日向坂46「絶対的第六感」インタビュー 丹生明里×山口陽世|激動の2024年にメンバーは何を思う? (2/3)

選抜制度導入のポジティブな変化、原点・けやき坂46のがむしゃらさ

──前作「君はハニーデュー」で、日向坂46に初めて選抜制度が導入されました。「選ばれないメンバー」が出てくる一方で、アンダーメンバーによる「ひなた坂46」で単独ライブを行うなど新しい見せ方もできたり、決してネガティブな面だけではない変化があったと思うんです。メンバーの皆さんにもきっといろんな捉え方、受け止め方があったんじゃないかと思いますが、お二人にとってはいかがでしたか?

丹生 まさにおっしゃる通り、より層を厚くしてくれたというか。もちろん、みんなそれぞれに思うデリット、デメリットが気持ちの面でもあったと思うんですけど、一番「いい変化だな」と感じたのがひなた坂46のライブを観たときで。メンバーそれぞれに当たるスポットライトの量が変わったので、「この子ってこんないい一面があるんだよ」とより深いところまで伝えられるきっかけになったなと感じています。

丹生明里

丹生明里

山口 私は選抜に入れなくて、最初はマイナスな気持ちが大きかったんですけど、活動していくうちに……選抜のみんながテレビ番組などに出演してどんどん日向坂46を知ってもらえる活動をしている中で、ひらがなは単独ライブで個々の魅力をたくさんの方にアピールできる機会をもらって。これからも選抜制度は続いていくので、1回目をどういうものにしていくのか、いろいろ話し合いました。昔、けやき坂46(日向坂46の前名義)時代にあったがむしゃらさとか、原点の部分を日向坂46がもう1回見せることが、ひなた坂46ならきっとできるんじゃないかなって。そういう意味ではすごくプラスの面が大きいと思います。

──なるほど。あえてひらがな表記を継承しているのには、そういう意味合いがあるんですね。けやき坂46を経験していない山口さんにはプレッシャーもありそうですけど。

山口 すごく重いものを受け取りました(笑)。

──ひなた坂46のみが歌う楽曲というのもシングルのカップリングとしてレパートリーが増えていくでしょうし、まさに層の厚みが表現される形になるのかなと思います。

丹生 メンバーそれぞれのいい面が今までよりたくさん見られるようになると思うので、そこはすごくうれしいですね。

フレッシュなWセンター、これまでと違うフォーメーションダンスで魅せる「絶対的第六感」

──前作「君はハニーデュー」が明るくさわやかな“ザ・日向坂46の表題曲”といった印象だったのに対し、今回の表題曲「絶対的第六感」はちょっとクールな曲調で、かつラテンの要素も入った情熱的な部分もあって。

丹生 そうですね。ジャンルとしては「ってか」(2021年10月発売の6thシングル)に近いですかね。めちゃくちゃカッコよくて、音源が出てから毎日聴いてます。すごくテンションが上がるし、ライブでまた化けるのかなーという期待もあって。

山口 私もすごく好きで。MVを観たときは「めちゃくちゃかわいいじゃん!」と思いました。メンバーみんなのよさが表現されていて、素の笑顔がけっこう出てますよね。

丹生 うんうん。

──自撮り動画を生かしたラフなシーンとパキッと踊るダンスシーンの組み合わせという、セットを組んで世界観を作り上げるタイプのミュージックビデオとは違った仕上がりですね。

丹生 ダンスシーンのTシャツにジーパンという衣装は私たちにとってすごく新鮮でした。MVは「ダンスを見せる」というのがテーマになっていて。「ドレミソラシド」(2019年7月発売の2ndシングル)とかと比べるとわかりやすいと思うんですけど、今までの曲はフォーメーションがサビの中でもどんどん変わるものが多いんです。でも「絶対的第六感」ではサビのダンスは一切動いてない。ほかの場面では笑顔を見せて、サビではパキッと踊る、という見せ方は今までのMVとも違うし、カッコよく決まってるなと思いますね。

