね。そういう意味では、本作は「全く新しいスタイルにチャレンジしました」みたいな方向性のアルバムではないと思うんです。それはむしろ「AKATSUKI」のほうだと思うし。

KURO　確かにそうですね。でも、なんでこういうモードになってるんだろ？

──元々持ってる技法を少し変えてやってみる。ちょっとだけ自分の表現方法を変えてみる。そういうマイナーチェンジでこの先の大きな何かを生みだそうとしてるようにも思えます。

KURO　まあ、昔のほうがラップがうまかったっていうのが自分として許せないんですよね（笑）。絶対今のほうが進化してるはずだし、今、16小節ポンと渡されたときに、どうやって料理してやろうかなっていう挑戦心はありましたね。

MICRO　あと、「3RISE」全体には言えないんですけど、男臭さがあるものを作りたいっていう気持ちもありましたね。例えば「World Is Mine」はすごく好きな曲なんです。というのも、これまではどんどん柔らかい言葉を使う流れになってたんですね。主語にしても「僕」っていう言葉を使っていた。でも、普段の生活では「俺」って言ってるほうが自然だし、この曲では「俺」にしてるんです。それに、3人で上がっていくっていう思いがあるんだったら、何か意思表示するにしてもちゃんとはっきり物事を言おうと。そういう姿勢を打ち出す曲として、「World Is Mine」とか、あと「シグネチャーサウンド」は、今の自分たちにすごく必要だと思ってますね。

リスナーの歌いやすさを意識しないラップ

KURO　今、MICROの話を聞いて思い出したんですけど、今回は、ラップを易しくしないっていうのも自分に課してましたね。リスナーの歌いやすさを意識しないっていうこと。「これ歌えないでしょ？」「そんなのわかってるよ。これ難しいもん」っていう。それでいいと思うようになってきてるんですよ。今まではラップを一般にも浸透するようにとか、カラオケでも歌いやすいようにって試行錯誤してきた。それはそれで良かったと思うんですけど、いや、でも、ちょっと待てよと。そこでスキルを下げる必要はないんじゃないかと思うし、カッコよさで引っ張りたかった。

MICRO　わかりやすいラップが求められた時代があったし、そのときはそういうアプローチが正解だったかもしれないけど、今はリスナーの耳が十分肥えてるからね。

──じゃあ、より厳しく攻めようと。

KURO　そう、より厳しく。自分にも、そして他人にも（笑）。カッコいいものはカッコいいからついて来いよっていう気持ちで作ったところはありますね。

──そんなアルバムは「1+1」という曲で幕を閉じます。曲名は「ワンプラスワン」と読むそうですが、HOME MADE 家族の真骨頂である家族愛や友愛精神を歌った曲になっていますね。

MICRO　これは「家族 Fes. 2012」のテーマソングを作りたいなっていうところから書いた曲なんです。

KURO　けど、こういうテーマって本当難しかったですね。さっき言ったように、他人に厳しく、自分に厳しくっていう今のモードのときに、こういう曲をどういう顔をして歌うべきかっていうのはすごく考えました。僕の中では一番バースのリリックに手こずった。