新しいやり方ですごくいいものができた

──今回のアルバムは「ニューピース」を始めとして、雄飛さんが作詞作曲でベイビーさんが歌っている曲がいくつかありますよね。こういうパターンって今までは？

雄飛　ほぼなかったですね。

ベイビー　一緒に作ったり、Bメロ、Cメロまかされるとか、そういう感じはあったけど。

──今回こういう形をとったのはどういう判断からなんですか？

雄飛　やっぱり「ニューピース」がデカかったです。もともとCM用に頼まれた曲なんですけど。CMだと渡辺くんの声のほうが響くでしょ。でも話を聞くと、曲自体はどうも僕自体が書いたほうがいいような感じだったんです。打ち合わせのときに、何の条件もなくて「ホフディランっぽくていい曲をください」って言われたんですよ。で、渡辺くんは意外とこう見えて、CMの曲を作るのが上手い人なんで、そういうことはできないんです。渡辺くんが最初に書いた曲は「♪ふんわりー」みたいな（笑）。「ふんわりニュービーズ」の曲なんです。見事に。

ベイビー　ふんわり、新しい、肌触り。歌詞に全部入ってたね。

雄飛　もうそのまんま（笑）。

ベイビー　絵コンテにある単語、全部つめこんで。翌日持っていったんですけど「そういうのじゃない」って言われて。

──（笑）。

雄飛　要するに、変にCMソングっぽくしなくていいっていう話だったんですよ。だから曲自体はホフディランの王道ポップスみたいなものを僕が書いて、だけど歌は渡辺くんのほうが絶対にインパクトがあると思って。それで「ニューピース」で、そのやり方を試したらすごくよいものができた。

──なるほど。

雄飛　それがアルバムにつながってますね。すごく簡単に言っちゃえば、よいものができればなんだっていいんだね、って。

──CMのおかげで新しい扉が開けた？

雄飛　そう。曲を作ってるのが誰であろうと、渡辺くんが歌えばワタナベイビーだし、ホフディランなんです。だから極論を言えば僕じゃなくても。小林武史さんが作ってもそれでいい曲になればいい（笑）。

ベイビー　それで突然売れたらショックだよね。

雄飛　（笑）それはまあショックだけど。でも、めちゃくちゃ極論を言えば、全曲僕が作って、全曲渡辺くんが歌ったっていいと思うんですよね。それがその、最終的によいもの、ポップなものに仕上がるのであれば。まあ、もちろんその逆も含めてだけど。

──それはベイビーさんの曲を雄飛さんが歌うということ？

雄飛　うん、ただ渡辺くんの曲はね……。

ベイビー　難しいか。

雄飛　難しいですよね。いや、難しいっていうか30代の男が歌うと恥ずかしい。渡辺くんだから歌えてるけど。だって「♪ハチャメチャな恋がしたい」とか、もう思わないですからね（笑）。

──わはは（笑）。

雄飛　「♪恋カモン」とも思わないし（笑）。

──難易度高いですよね。

ベイビー　そう？ 結構簡単だけどね。

雄飛　そうですか（笑）。

雄飛が歌ってるのはヘンな曲ばっかり

──今回のアルバムに入っているベイビーさん作の3曲は、どれもインパクトありますよね。

ベイビー　全部新しい曲なんです。これは成長しそうだ、っていう曲を選んだつもり。

──雄飛さんは自分の曲についてはどうですか？

雄飛　そうですね、渡辺くんががんばって前に出てくれると、僕が遊べるっていうのはありますよね。例えば今回で言うなら、とりあえず「ニューピース」が1曲目にガーンと来るでしょ。

──名曲ですよね。

雄飛　うん、そうやって渡辺くんが名曲を歌い上げてくれれば、俺は逆に、わけのわからない、サンプリングだけの曲とかも入れられるようになるわけだし。渡辺くんががんばればがんばるほど、俺が違うベクトルでがんばれるっていうね。そういう意味では今回は、半分遊べるような余地もあって。

──確かに遊びの部分、余裕みたいなものは感じます。

ベイビー　雄飛が歌ってるのはヘンな曲ばっかりですもんね。

雄飛　おい（笑）。

ベイビー　思えばね。

雄飛　それ、文字にしたときによくない感じの発言ですよ。「雄飛が歌ってるのはヘンな曲ばっかり」って（笑）。

ベイビー　いや、なんていうの。革新的なね。

──でも遊びの部分があるから何度も聴けるんでしょうね。全部名曲でも疲れちゃいますし。

雄飛　うん。まあ全部名曲にできるかって言ったら、そう簡単にできないですけどね。

ベイビー　こういうのをバンバン量産したいんですよ。要するに、これ1枚で死んでもいい、とかっていうものとは違う。これからこういうスタイルでガンガンいきまーす、っていう、そのスタート地点にしたいですね。

──そうやって肩の力を抜いて、いい曲を定期的に出していってもらえたら嬉しいですね。

雄飛　そうやって続いていくほうがね、たぶんいいんじゃないかな。