山口 ダンスシーンを観たときは「うわ、足元難しそう~」って思いました(笑)。ライブでのパフォーマンスも楽しみにしています。

──フォーメーション全体の大きな動きよりも、手足の細かい動きがすさまじく大変そうですよね。

山口 足が絡まりそうですよねえ(笑)。

丹生 MV撮影で初めて、振り入れというよりしっかりとしたダンスレッスンがありました。練習の段階からすごく新鮮で、教えてくださったダンサーさんからも「日向坂46のダンス力を上げよう」という気合いをすごく感じました。楽しかったですね。

──「絶対的第六感」では正源司陽子さん、藤嶌果歩さんという四期生の2人がグループ初のダブルセンターを務めています。丹生さんと山口さんから見たセンターの2人はどんな印象ですか?

山口 かわいくて元気。ふわふわした印象のかほりん(藤嶌)と元気な正源司という真逆の印象の2人が、お互いに補い合っているのがいいなあって思います。2人は同級生で、高校3年生っていう若い子たちなので、このシングルをどうやって引っ張ってくれるのか楽しみです。

山口陽世

山口陽世

──タイプは違えど無邪気な2人がセンターに選ばれた、という印象です。

山口 そうです、そうです。まさに。でも、無邪気なようで芯は意外としっかりしているので……。

丹生 やるときはやる女。アイドルとしてのポテンシャルをすごく感じさせてくれます。これからの2人のアイドルとしての姿を見るのが楽しみだな、とわくわくさせてくれる存在なので、見守っていきたいと思いますね。

日向坂46の幅を広げるひなた坂46のカップリング曲

──ひなた坂46は全仕様共通のカップリング曲「君を覚えてない」と、初回仕様限定盤TYPE-D収録の「雪は降る 心の世界に」という2曲が用意されました。こちらは山口さんにたっぷり語っていただきたいですが、まずは「君を覚えてない」から。

山口 表題曲とはまた違った、かわいい曲で。歌詞が本当に好きです。タイトルを聞いたときは「どういうことだろう?」と思ったんですけど、歌詞を読んでみたら同窓会での隠している気持ちがかわいらしく描かれていて。センターが宮地すみれちゃんで、すごくぴったりな曲がいただけたなって思いますね。

──前作のインタビューが宮地さんと上村ひなのさんで、上村さんは「日向坂46史上最高のアイドルソングが来たら、ぜひ宮地にセンターに立ってほしい」とおっしゃってました(参照:日向坂46「君はハニーデュー」上村ひなの×宮地すみれインタビュー)。

山口 いわゆる王道のアイドルソングとは違う、ちょっと切なめの曲調になりました。でも、そのはかなさがすみれちゃんに似合ってるなあって。MVは「隔離された場所から出て広い世界を見る」というテーマがあって、前半の美術館のようなおしゃれめな世界観と、カラフルな衣装を着て草原で踊る最後のサビのパートで印象ががらりと変わるので、そこに注目してほしいです。

──MVのムードも全然違いますし、選抜制度によってシングルが「日向坂46 VS ひなた坂46」としても楽しめるようになったとも言えます。

丹生 いや、ホントに。前作の「錆つかない剣を持て!」とも全然違うテイストですし、それぞれどんな曲が来るのか、楽しみが増えましたね。

──ひなた坂46のもう1つのカップリング曲「雪は降る 心の世界に」は1990年代の渋谷系ポップスにも通じるおしゃれなコード展開があったりして、今までの日向坂46にはなかった新鮮さがあります。僕個人は今作でこの曲が一番好きですね。

山口 初めて歌うタイプの曲で……確かに昔のポップスみたいな感じがありますよね。ライブでパフォーマンスするとなったらどういうダンスになるのか、今から楽しみです。

──メロディラインも複雑ですし、シンプルに歌うのが難しかったのでは?

山口 難しかったです! 「この音でそっちに行くんだ」みたいな感じで、覚えるのも大変でした。