ナタリー PowerPush - Hi-Fi CAMP
ベストを尽くした自信作! 初アルバム「1st BEST」完成
言葉にならないもどかしさを感じた青春時代。わけもなく心が弾んだり、どうしようもなく落ち込んだり、とにかく感情のまま素直に突き進んでいたあの頃──。Hi-Fi CAMPの音楽には、今も胸の奥でキラキラと輝いている“時間の宝石”のようなまぶしさがある。
デビュー曲から話題の映画の挿入歌に抜擢され、この夏は大塚製薬「ポカリスエット」CMソングを担当するなど、その実力は折り紙付きの彼ら。ついにリリースされる1stアルバムは、そのタイトルどおりどこを切り取ってもクオリティの高さが光る1枚となった。この夏、音楽シーンに旋風を巻き起こしそうな4人のリアルな声に耳を傾けてほしい。
取材・文/川倉由起子
「だから一歩前へ踏み出して」は、自分でも歌っていて励まされる
──前回の「一粒大の涙はきっと」のインタビュー記事、見てもらえました?
SOYA(Vo/MC) あー、見ました! ありがとうございます。でもすごいビックリしました。話したこと、ここまで載っちゃうんだ! みたいな(笑)。
──ほぼノーカットでしたからね。
TOSHIRO(DJ) 画面に向かって大爆笑したよね?
SOYA そのまんまだ!って(笑)。
──皆さんの発言をなるべくそのままお伝えしたくて。だから失言も大いに歓迎(笑)ということで、今日もインタビューを始めていきますね。
全員 よろしくお願いします。
──まず最新シングル「だから一歩前へ踏み出して」のタイトルを見たとき、前作の「一粒大の涙はきっと」と双子みたいだなって思ったんです。
SOYA そうですね。前作の続編というイメージで作っていて、「一粒大~」が誰かの背中を支えるという歌なら、今回は一歩押してあげるような、挑戦する人のための応援歌です。
──ちなみに平仮名に直すと、タイトルの文字数が一緒なんですよね。
KIM(Vo) へー、そうなんだ!
SOYA (指折り数えて……)あ、14文字、一緒だ!
TOSHIRO 奇遇ですね。
SOYA 完全に偶然ですね(笑)。
──それはさておき、今回の楽曲はみんなで歌えるアンセムっぽい雰囲気もあり、本当に応援歌としての色が強い気がしました。この曲はどうやってできたんですか?
AIBA(Key) 最初は僕とSOYAで作っていたんですが、「一粒大~」ができたときに、Hi-Fi CAMPとして歌っていきたいもの、芯に持ってなきゃいけないものは、こういうものかもしれないって思ったんです。そこがスタートでした。
SOYA 自分たちの方向性が「一粒大~」で少し見えてきた気がしたというか。それで今度は、そのストーリーをさらに先に進めたような応援歌を書いてみようと思ったんです。
──でも今回はさらに、老若男女、より幅広い層が共感できる内容になっていますよね。
KIM 多くの人にこの唄を届けたくて歌っているけど、歌っている自分も励まされるんですよ。つまり、僕たち自身のための曲でもあるなって。生きていれば大なり小なり、新しいことに挑戦したいけど踏み出せないっていう経験は僕にもあるし、みんなあると思うんです。そういうときに誰かの背中を押してあげられる曲になってくれたらうれしいです。
TOSHIRO 伝えたいことがそのままタイトルになっているので。何かにチャレンジされる方にはぜひ聴いてほしいなと思います。
気付いたら、すごく深いHi-Fi CAMPに浸かってる
──そしてシングル発売後には、ついに1stアルバムがリリース!「1st BEST」というタイトルにしても真っ金々のジャケットにしても、自信がビシバシ伝わってきますね。
SOYA そうですね。普段から「恐縮です」ってよく言ってるわりにはビッグマウスじゃんっていうね(笑)。
──ジャケットの写真は何をイメージして?
SOYA 「金の延べ棒」です。
KIM 「1st BEST」というタイトルなので、とびきりのゴージャス感を出そうという話で最終的にコレに行きつきました(笑)。Hi-Fi CAMPの純度が100%という意味も込めて。
──でも、本当にそれだけベストなモノができたってことですよね。全13曲を通して聴くと、上がって下がってっていうひとつのストーリーや流れがありますし。
KIM 最初はシングル曲で勢いよく始まって、気付いたらすごく深いHi-Fi CAMPに浸かってる……っていう、かなりいい流れで聴いていただけると思います。
──1、2曲目に直近シングル2枚を持ってきたのはどうしてですか?
SOYA 「だから一歩前へ踏み出して」は、まさにこのアルバムへ向けた僕らの意気込みが表れたものでもあるんです。そこから「一粒大~」へと続くんですが、どちらも“スタートライン”を描いたということでワザと“一”という字を入れてるんです。今まで誰にも突っ込まれなかったので、今初めて言いました(笑)。
──お、確かにそうですよね! 貴重なコメントありがとうございます。
SOYA 恐縮です(笑)。
──あとは全体を聴いてて、“春”とか“旅立ち”っていうニュアンスを込めた歌詞が多いなと思ったんです。SOYAさんとKIMさんの中で、そういう想いが歌詞として出てきやすいんでしょうか?
SOYA 仙台という土地に住んで、そこで感じることを音楽にしているせいもあると思います。やってくる人もいれば、旅立っていく人もいる。いつも出会いと別れがある。仙台って、そういう街なんですよ。
──そういった叙情的な曲を書いたときの心境というと?
SOYA “あの頃は良かったね”、“自分たち熱かったよね”っていう……なんていうか、センチな時期だったんでしょうね(笑)。でも今まさにリアルタイムの学生さんが聴いても、昔を振り返りながら聴いてもらっても、共感できるような歌詞の世界を作っていきたいとは思っているんです。
KIM だから、というわけではないんですが1stアルバムには10代の頃の気持ちを描いた曲が多くはなってますね。
──もともとアルバム自体はそういうコンセプトで作り上げていったんですか?
SOYA いや、それが意外なことにまったく考えてなかったんですよ。でも多分、好きなんだと思います、そういう場面を切り取るってことは。
CD収録曲
- だから一歩前へ踏み出して
- 一粒大の涙はきっと
- SENDAISTA
- キズナ
- 恋
- 枝垂れ桜
- 仰げば尊し
- トルケスタニカ
- Summer・D・Live REMIX
- You are My Only
- コトノハ
- 朧月
- ありがとう、ずっと...
Hi-Fi CAMP(はいふぁいきゃんぷ)
KIM (Vo)、SOYA (Vo/MC)、AIBA (Key)、TOSHIRO (DJ)の4人により2007年1月結成。2008年6月にシングル「キズナ」でメジャーデビューを果たす。デビュー曲が映画「僕の彼女はサイボーグ」挿入歌に起用され、リリース前からUSEN総合チャートベスト10入り、全国45局のラジオ局でパワープレイに選ばれるなど大型新人として話題に。その後、2008年8月リリースのSMAP「この瞬間(とき)、きっと夢じゃない」(TBS北京オリンピック2008テーマソング)の作詞作曲も担当。2009年5月発売のシングル「一粒大の涙はきっと」、8月発売のシングル「だから一歩前へ踏み出して」は、大塚製薬ポカリスエットCMソングに抜擢された。メンバーは全員仙台在住。