ナタリー PowerPush - HEY-SMITH

「カッコよければなんでもいい」猪狩秀平が語るライブ観

ぶっちゃけ歌詞の意味なんてどうでもいい

──じゃあ、この日ゲストで出演した10-FEETさんのプレイや、なんばHatchの空気はどういうものだったんですか?

スーパーハッピーでしたね。「演奏したらどうにでもなるんやろうなー」みたいな、すごいいい雰囲気が流れてました。

──なのにシリアスな曲から始めたっていうのはなぜ?

特に理由はないんです。来てるやつは、ぶっちゃけ歌詞の意味なんてどうでもいいやつのほうが多いと思うんですよ(笑)。

──あはははは(笑)。

たぶんそれよりも曲のノリのほうが大事で。それは俺もそうなんです。大切にしてるのはビート感で。ずっとスラッシュビートが続いたらしんどいでしょうし、8ビートを挟んだり、アップダウンのあるようなものを入れたり。歌詞の意味とか頭で考えるものより、そのときいい感じの曲が来るようにセットリストを組んでます。

──60本近いツアーだけに、あらかじめコンセプトを用意したり、がっちりした下準備をしたりしていたのかと思ってました。

僕らフェスでもそうですからね。目の前にいるのが2万人、3万人でも5分前くらいにセットリスト決めてます。

柔軟さがなくなることのほうが全然怖い

──どうやったらそんなライブ強者になれるもんなんですか?

猪狩秀平(G, Vo)

僕、ほんまはビビりなんですよ。予想して組み立てたことに対して、思ってた内容と違う感じになっていくのが怖いんですよね。だからその場その場で選曲する。そうしたほうが正解のことが多かったんです。しかもこの日は、確か自分のとこに貼ってあるセットリストと実際にやった曲が違うと思いますし。途中で1曲か2曲くらいその場で変えちゃってると思う。

──猪狩さんがその場で変えたセットリストに、全員ちゃんと応えられるものなんですか?

応えてくれますね。まあブラスの2人には基本伝わらないんですけど(笑)。

──ブラスの2人はドラム、ベース、ギターが始めた曲に合わせる感じ?

「あーそれになったんや」ってたぶん思ってると思う(笑)。でもみんななんとなく「ここ、こっちのほうがええんちゃう?」ってその場で感じてるんですよね。ライブ中はメンバー間で目を合わせて合図したりすることなんか絶対ないんですけど、曲が終わったときにふと横見てみたら「なんか言いたそうだな」っていうのをなんとなく感じることはあって。「変える?」「変えよっか」みたいな感じで次の曲を変える。僕らしょっちゅうありますよ。

──「もししくじったら……」みたいな恐怖は?

しくじっても大丈夫です。それはそういうもんです。伝わったと思ったのに、自分が思ってた曲とは全然違うテンポでカウントが始まっちゃうってこともあるんですよ。でもそしたら確実にウケるんで「あ、ラッキー」みたいな(笑)。それが別に全然イヤじゃない。

──強いなあ。

芸人さんが間違って噛んじゃって、そこが一番ウケるってあるじゃないですか。たぶん、そういう感じです。ライブだけじゃなくて、CDのレコーディングでも僕、ギターソロのフレーズとかほとんど考えて行かないですし。常にそういう感じにしてあるんでしょうね。そのときそう思ったことしかやりたくないし、やれないんですよね。例えばフェスの日にめっちゃ雨が降っちゃったら、雨に似合う曲に変えたほうがいいと思うし。そういう柔軟さがなくなることのほうが全然怖い。

「音楽なんてしょせん……」と「すごい尊いもんや」

──DVDを観ていて本編最後「Goodbye To Say Hello」前のMCが特に印象的で。「俺たちができることはたかがしれてる。でも俺らが希望の歌を歌えばちょっとくらいはマシになってくれるんじゃない?」っていう。この音楽とのほどよい距離感ってどこで養われたんですか?

