音楽ナタリー Power Push - HER NAME IN BLOOD × KSUKE
海外に挑戦するということ
IkepyとDaikiが「ULTRA JAPAN」に出演
──「ULTRA JAPAN 2016」ではKSUKEさんのステージにIkepyさんとDaikiさんが出演して「Last Day(KSUKE Remix)」を披露したんですよね。
KSUKE はい。その前に、VISION(東京・SOUND MUSEUM VISION)でやったイベントに、Ikepyに出てもらったんです。そのときの反応が意外とよかったのと、自分たちも面白かったので、「ULTRA」にも出てもらうことにして。どうでした?
Daiki 「『ULTRA』に出演することになったから」って話を聞いたときは「マジすか!」って驚いた。もちろん「ULTRA」のことは知ってたけど、僕らは絶対出演する機会はないと思ってたから……。
Ikepy まさか出ることになるとは思わなかったよね。
Daiki で、出るとして「じゃあどうしたらいいんだろう」と思って、KSUKEに「どうしたらいい?」って相談したんですよ。そしたら「カッコよければOK。目立つフレーズ弾いて」って言われて(笑)。
KSUKE 「とにかく目立つヤツを」って。
Makoto 「キュイーン」とか「ジャーン」とかね。
Daiki そういう意味で自分の力量を試された感じがして、いい経験になりました。
Ikepy 僕は「思いっきり自分たちのメタルを見せつけて楽しんでやろう」って気持ちで挑みました。本当に楽しかったですね。いつもやらない人の前でがっつりやって。
Daiki 最初お客さんはポカーンって感じだったんですけど、徐々に盛り上がってくれてよかったよね。
KSUKE SNSには「ハーネーム出てきたから走って行ってヘドバンした」とか書いてあったし、よかったと思います。2人のおかげで、「ULTRA」のお客さんに対して「この人、新しいことやってるな」っていう印象を残せたと思う。
Ikepy 俺らも楽しかったから、また機会があったら一緒にやりたいな。
Ikepyの黒髪がヨーロッパで生きる!?
──11月からHER NAME IN BLOODは初めてのヨーロッパツアーに行きます。そこで、ヨーロッパも含めて海外でのパフォーマンス経験が豊富なKSUKEさんからアドバイスを……。
Daiki 先輩、お願いします!
Makoto 僕たち、アジアとかアメリカも単発ではあったんですけど、長いタームのツアーは初めてなので、「実際どうなの?」っていうのが気になる。
KSUKE ジャンルが全然違うので、正直バンドシーンがどう盛り上がっているかとかはわからないんですけど、いつもヨーロッパに行って思うのは、日本とまったく違う国だということ。文化も違えば土地柄も違うし人も違う。けど逆に言ったらヨーロッパの人たちにとって日本もそうなんですよね。文化も土地柄も人も違う。だからアドバイスするとすれば、萎縮しないで、日本人の力を見せつけてきて大丈夫ですよと。
Daiki 勉強になります。
KSUKE 現地の居酒屋とかで「東京から来た」って言うと「やべーじゃん」って言われるし、日本のカルチャー、バンドが好きな人っていっぱいいるから。
Makoto 俺もそれは思う。優劣じゃなくて、あくまで違いなんだよね。そうだろうなとは思ってたけど、今KSUKEに教えてもらったことで確信したから、改めて、俺たちなりのステージを見せていこうって気持ちになりました。
KSUKE よく「日本と海外のクラブはどう違うか?」って聞かれるんですけど、基本は変わらないですが、やはり国によって盛り上がる曲は多少違いますね。ライブハウスは行ったことないので、もしかしたらもっと違うのかもしれないです。クラブは音楽を聴きながらお酒を飲んでダンスして楽しむっていう場所ですが、普段見てるものや食べてるものが国によって違うので、人の感覚はやはり違いますね。
Makoto というと?
KSUKE 一番印象に残ってる話をすると……よく海外の方って渋谷駅前のスクランブル交差点で写真を撮るじゃないですか。日本に住んでる僕らからすると「そんなにすごい景色なのかな?」って不思議に思うんだけど、アムステルダムのバーで一緒に飲んでた現地の人に「あんなわけのわからん電飾ネオンをバキバキにして、漢字をバカスカ書く、あんなアーティスティックな街をシラフで作るのはヤバすぎる、日本人ヤバい」って言われて。ああ、なるほど、そういう感覚の違いがあるんだなって。ゴチャっとした感じが日本らしいし、それもカルチャーになるんだなと。だから自分も「日本人だから」と謙遜することなく、自分らしく海外でがんばりたいなと思いました。
Makoto その話を聞いて、余計燃えましたね。いつも通りにやって、それで海外の人に何か刺さればいいな。あとは自分たちが100%楽しめたら。
Daiki 人種は違えど、お客さんは結局ライブハウスに集まってくる人なので、いつものようにライブをやれればいいんじゃないかなと思いました。違う国に行ったからって違うことをしなくていいんだなと。
Ikepy これまで行ってきたアジアやアメリカでも、いつも通りのライブをやって、それを観たお客さんが楽しんでるなっていうのは感じてきてるので、ヨーロッパでも自分たちがやってきたことをぶつけるだけですね。
KSUKE ハーネームはとにかく素人目でも演奏がヤバイってわかるので、海外でも通用すると思います。もし通用しなくても勢いでいけるって思えるくらい。とにかくもっといろんな人に知ってもらいたいバンドですね。
Ikepy とりあえず、楽しくやってるよっていうことは伝えたいよね。あと俺らは曲の構成が緻密なんです。なので、そういうふうに勢いだけじゃなくてメタルをきちんとやってるってことも押し出していきたい。
Daiki 俺らライブバンドなんで、生で観て「こいつらほかのバンドとは何か違うな」っていうところを見せつけられたらなと。
Makoto あとIkepyの黒髪ね。アジアンビューティ(笑)。
Ikepy あと筋肉と(笑)。
Makoto ジャパニーズマッスル。
ベルギーではスーツケースをゴロゴロさせない
Ikepy ヨーロッパ、何カ国行ったの?
