音楽ナタリー Power Push - HER NAME IN BLOOD × KSUKE
海外に挑戦するということ
HER NAME IN BLOODが9月にメジャー1stフルアルバム「BAKEMONO」をリリース。本作を携え、11月から初のヨーロッパツアーへ向かう。
「BAKEMONO」にはタイトル曲を含めた新曲のほか、4月発売のミニアルバム「Evolution From Apes」収録曲「LAST DAY」「DOWN」などを収録。さらにDJのKSUKEがリミックスを手がけた「Last Day(KSUKE Remix)」も収められている。そこで音楽ナタリーでは、HER NAME IN BLOODのIkepy(Vo)、Daiki(G)、Makoto(B)とKSUKEの座談会を企画した。「Last Day(KSUKE Remix)」の制作秘話や、海外でライブする際の心構えなど多岐に渡ったトークを楽しんでほしい。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / 上山陽介
真逆の世界にいる2組
──2組の出会いを教えてください。
Makoto(HER NAME IN BLOOD / B) 俺らとKSUKEはレーベルメイトなうえに制作スタッフも同じだから、いつも使ってるスタジオに行ったらKSUKEがいて。それが最初の出会い。ロクヨン(NINTENDO64)やったよね?
KSUKE はい、スマブラ(「大乱闘スマッシュブラザーズ」)を(笑)。
Makoto そこで一緒にやってみたら、KSUKEがめちゃくちゃ強かった(笑)。そうやって現場で顔を合わせてるうちにちょっとずつKSUKEが心を開いてくれるようになって。
KSUKE まだ開いてないです(笑)。
Ikepy(HER NAME IN BLOOD / Vo) マジっすか(笑)。
KSUKE いや、嘘です(笑)。僕、メタルはあんまり聴かないのでハーネームの存在を知らなかったんだけど、仲よくなってライブを観に行ったらすごくカッコよくて。そこからすぐ尊敬の目で見るようになりました。
Makoto 僕はKSUKEのパフォーマンスをYouTubeとかで観てたし、海外でも活躍してる最先端の人ってイメージがあって。
Ikepy 僕もレーベルメイトにKSUKEという人がいるというのを知って音源を聴いたんですけど、本当に最先端の音だと思った。自分らのやってることと真逆の音を出しているので、純粋にどういう人なのか気になりましたね。もっとパーティ感のある人だと思ってたんですけど、実際に会って話をしてみたら真面目でしっかりした人だった。
KSUKE はい、パーティ感ゼロです(笑)。
Makoto そのギャップがいいよね。それに音楽に対する熱量みたいなのが俺たちと一緒だなと思って。KSUKEの作業してるところを見ると、めっちゃ真剣なんですよ。同年代っていうのもあって尊敬してます。
Daiki(HER NAME IN BLOOD / G) 僕も最初の印象は「もう全然違う世界の人だ」って感じだったなあ。Ikepyと同じく、もっとパリピな感じの人だろうと想像してたんだけど、実際に会うと意外とおとなしくて(笑)。がんばってるところも見てるんで、尊敬してます。
ダンスミュージック、メタルの入り口になりうる「Last Day」リミックス
──HER NAME IN BLOODの最新作「BAKEMONO」には、KSUKEさんがリミックスを手がけた「Last Day(KSUKE Remix)」がボーナストラックとして収録されています。この経緯を教えてください。
KSUKE 僕が「ハーネームと一緒に曲を作りたい」ってプロデューサーに話をしてたんです。で、曲も作ってあったんですけど、ハーネーム側が忙しかったみたいで。そしたら同じタイミングで、ハーネームから「リミックスはどう?」って話をもらい、「ぜひ!」という感じでした。僕はもともとバンドをやってたんです。で、「バンドとダンスミュージックを合体させたらカッコいいのにな」って思ってて。そういう音楽はあるのはわかってますけど、自分でもやってみたいなと。ハーネームも僕も、世界を舞台に活躍してる日本人だと思うので、一緒にやってみたいなと思いました。
Makoto 近しい人といいものを作れるっていうのは単純にうれしいですよね。「好きにリミックスしてください」って言ってお願いしたんですけど、できあがったものも最高だった。