たぶんね「音楽なんてしょせん……」くらいに思ってる部分と、「音楽は俺らが茶々入れていいもんじゃなくてすごい尊いもんや」って思ってる部分と両方持ってて。俺にとって音楽って基本、酒飲むためのおいしいアテなんですよね。音楽よりお酒のほうが好きですし。だから音楽なんてしょせんそんなもんなんですよ。1日24時間音楽聴いてるやつなんていませんし。例えば疲れて家帰ってきて聴く5分くらいの音楽が死ぬほどよかったりするわけじゃないですか。1日の最後にふわっとするとか、1日のスタートのときにちょっとテンション上げていくとか、そんなもんやと思うんですよね。ただ1日の最後をふわっとさせてくれたり、1日のスタートのテンションを上げてくれるものは音楽以外にはなくて。だから「そんなに尊いものはほかにはない」とも思ってるんですけどね。

ライブDVD「Your Freedom」/ 2014年3月5日発売 / CAFFEINE BOMB ORGANICS / CBR-62
[DVD2枚組] 3801円 / CBR-62
DISC 1
  1. Welcome To Now Album
  2. Dancing Is Illegal
  3. Endless Sorrow
  4. True Yourself
  5. Like A Gentleman
  6. Jump!!
  7. Living In My Skin
  8. Drug Free Japan
  9. Summer Head
  10. Magic Leaf
  11. Heartbreak
  12. Relax
  13. Theme Of Hey
  14. Journey
  15. The First Love Song
  16. I Hate Nukes
  17. We Sing Our Song
  18. Download Me If You Can
  19. Goodbye To Say Hello
  20. Skate Or Die
  21. Lonely With Everyone
  22. Longest Day

AND ????????

DISC 2
[MUSIC VIDEOS]
  1. Dancing Is Illegal
  2. True Yourself
  3. Living In My Skin
  4. Download Me If You Can
  5. Goodbye To Say Hello
  6. Journey
[EXTRA MOVIES]
  1. TOUR "ON THE ROAD" in OKINAWA
  2. TOUR "ON THE ROAD" in TOKYO
  3. TOUR "ON THE ROAD" in OSAKA
  4. FISHING BATTLE in OKINAWA
ライブスケジュール
  • 2014年3月23日(日)
    大阪府 堺市泉ヶ丘 国際障害者交流センター ビッグ・アイ(SAKAI MEETING 2014)
  • 2014年4月12日(土)
    秋田県 Club SWINDLE
  • 2014年4月13日(日)
    山形県 酒田MUSIC FACTORY
  • 2014年4月16日(水)
    宮城県 BLUE RESISTANCE
  • 2014年4月17日(木)
    福島県 郡山CLUB #9
  • 2014年4月19日(土)
    新潟県 新潟LOTS
  • 2014年4月21日(月)
    大阪府 FANJ twice
  • 2014年4月23日(水)
    東京都 KINGSX TOKYO
  • 2014年4月26日(土)、27日(日)
    宮城県 みちのく公園北地区エコキャンプみちのく(ARABAKI ROCK FEST.14)
  • 2014年4月29日(火・祝)
    兵庫県 神戸ポートアイランド(COMIN'KOBE'14)
HEY-SMITH(へいすみす)

猪狩秀平(G, Vo)、Mukky(Vo, B)、満(Sax)、Iori(Tp)、Task-n(Dr)からなる5人組パンクバンド。2006年に大阪を拠点にライブ活動を開始し、2009年に1stミニアルバム「Proud and Loud」でCDデビュー。2010年の1stフルアルバム「14 -Fourteen-」を経て2011年にリリースした2ndフルアルバム「Free Your Mind」はオリコン週間インディーズランキングで1位を記録する。2012年には「FUJI ROCK FESTIVAL '12」「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO」といったフェスに招聘されるほか、coldrain、SiMとのパッケージツアー「TRIPLE AXE TOUR 2012」を開催した。2013年5月、2年ぶりのフルアルバム「Now Album」を発表し47都道府県を回るレコ発ツアーを大成功に収める。その最終公演を収めたライブDVD「Your Freedom」を2014年3月にリリース。