ナタリー PowerPush - 平野綾

より“vivid”に より“私っぽく”

ファンの求める“平野綾の振り幅”と私の中の“振り幅”

──“ニュー”アルバム「vivid」はまさにその“新しいこと”。それでもやっぱりちゃんと“平野綾の新しいアルバム”になりましたね。

そうですね。ユニバーサルに移籍して最初に出させていただいたコレクティブアルバム「FRAGMENTS」はいろいろなクリエイターさんの「平野綾にこれをやらせてみたら面白いよね」っていうアイデアを集結させたもので、その後出したシングルもそうだったんです。今回はオリジナルアルバムということで、今私の中にある、ファンの皆さんに対する「ありがとう」の気持ちを込めたアルバムにしようというのがまず真っ先にあったんです。

──ANSWRをはじめとしたクリエイター陣に制作を委ねた「FRAGMENTS」とは違って、平野綾の“オリジナル”な感情である感謝を伝えるアルバムにしたかった?

はい。ファンの方々が私に何を求めてるんだろう?と考えたとき、まず思い浮かんだのが、ロックだったりとかパンクだったりとか、元気な曲で。実際リクエストも一番多かったんです。でもそれだけではなく、アニメのキャラソン的なものを求めている方や「FRAGMENTS」のようなコンセプトの明確な作品が好きな方もいます。今回は私がロックを歌うのをずっと待っていてくださった方々へ「ありがとう」を届けたいところからスタートしたんですね。

──そうやって音楽的なキャリアを集約してみたら「Let's Go!」のような00年代以降のオルタナティブパンクや、スウィング調の「ダブル」、ボサノバテイストの「のんびりしましょ」、ブギーのリズムの「Logic Girl」、AORっぽい洒落たエレピから始まる「光の果てに」、ちょっとセクシャルなダンスチューン「TOxxxIC」が出揃った、と。

“平野綾の振り幅”みたいなものを1枚のアルバムの中に詰め込んじゃった感じですね(笑)。

──確かに「vivid」は単にファンのニーズに応えただけじゃない。“平野綾自身の振り幅”を感じたというか、聴いていて「この人、オルタナパンクもスウィングもボサノバもAORも好きなんだろうな」って気はしました。どれも平野さんちのCD棚やiTunesにあるジャンルなんだろうなって。

「FRAGMENTS」ではクリエイターさんの作ってくださった楽曲のイメージに自分がどれだけ近づけるかっていう挑戦をしてみたんですけど、今回は1から「こういう曲がほしいです」ってお願いをさせていただいていて。ライブでファンの方とコミュニケーションをとらせていただく中で「あれっ、きっと“こういう曲”が必要なんだろうな」という答えが見えていたので、自分の好きな音楽の中でもそれに合うものを当てはめながら作っていった感じなんです。だから今回のアルバムって実は「すごく新しいチャレンジをしました!」みたいな感じのものではなくて。でも、今の自分だからこそ生み出せた。そういうアルバムなんです。

「RIOT GIRL」ならぬ「Logic Girl」な感じ

──その「こういう曲がほしいです」の「こういう曲」って?

平野綾

「より人が演奏している感じの曲」ですね。以前からずっとそうだったんですけど、常に「ライブでファンの方たちと一緒にノリたいからこういう曲を作りましょう」っていう作り方をしていたので、今回のアルバムは特にライブ感があると思います。「Let's Go!」や「もっともっと」なんかはまさにそうですし、「ダブル」や「のんびりしましょ」も、意外かもしれませんがライブを想定した曲です。どの曲も人間くさくしようということは意識しました。あとさっきもお話したとおり、今の平野綾に合うものにしようっていうことも。

──「今の平野綾」と言う通り、以前に比べて、サウンドも歌詞も大人っぽいですよね。スウィングやボサノバを取り入れたのは顕著な例だし、同じパンクナンバーでも「Let's Go!」や「Up To Date」や「もっともっと」って1stアルバム「RIOT GIRL」の収録曲に比べるとかなり渋めだったりしますし。

「RIOT GIRL」ならぬ「Logic Girl」に成長しました(笑)。

──“暴動少女”が“論理的少女”に(笑)。

ちょっと大人になりました(笑)。今の私なら「まだまだ行くぞ! イエーイ!」って勢い任せに叫ぶだけじゃなくて「今までこういうふうに歩んできました」「これからは一緒にこういうふうに歩んでいこうよ」ってみんなに呼びかけられるような気がしていて。26歳ならではの言葉を歌ったから1stアルバムよりも年齢感が上がって聞こえるんだと思います。

ニューアルバム「vivid」 / 2014年2月19日発売 / UNIVERSAL SIGMA
初回限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / UMCK-9658
通常盤 [CD] / 3059円 / UMCK-1471
CD収録曲
  1. vivid(inst)
  2. Let's Go!
  3. Up To Date
  4. Promise
  5. TOxxxIC
  6. ダブル
  7. 星屑ガランドウ
  8. のんびりしましょ
  9. Logic Girl
  10. もっともっと
  11. Keep On Runnin'
  12. 光の果てに
初回限定盤DVD収録内容
  1. Aya Hirano Special LIVE 2013 -Promise-
    • TOxxxIC~スターゲイズ・ラブ
    • DIFFUSION~FRAGMENTS
    • 無防備なリフレイン
    • Sunday~BRIGHT SCORE
    • LOOP~たからもの~Up To Date~LOOP
    • PizzzzzzzA!!!!!!!
    • Promise
    • 光の果てに
    • 星屑ガランドウ
    • バックステージ映像
  2. ジャケット撮影時のオフショット映像
平野綾(ひらのあや)

1987年、愛知生まれの声優・歌手。1998年に児童劇団に入団し、ドラマやCMに出演。2006年に話題アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の涼宮ハルヒを演じ、大ブレイクを果たす。その後も「DEATH NOTE」「らき☆すた」「NANA」といった話題作に出演し、アニメ界を代表する存在に。その一方で2006年にはシングル「Breakthrough」でCDデビューも果たす。以来、ベストアルバム「AYA MUSEUM」まで10枚のシングルと、2枚のオリジナルバム、1枚のベストアルバムをLantisよりリリースし、2012年にユニバーサルシグマに移籍。ANSWRらとともに制作した“コレクティブアルバム”「FRAGMENTS」や、ブリトニー・スピアーズのクリエイティブチームや八王子Pとともに制作したシングル「TOxxxIC」などの話題作をリリース。また2013年にはシングル「Promise」を、2014年2月にはオリジナルアルバム「vivid」を発表した。