ナタリー PowerPush - ホフディラン
新たなポップの扉を開ける絶頂ピースなニューアルバム
ホフディラン復活後第2作となるアルバム「ブランニューピース」がついに完成! 花王ニュービーズCMソング「ニューピース」を始め、ポップでピースな12曲が詰まった新作について、ワタナベイビーと小宮山雄飛の2人に話を訊いた。
取材・文/大山卓也 撮影/平沼久奈
「前よりいいね」って言われます
──約2年ぶりのアルバムですが、完成してみていかがですか?
雄飛 あのね、今回、周りの友達とかに聴かせると「前よりいいね」っていう人が多いんですよ。基本的に常に前よりよければ、まあどんどんよくなるでしょ。僕はやっぱりそれが一番大事だと思ってて。
──制作する側の意識としてはどうでしたか?
雄飛 前作は復帰第1作でしたからね、もう完璧に「こういうアルバムを作ろう」っていうコンセプトがあったんです。すごい明確に。いかにもホフっていう1枚。で、今回のは曲ごとにその都度作ってたんで、アルバムとしてどうなるかっていうのは正直全然見えてなかった。でも曲を集めてみたらすごくよくて。たぶんみんな納得いくものになったんじゃないかな。
──「前よりいい」というのは同感です。このアルバムはいい曲がたくさん詰まっているのに肩肘張らないというか、力みがないですよね。
雄飛 そうですね。なんか、今の社会とうまく混じるようなものにしたかったんですよ。これ1枚でおなかいっぱいになるんじゃなくて。
──隙間がある感じ?
雄飛 うん。僕らが例えばものすごい決定盤を作ろうとして、いろんな自我みたいなものを詰め込むのは簡単だけど、リスナーにしてみたら「別にそんなにいらねえ」って話だろうと思ってて。聴いてるほうはいろんな曲をシャッフルして聴いてたりして、その中の1曲に「ニューピース」があるわけですよ。CD屋でいろんなCDがある中の1枚として聴くわけで。そこにはまったときに最高のものでありたいっていう感覚が、それこそiTunes以降はすごく強くなりましたね。だから渡辺くんにもレコーディング中にiTunesを見せて。
──見せて(笑)。
雄飛 今の人はこうやって曲を買うんだよ、と。
ベイビー 昔LP買ってた者としては信じたくない光景でしたけど。
雄飛 もちろん、アーティストとして詰め込むべきものはちゃんと詰め込むんですけど。
ベイビー でも曲順とか決めるときにあんまり悩まなくなったっていうのはありますね。
ホフディランは得な立ち位置
──でも、そういう姿勢のおかげかどうかわかりませんけど、このアルバムは何回も飽きずに聴ける気がします。これに比べると前作はちょっと重さというか、気負いみたいなものがあったのかな、と感じたり。
ベイビー うん、そういう部分は多少あったし。あとは復帰ムードの「おめでとう」っていうのに甘えてる感じもありましたね。
雄飛 (笑)。
──今回はごく普通の、平熱のホフディランですよね。
雄飛 本当にもう気負いはないですよ。あの、渡辺くんってちょっと得する性格でしょ。なんか、なにやっても許されるみたいなところがあるじゃない。
ベイビー 遅刻とか。(※この日ワタナベイビーは約20分の遅刻)
雄飛 そう、遅刻も許されて(笑)。いや、まあ許すしかないしね。渡辺くんに何か制裁を加えたところでしょうがないからね。
──(笑)。
雄飛 だからホフって、あの、ちょっと話が飛んじゃうかもしれないけど。一番最初デビューしたときに、俺がすごく面白いなって思ったのは、どこかのレビューで、その頃アメリカでちょうどチボ・マットが出てきたときで、なんかアメリカにおけるチボ・マットと日本におけるホフディランは似ていると。なんか知らないけど、あいつらは許すしかないっていう空気がある、と。
──わかります(笑)。
雄飛 いいとか悪いとかっていうのと別に、なんかそういうムードがあるみたいで。それは確かに得な立ち位置だと思うんです。で、たぶん僕がソロでやってたりするとそんなことないんだけど、渡辺くんとやってるホフディランって、やっぱりなんか「あり」なんですよ。だからあまり心配していないし、ホフディランはなんとなくこのままやっていけるんじゃないかな、という楽観はありますね。職にあぶれないでこのままいけると助かるなあ、みたいな(笑)。
CD収録曲
- ニューピース
- 悩める球体
- 恋はハチャメチャ
- HI POWER
- LOW POWER
- フラット
- was
- 恋カモン!
- 君の名は
- 恋人たち
- グリーン
- カジディラン≡
初回盤特典DVD
- ニューピースPV
- 恋人たちPV
- 特典映像 ニューピースPV(マルチアングル)
ホフディラン
ワタナベイビー(Vo,G)と小宮山雄飛(Vo,Key)の2人組。1996年にシングル「スマイル」でデビュー。メンバー2人が作詞作曲・ボーカルを担当するユニークなスタイルと、それぞれの個性を生かしたポップな音楽性で幅広い人気を集める。2002年11月活動休止。それぞれのソロ活動などを経て、2006年9月に日比谷野外音楽堂のライブで活動を再開。2007年6月にアルバム「遠距離恋愛は続いた!!」を発表した。