日向坂46 上村ひなの×宮地すみれインタビュー|初の選抜制導入、11thシングルが放つフレッシュな変化

日向坂46に、ついに選抜制度が導入された。5月8日にリリースされた11thシングル「君はハニーデュー」は表題曲を選抜メンバー16人が歌唱。選抜以外のアンダーメンバー12人はひなた坂46としてカップリング曲「錆つかない剣を持て!」の歌唱を担当する。これまで表題曲はメンバー全員一枚岩で挑んできた彼女たちだけに、この変化はメンバーも、またおひさま(日向坂46ファンの呼称)も大きなものと捉えているだろう。

昨年から今年にかけて一期生メンバーの影山優佳、潮紗理菜、齊藤京子が卒業。さらには同じく一期生の高本彩花も「君はハニーデュー」にまつわる活動をもってグループを卒業することが決定している。そして迎えた初の選抜制シングルで表題曲のセンターを務めるのは、四期生メンバーの正源司陽子だ。なお表題曲に四期生メンバーが参加するのは今作が初めてで、正源司をはじめとする5人が選抜メンバーとなった。グループに新風を吹き込む本作について、音楽ナタリーは選抜メンバーから三期生の上村ひなの、四期生の宮地すみれに話を聞いた。

取材・文 / 臼杵成晃撮影 / 曽我美芽

「One Choice」代打で深まった仲

──音楽ナタリーのインタビューは上村さんが3回目、宮地さんは初となります。インタビューには毎回2人にペアで登場いただいていますが、今回のペアの共通項というと……?

上村ひなの あれかもね、「One Choice」。

宮地すみれ あー、そうですね。

上村 丹生(明里)さんがお休みしていたときに開催されたツアーで、「One Choice」の丹生さんのパートに正源司(陽子)が、卒業した影山(優佳)さんのパートに宮地が入ってくれて。

左から上村ひなの、宮地すみれ。

左から上村ひなの、宮地すみれ。

──昨年のツアー「Happy Train Tour 2023」ですね(参照:日向坂46、潮紗理菜の卒業セレモニーにあふれた涙 そして東京ドームをもう一度目指すことを宣言)。正源司さんがセンターで、その両隣を担っていたのが上村さんと宮地さんでした。

上村 はい。ツアーまるまるそのポジションを務めてくれていて、宮地とはシンメトリーのポジションだったのもあって、お話する機会が自然と増えて、ね。

宮地 はい。ツアーの期間にひなのさんとはすごく距離が縮まって、いろいろ優しく教えてくださったり、励ましてくださったり。たくさん支えてもらっていたので、こうして一緒に取材を受けさせていただけてうれしいなと思っています(笑)。

上村 えへへ。うれしいです(笑)。

──上村さんから見た、宮地さんの「ここがすごい!」と思うポイントは?

上村 めちゃくちゃあるんですけど……。

宮地 ええ~。

上村 まず頭の回転が速くて、どんなことにも瞬時に、かわいく答えられるところ。プロのアイドルだなあと思っていて。ライブのステージ上ではもちろん、バラエティの場面でも、ぶりっ子企画とかで一番輝くメンバーです(笑)。頭の回転の速さに加えて、仕草がすべてかわいいんですよ。欠点のない完璧な子だなって、私はいつも憧れているくらいの気持ちで見ています。

宮地 優しすぎる……。

──では、あえてダメなところを挙げるとしたら?

上村 えー? ないですよ。ないですけど……あ、でも謙虚すぎるところ? もっと自信持っていいのにと思うくらい謙虚なので。まあ、そこも好きなんですけどね(笑)。

──逆に宮地さんが思う上村先輩のすごいところは?

