ナタリー PowerPush - 平野綾
より“vivid”に より“私っぽく”
平野綾のニューアルバム「vivid」がリリースされた。
「vivid」はユニバーサルシグマ移籍後初、そして2009年の「スピード☆スター」以来、実に4年3カ月ぶりとなる平野のオリジナルアルバム。今彼女が歌いたい言葉、奏でたいサウンドをテーマに制作された、オルタナティブパンク、ハードなダンスチューン、スウィング、ボサノバなど、まさに“vivid”な12曲が収録されている。平野は今、これらさまざまな色彩を手にファンに何を伝えたいのか。話を聞いた。
取材・文 / 成松哲
平野綾のタスク管理術
──2012年5月、アルバム「FRAGMENTS」リリース時のインタビュー企画(参照:平野綾「FRAGMENTS」インタビュー&全曲解説)にご登場いただいてから今日までのナタリーの記事を「平野綾」をキーワードに検索してみたら、まあいろんなネタがヒットしまして(笑)。
そうですか?
──ええ。平野綾名義での音楽活動の記事はもちろん、ゆずと一緒に「HUNTER×HUNTER」曲を作ったこと(参照:ゆず、映画「HUNTER×HUNTER」限定ユニットに楽曲提供)に代表されるアニメ関連のニュースもあれば、指原莉乃さんの主演映画に出演するというもの(参照:指原莉乃主演「劇場版ミューズの鏡」ビジュアル初公開)もあったりして。
あっ、そっか。そういうのもあるんですね。
──しかもテレビのバラエティ番組にも出てるし、去年はミュージカル「レ・ミゼラブル」にも出ていて。で、質問なんですけど、こんなに忙しくしてると疲れません?(笑)
「『FRAGMENTS』を出してから2年近くいろいろなお仕事をやってきたなあ」「凝縮された2年間だったなあ」とは思いますけど、疲れてはいないですね。よく「いろいろなお仕事をしていると頭の中がゴチャゴチャになりませんか?」と聞かれるんですけど、それもなくて。アフレコ、ラジオ、稽古、撮影、レコーディング……みたいなスケジュールの1日もあるんですけど、自分の中のスイッチをうまく切り替えられているというか。声優のお仕事のときには頭と喉のこの部分を使うんだけど、舞台のときにはまた別の部分で考えてっていう棲み分けがうまくできているんですよね。
──昔からそういうタイプでした? 子供の放課後だって忙しいっちゃあ忙しいじゃないですか。お稽古ごともあるだろうし、宿題もあるだろうし、友達と遊ぶ約束もしてるだろうし。
確かに子供の頃から忙しかったかもしれません。1日に2つずつぐらい習いごとが入っていて、宿題もやって……。友達とはそんなに遊ばなかったんですけど(笑)。
──お友達とも仲良くしてください(笑)。
外で遊ぶより本を読んでいたかったので(笑)。でもそうやって予定が詰まることに慣れていたから、忙しさが苦にならないのかもしれないですね。子供の頃、たくさん宿題が出ると全部机の上に並べて一気にやっていたんですよ。ペンを交換する時間がもったいないから、シャーペンと赤と青のボールペンを右手で一気に握っておいて、手の中でその3本をクルクル回転させながら使い分けしていました。3色ボールペンを使えば早いし、1本で済むのに(笑)。大人になってからさまざまなジャンルのお仕事に関わらせていただけるようになって、頭の中の切り替えの速度が上がったんだと思います。
期待されないなら、この仕事をやる意味はない
──“声優・平野綾”についても聞かせてください。最近子供の憧れの職業の上位に声優が挙がったり、声優を目指すことを理由にアイドルグループを卒業する子が出てきたりしていますよね。で、そういう子たちに好きな作品を聞くと「涼宮ハルヒの憂鬱」や「らき☆すた」の名前が当然のように挙がるわけで。そうやって誰かに憧れられるのってどういう気分のするものですか?
声優ってキャラクターあってのものなので、そこは別物として考えています。ただ、もしそれらのアニメから私を知って声優の道に興味を持ってくださった方がいてくださるならそれは本当にありがたいです。
──憧れや期待が重くなることは?
ないです。ずっとこういう環境、芸能の世界に身を置いているので期待していただけるようにがんばるのが当たり前というか。期待されないならこの仕事をやる意味はないと思うので。最初の話にもありましたが、私はさまざまなジャンルのお仕事に携わらせていただいているので、アニメで私のことを知ってくださった方はもちろん、歌、テレビ、ミュージカルで初めて知ったとおっしゃってくださる方もいて。そういう皆さんに楽しんでいただくためにも、常に新しいことに挑戦していかなければと思っていますし、そういう私を見て“面白いな”と思っていただけるなら、それはすごくうれしいことなんです。音楽活動はその“面白いな”と思っていただくための入り口の1つ、しかも大きな1つだと思います。
- ニューアルバム「vivid」 / 2014年2月19日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / UMCK-9658
- 通常盤 [CD] / 3059円 / UMCK-1471
CD収録曲
- vivid(inst)
- Let's Go!
- Up To Date
- Promise
- TOxxxIC
- ダブル
- 星屑ガランドウ
- のんびりしましょ
- Logic Girl
- もっともっと
- Keep On Runnin'
- 光の果てに
初回限定盤DVD収録内容
- Aya Hirano Special LIVE 2013 -Promise-
- TOxxxIC~スターゲイズ・ラブ
- DIFFUSION~FRAGMENTS
- 無防備なリフレイン
- Sunday~BRIGHT SCORE
- LOOP~たからもの~Up To Date~LOOP
- PizzzzzzzA!!!!!!!
- Promise
- 光の果てに
- 星屑ガランドウ
- バックステージ映像
- ジャケット撮影時のオフショット映像
平野綾(ひらのあや)
1987年、愛知生まれの声優・歌手。1998年に児童劇団に入団し、ドラマやCMに出演。2006年に話題アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の涼宮ハルヒを演じ、大ブレイクを果たす。その後も「DEATH NOTE」「らき☆すた」「NANA」といった話題作に出演し、アニメ界を代表する存在に。その一方で2006年にはシングル「Breakthrough」でCDデビューも果たす。以来、ベストアルバム「AYA MUSEUM」まで10枚のシングルと、2枚のオリジナルバム、1枚のベストアルバムをLantisよりリリースし、2012年にユニバーサルシグマに移籍。ANSWRらとともに制作した“コレクティブアルバム”「FRAGMENTS」や、ブリトニー・スピアーズのクリエイティブチームや八王子Pとともに制作したシングル「TOxxxIC」などの話題作をリリース。また2013年にはシングル「Promise」を、2014年2月にはオリジナルアルバム「vivid」を発表した。