音楽ナタリー PowerPush - HighApps SPECIAL!! ~SPRING ROCK PARTY 2015~
6バンドのフロントマンが語るそれぞれの「HighApps」
競演者はときにライバル、ときに家族のような存在
──「HighApps」があったから成長できたと感じるバンドもいるんじゃないかと思います。そのあたりはどうですか?
山中 僕は特にそうですね。THE ORAL CIGARETTESは「HighApps」に揉まれてきたんで。
──揉まれてきた?
山中 そう。初っ端に出たときも事務所の先輩がいっぱいいて、その中で自分らをどうやって見せていくかを考えていたから、そこで「戦わなきゃいけない」みたいなイメージができたんです。そのあとCzecho No Republic、avengers in sci-fi、The Flickersと「HighApps」でツアーを回らせてもらって、そこでもまた揉まれたと思います。先輩バンドがいる中でどうやって自分たちが戦っていくのかということを意識した。いまだに僕にとっては「HighApps」には戦場みたいなイメージがあります。
──松本さんはどうですか?
松本 僕は拓也さんみたいに「戦場!」っていう感じではなくて、すごくハッピーなイベントだなって思っています。というのも、バンドメンバーは人見知りしがちで内向きなところがあるんですけど、「HighApps」に出てるときはなぜかみんなと話すことができたし、仲良くなれてすごくうれしかったんです。もちろん闘志は燃やしていかねばとも思うんですけどね。
──ライバル感とファミリー感の両方があるんですね。BLUE ENCOUNTとCzecho No Republicに関してはHIP LAND所属というわけではないのでスタンスや距離感は違うと思いますが、そのあたりはどうでしょう?
田邊 僕はできあがっている空気にいかにうまく入っていくかということを考えていますね。イベント自体にすごく強い力があると思うし、お客さんもこのイベントに対する特別な思い入れを持っている感じがある。その中に飛び込むなら、天地ひっくり返すぐらいのことはしないとなって。
武井 「呼んでよかったな」と思わせたいというのはありますね。ただ自分としては自由に楽しくやって、お客さんにも楽しんでもらいたいと思ってます。
ワンマンライブの集合体を目指して
──「HighApps」出演バンド同士の音楽性につながりを感じますか?
木幡 それはあんまり感じないかな。例えば「AIR JAM」は、パンク、ハードコア、メロディックハードコアといったジャンル的なつながりが基本にあって、そこにスケボーとかアメリカ西海岸系のストリートカルチャーがミックスされていたと思うんです。でもそれに比べると「HighApps」にはジャンル的なカラーはないんじゃないかなって。
山中 そういうカラーがないのが「HighApps」っていう感じもするんですよね。所属アーティストだけでまとまるんじゃなくて、ゲストバンドが入ってくるのも魅力の1つだと思うし。
──では「HighApps」に感じる独特なムードってどこにあるんでしょう?
山中 「HighApps」独特のムードは「手作り感」だと思うんです。毎回スタッフががんばって飾り物を作ったり、当日に店で出すフードをみんなで考えたりもする。文化祭みたいな感じがあって、そこは色になっていると思いますね。
スタッフ そうですね。例えば「新木場STUDIO COASTがやたら風船でいっぱいになってた日のライブだよね」とか、ファンにとって記憶に残るイベントになってほしいと思ってるんです。「HighApps」はHIP LANDのスタッフ、しかもそれぞれのバンドを担当しているスタッフが直接手がけているイベントですし、ワンマンライブの集合体みたいになればいいなって思っているんですね。「HighApps」はワンマンではないけれど、スタッフも全出演者がいいパフォーマンスができるように能動的に動くし、演出も考える。儲けるためではなく、出演バンドにプラスになることを目指しているんです。それがアーティストに伝わればいいなって思うし、「もっとわがまま言ってもいいよ」って感じているくらいです。
──出演者側はそういったムードは感じますか?
田邊 確かに血が通っている感じというか、温かい雰囲気があっていいなって思います。
安島 スタッフたちは会場に足を運んでくれる人たちがいい音楽に出会えるようにイベントを作っているんだなって感じがします。
木幡 ライブハウスのブッキングイベントに近いかもしれない。ライブハウスで対バンしたバンドにシンパシーを感じて、そこから仲良くなっていくことって多いんですよね。そういうところからシーンみたいなものができていく。「HighApps」にはそういう役割もあると思いますね。
歳の差なんて
──もう1つ、今回は世代の話もしたいと思います。というのも、ここに集まっている面々は、年齢がバラバラだと思うんです。まず、それぞれ生まれた年を聞いていいですか?
木幡 俺は1981年生まれです。
武井 僕と安島くんは同じで84年生まれ。
安島 そう、武井くんと同い年です。
田邊 僕は87年生まれなので、今年28歳です。
山中 91年生まれです。
松本 僕は92年生まれで、今22歳です。
──ということは、最年長の木幡さんと最年少の松本さんは10歳近く離れている。
木幡 そうなんだ。なんか恥ずかしくなってきた(笑)。
──いやいや、実はこれって面白いんですよ。というのも、あえて「AIR JAM」と比較するならば、あれはやっぱり同世代のムーブメントだったと思うんです。
木幡 そうですね。
──でも「HighApps」はそうではない。世代が離れたアーティストが集っている。
木幡 うん。世代をまたぐと、それだけ感覚が違うところもあるじゃないですか。よくも悪くも、ジェネレーションギャップを感じることもあるんですよ。
──松本さんはどうですか?
松本 音楽に関して、歳は関係ないと思ってます。ただ、年齢を気にしないつもりではいるんですけど、やっぱり上の世代のアーティストを見てると経験の差というか、ギターの弾き方や見せ方1つにしても自分に足りないものがわかるんです。そういう意味でも、僕としては上の世代と一緒にやると自分の糧になる。その差を感じた瞬間は悔しいんですけど、尊敬してますし、見ていて勉強になります。
──実は僕は7年くらい前、デビュー当時の木幡さんにインタビューしたことがあって。今の松本さんとは正反対のことを言っていたんですよ。
木幡 そうでしたっけ?
──「おっさんのやってるつまんねえロックが相変わらず幅を利かせてる」って言ってました。
一同 ははははは!(笑)
山中 マジっすか、太郎さんが!? カッコいい!(笑)
木幡 そんなこと言ってたっけなあ?
──これがねえ、言ってたんです。
木幡 そうですかあ……おっさん側になっちゃいましたわ(笑)。
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「HighApps Vol.23」
2015年4月5日(日)大阪府 大阪城音楽堂
<出演者>
avengers in sci-fi / BLUE ENCOUNT / Czecho No Republic / The Flickers / GOOD ON THE REEL / Kidori Kidori / LAMP IN TERREN / THE ORAL CIGARETTES
「HighApps Vol.24」
2015年4月12日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
<出演者>
avengers in sci-fi / The fin. / The Flickers / フレデリック / GOOD ON THE REEL / KANA-BOON / Kidori Kidori / LAMP IN TERREN / THE ORAL CIGARETTES / SAKANAMON / a flood of circle / Predawn / チーナ / Sawagi / ユナイテッドモンモンサン
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