宮地 日向坂46の中にはほかにいないかわいさというか……ほのぼのしているんだけど、ときどき来る変化球だったりとか、癒されるような雰囲気とか、ほかの人にないものを持ち合わせている方だなって。いつも優しく気遣ってくださるから四期生はみんな助けられていますし、愛される才能がある方だなと感じます。

──ダメ出しもお願いします。

宮地 えー!(笑) あの、本当にかわいすぎて、この前の「ひな誕祭」でひなのさんのソロのとき、ほかのみんなは正面を向かなきゃいけない振付だったのに、みんなそれを無視して「ひなのさんのほうを見ちゃおうか」って言うくらい(笑)、周りを困らせてしまうくらい愛らしいなあと思います。

──欠点は「かわいすぎるところ」。

上村 そんなそんな(笑)。

上村ひなの

上村ひなの

宮地すみれ

宮地すみれ

いろんな感情が渦巻いた齊藤京子卒コン&ひな誕祭

──今お話に出た「ひな誕祭」は横浜スタジアムで2日間にわたって行われ、さらにその前日には一期生の齊藤京子さんの卒業コンサートも行われました(参照:日向坂46齊藤京子卒業コンサート&「5回目のひな誕祭」、横浜スタジアムで見せた“未来が始まる瞬間”)。合計3日間のステージはいかがでしたか?

上村 とてもいろんな感情が渦巻く3日間でした。京子さんとの思い出に残るラストステージを一緒に作ることができたし、「5回目のひな誕祭」の2日間ではおひさまの皆さんに声をたくさん出していたけるように、いつも以上に「参加型ライブ」という意識で挑んで。「ひな誕祭」を横浜スタジアムでやらせていただくのは2回目ですけど、横浜の地でまた新たな思い出ができました。

宮地 横浜スタジアムが3日間おひさまの皆さんで埋め尽くされるという、それがまずうれしかったですし、晴れていたこともうれしかったです(笑)。卒業コンサートでは改めて京子さんの偉大さが身に染みて、京子さんがいなくなることは寂しいし悲しいんですけど、次の日に京子さんセンターの「月と星が踊るMidnight」を四期生だけで披露させていただいたりして、受け継いでいくことの大事さも感じました。先輩たちの思いを受け継いで、日向坂46を強くしていかなくちゃいけないなって。四期生はこれまで四期生だけで活動することがどうしても多かったんですけど、「新参者」ライブ(参照:坂道グループ新参者ライブ30公演終了、乃木坂46五期生が「I see…」で締めくくる)などを通してグループの中で成長していくような期間を経て、「ひな誕祭」では日向坂46の一員だというみんなの自覚が芽生えたステージだったなと思います。

──四期生はライブの出番が去年までよりも圧倒的に増えましたよね。

宮地 はい。「自分がこのライブを作り上げているんだ」という意識も高まって……私はアイドルの活動の中でもライブが好きなので、そう感じられたことがうれしかったですし、もっともっとパフォーマンスがうまくなりたいという高い意識が芽生えました。

──卒業するメンバーもいれば、四期生のように新しく日向坂46の歴史を作っていく人たちもいて。最近は一期生の卒業が続いているので、そのあたりはよりリアルに感じるでしょうね。先日は高本彩花さんの卒業発表もありましたし(参照:日向坂46高本彩花が卒業発表「妄想する日向坂46の未来に自分はいませんでした」)。

上村 ああ……。うーん、そうでした。彩花さんが卒業されることを、寂しすぎるのでしばらく意識しないようにしていたので、今言われて急に寂しくなりました。

──すみません(笑)。

宮地 続きますもんね。京子さんは卒業の日よりも、そのあと仕事に行ったとき楽屋で「あ、京子さんいないんだ……」としみじみ実感することが多くて。

上村 卒業は寂しいんですけど、本当に寂しいのはそのあとなんですよ。今だと、京子さんがいたポジションを埋める作業をしていると、どんどん実感が湧いてくる。「5回目のひな誕祭」では「アザトカワイイ」で京子さんのポジションを務めさせていただいたんですけど、卒業コンサートよりもそこで一気に寂しさが押し寄せてきて。そうやってこれからも楽曲を引き継いでいかなくちゃいけないですし……穴を完全に埋めることはできないですけど、意思はしっかりと引き継いで、前へ前へと進んでいかなくちゃなって思います。彩花さんの卒業もめちゃめちゃ寂しいんですけど、最後の最後までいい思い出を作れるように、今日からたくさん彩花さんに話しかけたいと思います(笑)。

──宮地さんは以前、テレ東のレギュラー番組「日向坂で会いましょう」で「シャイすぎて先輩に心を開けない」と悩みを打ち明けていましたよね。それは解決したんですか?

