HEY-SMITH|「音楽は尊いもの」猪狩秀平がポジティブなアルバムに込めた思い

ビーチで寝て起きたら1曲できてた

──今作で猪狩さんが特に好きな曲を挙げるとしたらどれですか?

「Fog And Clouds」「California」「Love Summer」が好き。

──「Fog And Clouds」は歌詞カードに意訳が記載されない代わりに「自分なりに訳してみてね」とありますが、これは?

いつもは作るときに日本語と英語と半々くらいで作って、最終的に口が気持ちいい英語を当てはめていくという方法を取るんですが、この曲は最初から全部英語で書いてもうて。できあがってから「これ、日本語だとどうやって表現するんやろ?」と考えたら、説明いらんなって結論になって……意訳をあきらめました(笑)。

──意訳をあきらめたということで、言葉で説明するのは難しいかもしれないのですが、どういうことを歌っている曲か教えてもらえませんか?

めちゃくちゃ簡単に言うと、霧とか雲とかに覆われたり、かと思ったらそこから光が見えたり……いろんなことがあるよっていう(笑)。自分以外信じるものはないから、お前のことはお前にしかわからないというのが一番大きな意味かな。

──なるほど。途中のダビーなパートも印象的です。HEY-SMITHの曲でここまでダビーな曲は新しいですよね。

ここまでズーンっていうのはあんまなかったかも。健康的に“キマる”音楽にしたかったんです。早くライブでやりたいですね。お酒を片手にした人がキマっていくところを見たいです(笑)。

──次に好きな曲として挙げていただいたのは「California」。この曲は疾走感のあるサウンドながらメロディやボーカルラインがエモーショナルで。

個人的に一番好きなタイプの曲っすね。明るいけどちょっとメロディがエモーショナル。好きなもんを全部詰めれた感じがした。

──「17歳の自分に言いたいよ」という歌詞の内容とサウンドがぴったりです。

そう、憧れてたカリフォルニアが今では自分のものになった感じがしたし、当時よりも余計好きになってる。そういう気持ちをそのまま書いたのですぐにできました。

──歌詞ではカリフォルニアへの憧れの気持ちがつづられていますが、カリフォルニアは憧れの比喩ではないかなと思いました。今のバンドの状況なども歌っているような。

そうです。憧れてる場所とか人、そういうものを指してます。

猪狩秀平(G, Vo)

──もう1曲好きな曲として挙げていただいたのは「Love Summer」です。

この曲はメロディがめっちゃ好きなんですよ。これはビーチで寝て起きたらできてた。

──え? そんなことあります?

起きたらこの曲の大半のメロディが頭の中に駆け巡ってて、一緒にいた友達に「このメロディ聴いたことないやんな?」って確かめたら「ないない。誰の曲?」「なんかできてた」って(笑)。ばりラッキー。

──そのときから歌詞で歌われている、夏の終わりのイメージもあったんですか?

あったあった、それこそエモーショナルになっちゃうみたいな感じ。俺は絶対に夏が好きなんです。夏と海が。だからちょっとでも寒くなるだけで嫌で。

──だから余計夏の終わりに寂しさを感じるんですね。

そうそう。ちょっと夜が寒くなるだけでかなり切なくなる。

Authority Zeroとの思い出を歌に

──ラストナンバー「Thank You For Being My Friend」は友達に向けて歌った曲ですが、具体的な対象がいるように感じました。

これはAuthority Zeroですね。去年、Authority Zeroとツアーを回ったんですけど、最後に一緒に熱海に行ったんです。そこで浴衣着て、宴会場で酒を飲んだんですけど、みんながスピーチをしてくれて。なんとなく自分に順番が回ってくるぞと思ったんやけど、スピーチは照れるからなんか歌詞を付けてワンフレーズ歌おうと思って適当に歌ったんです。

──即興で?

はい。それをバンドバージョンにアレンジしたのがこの曲。楽しかったり、感動したりするとメロディとか曲が生まれるというのは知ってて。曲を披露したときも楽しくていい精神状態やったからパッと曲できるんちゃうかなと思って、2分くらいでできましたね。

──Authority Zeroとのツアーはどんなところが楽しかったんですか?

とにかく彼らのライブがカッコいい。自分の中で、ライブがカッコいいということが一番の正義で。カッコいいライブ観ると、こっちもテンションが上がってもっとカッコいいライブをしたくなる。ほんまにそれだけですね。

──曲が作れてしまうくらい好きになったのは、アメリカのバンドで、住んでいるところが遠いとか、一緒にライブをする機会が少ないからといった理由も関係ありますか?

全然。だって離れてるって言ったって去年一緒にアメリカツアーもジャパンツアーも回って、今年は「ハジマザ」(HEY-SMITH主催のライブイベント「OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」)にも出てもらってるし(笑)。なんやったら日本のバンドのほうが会ってない人多いんじゃないかな。

──確かに。本当にお互いにライブがカッコいいと思っていて、フィーリングが合うんでしょうね。

うん、極端な話、俺は女ったらしでも犯罪者でも、ライブがカッコよければ尊敬に値する人だと思う。そうじゃないやつは、顔がカッコよくても女にモテても全然尊敬できない。

──きっと中身がカッコいい人にしか、カッコいいライブができないんですよね。

そうなんですよ。それを知ってるから、ライブがカッコいい人が正義なんです。

猪狩秀平(G, Vo)

密度を濃くしていきたい

──冒頭にも少し話が出ましたが、前作から今作までの2年の間に、Hi-STANDARDが活動を再開させました。猪狩さんはHi-STANDARD大好きですよね?

