アニメ「ULTRAMAN」特集 OLDCODEX|革新的なアニメで追求した、オープニング主題歌の新たな可能性

3DCGアニメーション「ULTRAMAN」がTOKYO MX、BS11で放送されている。

特撮テレビドラマ「ウルトラマン」のその後の世界を舞台とする本作は、2019年にNetflixで配信され、従来の「ウルトラマン」とは異なる世界観で話題を呼んだ。地上波での放送を記念して、音楽ナタリー、映画ナタリー、コミックナタリーではジャンルをまたいだ連載特集を展開中。音楽ナタリーではオープニング主題歌「Core Fade」を担当するOLDCODEXのインタビューを届ける。数々のアニメのタイアップを担ってきた彼らにとっても挑戦と言えるこの曲は、どのようにしてできあがったのだろうか? 2人の「ULTRAMAN」への思いやこだわりを聞いた。

取材・文 / 高橋美穂

新しいオープニングの型

──「Core Fade」の制作は、どのように始まったのでしょうか?

Ta_2(Vo) 以前、Netflix版の「ULTRAMAN」の主題歌に「Sight Over The Battle」(2019年7月発売のアルバム「LADDERLESS」収録)という楽曲を提供させてもらいました。そして、今回は地上波版の「ULTRAMAN」の主題歌のお話をいただいて、その時点でサウンドはミクスチャーなものにしたいと考えていました。あとは、オープニング曲っぽさというところから1回外れたいなと。オープニングの雛形って、そもそもあった型から、だんだんある一定の人たちが外れるようになって、90秒の面白さを作っていったと思います。それがまた新しい型になっていった。俺はそこに窮屈さを感じていたので、今回は新しいオープニングの型を示したいと思ったんですね。そもそも「ULTRAMAN」は、Netflix版のときから世界に挑戦するコンテンツということを打ち出していたので、俺たちのサウンド的な型を打ち壊すいいきっかけにもなるんじゃないかと。OLDCODEXはラウドなものが主と思われがちですけど、今までも「Cold hands」のような違うアプローチの曲はあったから、そういった方向にも手を伸ばせるなって。いろんな意味で今回は挑戦できると思っていたんですよね。曲調としても、「Sight Over The Battle」を作っていたときは、ウルトラマンはほかの星からやってくるので、星々のきらめきと重力に縛られちゃってる人間たちの対比を、バンドとシーケンスでどう表現するかを考えていて。今回もそういう発想はありました。

──いろんな要素が含まれていますね。その考えにたどり着いたのは、早かったんですか?

Ta_2 早かったは早かったです。OLDCODEXとして先に行くためにはどうすればいいかと考えていたときに、2人で何かを完結できるような形にしたいと思ったんですね。今まで(サポートメンバーも含めた)5人のバンドのスタイルは自分の誇りでもあったんですけど、今回はそれ以上に「表に立っている2人で完結できるものって何があるんだろう?」って。なおかつ、昨今の音楽の移り変わりをどういうふうに表現していくのか、その中でバンドという固定観念を壊してもいいんじゃないか、という。もちろん、どういった方向性にするかはいまだに考えてはいるんですけど、「Core Fade」はそのフックになりましたね。

──「壊す」というのは、過激っちゃ過激な発想ですよね。

Ta_2 次に見せていくものをフローチャート方式にして、そのときに、まず大きな絵を見せたいな、そこで歌っていればいいなと思ったんです。ざっくりしてますけど、そうであれば最高という。結局「OLDCODEXってなんだ?」と考えたときに、絵描きと歌ってるやつがいるということで完結すればいいと思い描くようになって、そこから逆算して作っていきました。

──イコール、たどり着きたい先は“2人”というシンプルなところですけれど、その前にある計算式が緻密で、それを現したのがこの楽曲というか。

Ta_2 そうですね。本当は正解なんてありゃしない、なんでも正解になるし自由なんですけど、設計図みたいなところから入っているから面白いなと思います。

ウルトラマンの雛形から外れた作品

──YORKE.さんは、今はOLDCODEXを壊して先に進むタイミングである、みたいな実感はありましたか?

YORKE.(Painter) 僕は変わらないかもね。ずっとそういうスタンス。ただ、長く続けているといろんな見られ方をするようになるし、それはもちろん僕自身も理解しているけれど、これからもう少しTa_2が言うように「こう見られたい」というのを2人で打ち出していくことは賛成だよ。こういう形態のバンドはほかにいないから、そこはやっぱり武器ですよね。「なんで2人なの?」って、いまだに聞かれるということは、人の興味ってそこにあって。じゃあ興味のあるもので返せたらめちゃめちゃいいじゃん。4、5人組のバンドがOLDCODEXと似たようなことをやろうとしても、きっとやりづらい。誰か同じスタイルで表現すればいいじゃんという気持ちもあるけどね。でも、10年続けてもあまり聞かないなあ。

──お話を聞いていると、お二人の相反する部分や共通する部分が天秤になって、このバンドが成り立っていることがよくわかります。

YORKE. そこは強みかもね。おっしゃるように2人だからバランスを取りやすいところもあるから。

──そういった挑戦をするのが、「ULTRAMAN」という舞台なのも大事だったんですよね?

Ta_2 そうですね。3DCGという革新的な技術と共に走る「ULTRAMAN」は、言ってしまえば「ウルトラマン」の雛形から大きく外れた野心的な作品だなあと思うから。

YORKE. 僕も作品を観て最初は驚いたよ。僕たちが子供の頃に観ていた日本のヒーローって、とりあえずでっかくて敵をぶっ倒すみたいな感じだったでしょ。ウルトラマンも銀色と赤色のでかいヒーローが3分しか戦えないという設定で、当時の子供たちはそのシンプルさに夢中になっていた。その頃と今のヒーロー像は捉えてる角度が違うのかな、と思う。ウルトラマンも進化しているから、音楽もそうあるべきだよね。だから歌詞も「♪セブン~セブン~」(「ウルトラセブンの歌」)みたいな感じじゃなくって。より人っぽい、ヒーローにも感情があるというものにした。でも、初めてウルトラマンを観る方々にとっては「ULTRAMAN」がウルトラマンの基本になるわけだから、歌詞を書くときにもその目線は絶対に忘れちゃいけないと思ってたね。