宮地 ホントに最近のことなんですけど、「君はハニーデュー」のミュージックビデオ撮影で必然的に先輩と一緒に過ごす時間が増えて。話してみたらこんなに楽しいんだ!と思うことが多くなって、最近はいろんな先輩方と関わりが持てるようになりました。

左から上村ひなの、宮地すみれ。

左から上村ひなの、宮地すみれ。

日向坂46初の選抜制度、センター正源司陽子は“天真爛漫ガール”

──ではそのニューシングル「君はハニーデュー」についてのお話を。5周年を迎えたタイミングでついに、このシングルから日向坂46にも選抜制度が導入されました。表題曲を歌うメンバーは16人のみで、選抜外の12人はアンダーメンバー「ひなた坂46」としてカップリング曲への参加となります。お二人は選抜入りしましたけど、複雑ですよね。

上村 はい。でもいつかこの日が来るだろうとメンバーはみんな思っていて。発表された瞬間は複雑な思いが強かったです。

──日向坂46はあまりガツガツした人がいないというか、戦ってでも前に出たいという人がいない印象なので、選抜制は肌に合わないんじゃないかなあと。

上村 そうかもしれないです。今まで表題曲は全員で歌っていて、全員でメディアとかにも出させていただいていたので、それが違った形になってしまうのかと思うと不安でいっぱいでした。でも、四期生が初めて表題曲に参加して、センターも四期生の正源司陽子が務めてくれるということで、この新しい形は決してマイナスな変化じゃない、前向きな変化だと確信できて。それで不安な気持ちはなくなりました。2つのチームにはなりましたけど、今まで育んできた絆は絶対に変わることがないなと思うくらい本当に仲のいいグループなので、全員で変わらぬ気持ちのまま前に進んでいけたらなと思っています。

上から上村ひなの、宮地すみれ。

上から上村ひなの、宮地すみれ。

──四期生からは正源司さん、宮地さん、平尾帆夏さん、藤嶌果歩さん、山下葉留花さんの5人が選抜メンバーになりました。

宮地 私たち四期生12人がグループに入ったときから、この人数が一気に増えるのだから、いつかは選抜制という形が訪れるのかもしれないなというのは四期生も感じていて。自分がファンとして見てきた日向坂46とは違う形になるから、おひさまの皆さんの複雑な気持ちもすごくわかりますし……。でも、この変化を前向きなものと捉えて、ここに自分が選ばれた意味、その役割をしっかり果たしたいなと思いました。「四期生が入ってきてくれてよかった」と皆さんに思ってもらえるようにがんばりたいです。

──四期生の正源司さんがセンターに選ばれたことについて、お二人はどう感じていますか?

宮地 四期生の中でも周りを引っ張ってくれるような明るい子だし、「One Choice」で丹生さんの代打としてがんばっていた陽子をそばで見ていたので、センターに選ばれたときは驚きよりも「よかったな」という気持ちのほうが大きくて。日向坂46のイメージにぴったりな天真爛漫ガールなので、「君はハニーデュー」の曲調にもぴったりだなと思いました。がんばってほしいですし、期待もしていますけど、つらくなったらいつでもそばにいるから頼ってきてほしいです。

上村 四期生という新しい風が、いろんな場数を踏んだ成長した姿でこうして表題曲に入ってきてくれたことがまず素敵ですし、その中で正源司がセンターを務めて新しい形でグループを引っ張ってくれるということがすごくうれしくて。グループとして5年も活動をしていると、どうしても変化を感じられないところが出てきてしまうんですけど、このシングルでまたガラリと変わることができて、私自身も正源司をはじめとする四期生に引っ張ってもらえているなって感じます。ここからまたいろんな経験ができたらいいなって。

2024年5月21日更新