うん、大好き!

──ですので、Hi-STANDARDの活動再開は少なからず猪狩さんのモチベーションやクリエイティブに影響を与えたではないかなと思うのですが、いかがですか?

あーうん、そうかも。さっき言った、好きなものをみんなで共有する楽しさをもう1回思い出したというのが1つ。あと、自分はハイスタに憧れたけど「ハイスタみたいになったらアカンから自分はレスポールを持たずにホーン隊を引き連れてやるぞ」って決めてバンドを始めたんですよ。けど復活したハイスタを観たらやっぱり「スリーピースでハイスタに勝ちたい」という気持ちが出てきて「Soundtrack」ができた。そういう意味で、常に刺激を与えてくれますね。

──では最後に今後の展望を教えてください。HEY-SMITHほど地位を確立させているバンドが、これから何を目指していくのか気になります。

大きなところでやるとか、これを目標にしてがんばろうっていう気持ちは特にないですね。目標を立てると、達成したときに「これからどうしよう」と思っちゃったりするかもしれないし。それよりも常に思ってるのは密度を濃くしたいということで。それは俺らの曲を聴いてくれる人と俺らとの関係の密度を濃くするとか、ライブの満足度を上げるとかそういうこと。“けっこう好きな人”がいっぱいライブに来るんじゃなくて、少しでもいいから“HEY-SMITHマニア”のやつが集まるとか。そうやって、聴いてくれる人とずっと仲間のままでいたい。目の前で何か言われたらすぐ反論できるし、すぐハグできるし、すぐ殴れるような関係でいたい。それが目標なんかな。

──密度を濃くしていくために必要なことはきっと、ライブをたくさんやればいいとか、小さな会場でやればいいとか、そういう単純なことではないですよね。

そうですね。でも信念を持ってやってたらそれが自然に届くと思うんですよね。ハイスタもそうで。俺、今はご本人に会ってお話しするようになって「こういう意志を持ってやってたのか」ということもわかるようになったんですけど、それを知らなかった当時の俺にも確実に伝わってて。そういうのを大切にしていきたいです。

ツアー情報
HEY-SMITH「Life In The Sun TOUR」
  • 2018年11月19日(月) 大阪府 梅田CLUB QUATTRO
    出演者 HEY-SMITH / ENTH
  • 2018年11月20日(火) 東京都 TSUTAYA O-EAST
    出演者 HEY-SMITH / ENTH
  • 2018年11月22日(木) 愛知県 ElectricLadyLand
    出演者 HEY-SMITH / FOMARE
  • 2018年11月24日(土) 長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
    出演者 HEY-SMITH / FOMARE
  • 2018年11月26日(月) 埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
    出演者 HEY-SMITH / SIX LOUNGE
  • 2018年11月27日(火) 群馬県 高崎clubFLEEZ
    出演者 HEY-SMITH / SIX LOUNGE
  • 2018年11月29日(木) 千葉県 千葉LOOK
    出演者 HEY-SMITH / Azami
  • 2018年12月16日(日) 岐阜県 岐阜club-G
    出演者 HEY-SMITH / dustbox
  • 2019年1月10日(木) 長崎県 DRUM Be-7
    出演者 HEY-SMITH / キュウソネコカミ
  • 2019年1月12日(土) 鹿児島県 CAPARVO HALL
    出演者 HEY-SMITH / キュウソネコカミ
  • 2019年1月13日(日) 熊本県 熊本B.9 V1
    出演者 HEY-SMITH / キュウソネコカミ
  • 2019年1月15日(火) 福岡県 小倉FUSE
    出演者 HEY-SMITH / ハルカミライ
  • 2019年1月16日(水) 福岡県 久留米GEILS
    出演者 HEY-SMITH / ハルカミライ
  • 2019年1月18日(金) 兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
    出演者 HEY-SMITH / BURL
  • 2019年1月26日(土) 沖縄県 桜坂セントラル
    出演者 HEY-SMITH / NAMBA69
  • 2019年1月31日(木) 大阪府 FANJ twice
    出演者 HEY-SMITH / HOTSQUALL
  • 2019年2月2日(土) 和歌山県 SHELTER
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月4日(月) 神奈川県 CLUB CITTA'
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月7日(木) 滋賀県 滋賀U★STONE
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月9日(土) 香川県 高松オリーブホール
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月10日(日) 高知県 X-pt.
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月12日(火) 岡山県 YEBISU YA PRO
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月14日(木) 京都府 KYOTO MUSE
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月16日(土) 石川県 金沢EIGHT HALL
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月17日(日) 富山県 MAIRO
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月23日(土) 山口県 周南RISING HALL
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月24日(日) 鳥取県 米子 AZTiC laughs
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年2月28日(木) 茨城県 mito LIGHT HOUSE
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年3月2日(土) 青森県 青森Quarter
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年3月3日(日) 秋田県 Club SWINDLE
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年3月9日(土) 山形県 山形ミュージック昭和Session
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年3月10日(日) 岩手県 Club Change WAVE
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年3月14日(木) 北海道 小樽GOLDSTONE
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年3月16日(土) 北海道 函館club COCOA
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年3月22日(金) 静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年3月31日(日) 新潟県 NIIGATA LOTS
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年4月11日(木) 三重県 M'AXA
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年4月13日(土) 愛媛県 WStudioRED
    出演者 HEY-SMITH / and more
  • 2019年4月14日(日) 広島県 広島CLUB QUATTRO
    出演者 HEY-SMITH / and more