ナタリー PowerPush - Hi-STANDARD
難波章浩&横山健が明かすハイスタとAIR JAM再始動への道のり
僕らはこういうことをアピールするために立ち上がった
──ハイスタは昔も今も、非常にファンからの信頼度が高いバンドだと思います。それって、きっとファンとのつながりを重要視するからであって、だからこそ当時のファンも最近ハイスタを知った若い子たちも目の前にいる3人のメンバーのことを信頼できたんじゃないでしょうか。
横山 そうだったらうれしいですね。
難波 信用できる大人がいるんだよって、若い子たちにも知ってほしいですね。やれ政治家の言ってたことは全部嘘だったとか、世の中の大人って信用できないとか、今は小学生でも感じてると思う。でもハイスタを観て、大人になることも悪くないよって思ってもらいたいし、夢を持ってもらいたいなって思いますね。そのためだったら、ハイスタだけじゃなくて、みんなどんどん再結成していいと思うんですよ。だって、再結成することで当時ファンだった人たちはまた夢が持てるわけだし。
横山 それで「今日あいつ、あのバンドの復活のニュースを聞いたから元気だなー」ってなってさ。それができればミュージシャンにとっては最高じゃないですか。
難波 ハイスタの場合はリアルに直接話し合って、誰にも頼らずに自分たちで情報を発して、誰にも頼らず自分たちでイベントを作ってるわけですから、できないことなんて何もない。その規模が大きかろうと小さかろうと、もっと次につなげていこうよって思うんだよね。全員とは言いませんけど、日本のお役人さんはバカな僕でもわかるくらいに頭が悪すぎる。ましてや嘘をついて「やります」とか言ってやらないし。
横山 100歩譲って、「やります」っていうのがそのときは嘘じゃなかったとするじゃない。でもできなくて、結果嘘になっちゃったとき、みんな男として情けないと思わないのかね?
難波 ね? できないんだったら約束しちゃダメじゃん。
横山 政治ってそういうものなんだって言うんなら、だったらそれはあり方が間違ってるわけだし。日本はコンセンサス社会って言われていて、まずみんなの合意を得てから何かを発するという国民性があるけど、それができない時期なんだったら、みんな頭が良いんだからもうちょっとほかのことを考えるべきなんじゃないかな。
難波 ちゃんと僕らの気持ちや意見も聞いてもらいたい。本当に大変なことが起こったんだから、国民投票をしないとダメだよね。
横山 そうだね。だって原発が必要か否かなんて僕らが生まれる前から議論してるわけでしょ? そんなの僕らの世代が必要って決めたわけじゃないじゃん。でも当たり前のようにあったものが大きなトラブルを起こしたら、そこでみんなの意見を聞いて修正していかなきゃいけないよね。
難波 どこの家庭でもどこの集団でもやることなのに。こんな有事の際にはどこでもすることだし、それかトップの人間がしっかり決めてくれるんじゃないかな。それができない日本ってなんなの?っていう感じだよね。すごく舐められてる気がする。
横山 みんなもっと声を上げるべきだよね。ハイスタとしてステージに立つときはこんなことをあまり言わないけど、僕らが何のために立ち上がったかって言ったら、こういうことをみんなにアピールするためなんです。だからこれからも、いちミュージシャンとして、1人の親として、人間として言っていきたいですね。
ハイスタがない状態より今のほうが気持ち的に楽
──前回の「AIR JAM 2000」から今回の「AIR JAM 2011」のリハーサルまで、3人で音を合わせることは一切なかったんですか?
横山 「AIR JAM 2000」の直後は、3人で練習してた時期もちょこちょこあったんですよ。でも、それがだんだんスタジオに入らなくなって。
難波 それ以降は昨年まで一切なかったよね。
──となると、10年ぶりに一緒に演奏するって感覚がどういうものなのか、すごく気になるんですが。
難波 いや、ワクワクでしたよ(笑)。
──久しぶりに音を合わせていろいろ感じることはありました?
難波 「これこれ!」とも「新しい!」とも思ったしね。
横山 「これこれ!」っていうのはすごくあったな、「こうだったよな」って。この曲を作るときにスタジオでこういう話をしたなとか、アレンジをまとめるときに会話を思い出したりとか、曲ごとにいろんな思い出がフラッシュバックしたよね。
──DVDにも収録されてますが、ライブの合間にチューニングしてるとき、昔はこうやってチューニングしたって話をしてましたよね。
横山 一緒にやって、昔のことをすごく思い出すようになったし。曲ごとに必ずエピソードが1つはあるみたいな(笑)。そりゃね、20代の頃は毎日ずっと一緒だったわけですから。
難波 活動休止になってハイスタがない状態で生活してるより、お互いにコミュニケーションが取れてる今のほうが気持ち的に楽だよね。ハイスタとして演奏できるだけでなくて、過去のことも思い出してもいいんだって。自分の中で「前に進まなくちゃ、新しい世界を作らなくちゃ」って思いすぎてた時代もあったので、今は新しい世界を作るっていう気持ちとHi-STANDARDとしてやっていくってく気持ちが同居してるんです。
CD収録曲
- STAY GOLD
- MY HEART FEELS SO FREE
- SUMMER OF LOVE
- CLOSE TO ME
- DEAR MY FRIEND
- WAIT FOR THE SUN
- TEENAGERS ARE ALL ASSHOLES
- FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL
- CAN'T HELP FALLING IN LOVE
- STARRY NIGHT
- BRAND NEW SUNSET
Hi-STANDARD(はいすたんだーど)
難波章浩(Vo, B)、横山健(G, Vo)、恒岡章(Dr)からなるパンクロックバンド。1991年から活動を開始し、都内を中心にライブ活動を展開。1994年にミニアルバム「LAST OF SUNNY DAY」をリリースし、知名度を高める。1995年に「GROWING UP」、1997年には「ANGRY FIST」という2枚のフルアルバムをメジャーレーベルから発表。これらの作品は海外でもリリースされ、好セールスを記録した。また、この時期から海外でのライブ活動も開始。1997年には主催フェス「AIR JAM」をスタートさせ、日本のパンクロックシーンに大きな影響を与えた。1999年に自主レーベル「PIZZA OF DEATH RECORDS」がメジャーから独立し、第1弾作品としてアルバム「MAKING THE ROAD」をリリース。本作はインディーズとしては当時異例のミリオンヒットを達成した。その後も国内外で精力的なライブ活動を続けたが、2000年の「AIR JAM 2000」を最後に活動休止。メンバーはそれぞれソロやバンドで音楽活動を続けた。
約11年におよぶ空白の時間を経て、2011年4月に難波、横山、恒岡がTwitter上で3人同時に「9.18 ハイ・スタンダード AIR JAM。届け!!!」とツイート。そして翌5月には、9月18日に横浜スタジアムで東日本大震災の復興支援を目的とした「AIR JAM 2011」の開催と、Hi-STANDARDがライブを行うことが明らかになる。国内外15組のアーティストが出演したこのフェスで、ハイスタはヘッドライナーとして11年ぶりにライブを敢行した。2012年2月にはこの日のライブを完全収録したライブDVD「Live at AIR JAM 2011」をリリース。同年秋には東北で「AIR JAM」を開催することも発表されている。