KSUKE DJで行ったのはクロアチアぐらい。あとはオランダでアムステルダムの「Amsterdam Dance Event」っていうダンスミュージックのイベントに出たのと、「Tomorrowland」っていうベルギーのEDMのフェスを観にいった。
Makoto ベルギーは俺たちも行くね。
KSUKE ベルギーは僕1人で行ったんですけど、空港からがマジで恐いです。アクション映画に出てくるような街並みの中、スーツケース持って1人で歩いたんだけど、誰かに撃たれるんじゃねえかって感じがしたので、なるべくスーツケースはゴロゴロさせないように浮かせて……。
Ikepy 俺らはメンバーだけでも5人いるけど、KSUKEは1人だからねえ。
KSUKE でもベルギーはチョコレートがおいしいですよ。
Daiki じゃあスーツケースをゴロゴロさせないように浮かして、そのご褒美にチョコレートを食べよう(笑)。
Makoto 実際のところヨーロッパって英語、通じる?
KSUKE だいたい通じると思います。僕、そこまで英語しゃべれないんですけどバイブスでだいたい相手が言いたいことはわかるので、自分の知ってる単語で返すって感じです。伝わってなくても、伝わってると思ってしゃべってます(笑)。
Makoto ちょっと安心しました。
Daiki ヨーロッパに限らずなんだけど、KSUKEって海外で空き時間あったら何してるの?
Makoto KSUKEは音楽作ってるよ、絶対。
KSUKE いや、作ってないですよ。マジ作ってないです。僕ね、けっこう寝ちゃうんですよ、移動などもあるから体力回復もしなければだし。ただ出かけたほうがいいなと思って、近場に出かけてGoogle マップにピンを付けて思い出を作ってます(笑)。夜はあえて怪しい道を歩いて一瞬スリルを味わってみたり。本当は海外に行ったときに2日ぐらい休みを作って、窓辺とかに座りながら曲作りたいですよね。
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- HER NAME IN BLOOD ニューアルバム「BAKEMONO」/ 2016年9月14日発売 / 2700円 / Warner Music Japan / WPCL-12414
- 「BAKEMONO」
収録曲
- Free Me
- Redemption
- All This Pain
- Last Day
- Cut It Out
- BAKEMONO
- Wasting Away
- Psychopath
- Home
- White Lies
- No Name
- Down
- Lonely Hell
- Last Day (KSUKE Remix)
HER NAME IN BLOOD(ハーネームインブラッド)
Ikepy(Vo)、Daiki(G)、TJ(G)、Makoto(B)、Umebo(Dr)からなるメタルコア / ラウドロックバンド。2008年から活動を開始し、BEFORE MY LIFE FAILSとスプリットCDをリリース。同年開催された「Taste Of Chaos 2008 in Japan」への出演を経て、全国各地でライブ活動を展開していく。2010年に1stフルアルバム「DECADENCE」を発表。以降、数多くの海外アーティストの来日公演でサポートを務めるほか、「SCREAM OUT FEST」など大型イベントにも出演した。2013年末から2014年初頭にかけては、中国でのフェス出演を含むアジアツアーを実施。2014年4月にフルアルバムとしては約4年ぶりとなる「HER NAME IN BLOOD」をリリースし、同年5~9月に全国ツアー「RETURN OF THE BEAST TOUR 2014」を行った。2015年6月にWarner Music Japanよりメジャーデビューすることを発表し、9月にミニアルバム「BEAST MODE」をリリースした。10月にはデビュー作のレコ発ツアーをスタートさせたほか、アメリカで行われたSlipknot主催のライブイベント「KNOTFEST 2015」に出演し、Judas Priest、Korn、Mastodonらと競演。11月にはオジー・オズボーン主催によるライブイベント「Ozzfest Japan 2015」に参加した。2016年9月にフルアルバム「BAKEMONO」をリリース。11月に初のヨーロッパツアーを実施する。
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- HER NAME IN BLOODの記事まとめ
KSUKE(ケイスケ)
全世界約20カ国・地域で開催されている「ULTRA MUSIC FESTIVAL」をはじめとし、米国・欧州・アジアなど世界を股にかけてDJ Play・楽曲プロデュースをしているDJ、プロデューサー。「beatmania IIDX」ではゲームの実力を測る段位認定でSP十段の実力を持つなど幼少期からゲームへの造詣が深く、ゲーム音楽がKSUKEの音楽クリエイテイブに大きく影響を与えたといっても過言ではない。HER NAME IN BLOOD、平井堅、MAN WITH A MISSION、MIYAVI、清水翔太、Major Lazerなど国内外問わず、著名アーティストとのコラボやRemixを手がけ、DJとしてだけでなく、 プロデューサーとしても国内外で活動の場を増やし続けている。