KSUKE リミックスは正直かなり試行錯誤しました。もともとの音圧がすごすぎて、ダンサブルなパートをどこに差し込むかすごく悩んだなあ。結果、Daikiさんのギターはそのまま生かしつつ、さらにギターを乗せて、ダンスパートを足す形にしました。
Makoto 「どうなるんだろう」っていろいろ想像してたんですけど、想像の上を行ってくれた。
Ikepy ボーカルとかギターとか「この音はどうしてくれるんだろう……」って思ってたところもちゃんと生かして作ってくれたんで、やっぱいいヤツだなと(笑)。
Daiki できあがったのを聴いたとき、普通にカッコいいと思いました。普段も聴いてます。
KSUKE ありがとうございます。
Daiki 正直あんまりダンスミュージックについて詳しくないんですけど、そういう自分が聴いても純粋にカッコいいと思ったし、これを入り口にいろいろなダンスミュージックを聴いてみたいなと思いました。
KSUKE それは意識したことで。これを機にメタルを聴いてたハーネームのファンもダンスミュージックに興味を持ってくれたらいいなと思いましたし、逆にダンスミュージックを好きな人たちにも、メタルとかバンドに興味を持ってもらえたらいいなと。だからこそ絶対にダサくしてはいけないと思いましたね。
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- HER NAME IN BLOOD ニューアルバム「BAKEMONO」/ 2016年9月14日発売 / 2700円 / Warner Music Japan / WPCL-12414
- 「BAKEMONO」
収録曲
- Free Me
- Redemption
- All This Pain
- Last Day
- Cut It Out
- BAKEMONO
- Wasting Away
- Psychopath
- Home
- White Lies
- No Name
- Down
- Lonely Hell
- Last Day (KSUKE Remix)
HER NAME IN BLOOD(ハーネームインブラッド)
Ikepy(Vo)、Daiki(G)、TJ(G)、Makoto(B)、Umebo(Dr)からなるメタルコア / ラウドロックバンド。2008年から活動を開始し、BEFORE MY LIFE FAILSとスプリットCDをリリース。同年開催された「Taste Of Chaos 2008 in Japan」への出演を経て、全国各地でライブ活動を展開していく。2010年に1stフルアルバム「DECADENCE」を発表。以降、数多くの海外アーティストの来日公演でサポートを務めるほか、「SCREAM OUT FEST」など大型イベントにも出演した。2013年末から2014年初頭にかけては、中国でのフェス出演を含むアジアツアーを実施。2014年4月にフルアルバムとしては約4年ぶりとなる「HER NAME IN BLOOD」をリリースし、同年5~9月に全国ツアー「RETURN OF THE BEAST TOUR 2014」を行った。2015年6月にWarner Music Japanよりメジャーデビューすることを発表し、9月にミニアルバム「BEAST MODE」をリリースした。10月にはデビュー作のレコ発ツアーをスタートさせたほか、アメリカで行われたSlipknot主催のライブイベント「KNOTFEST 2015」に出演し、Judas Priest、Korn、Mastodonらと競演。11月にはオジー・オズボーン主催によるライブイベント「Ozzfest Japan 2015」に参加した。2016年9月にフルアルバム「BAKEMONO」をリリース。11月に初のヨーロッパツアーを実施する。
- HER NAME IN BLOOD OFFICIAL WEB SITE
- HER NAME IN BLOOD|ワーナーミュージック・ジャパン
- Her Name In Blood (@HNIB_official) | Twitter
- HER NAME IN BLOOD|Facebook
- HER NAME IN BLOODの記事まとめ
KSUKE(ケイスケ)
全世界約20カ国・地域で開催されている「ULTRA MUSIC FESTIVAL」をはじめとし、米国・欧州・アジアなど世界を股にかけてDJ Play・楽曲プロデュースをしているDJ、プロデューサー。「beatmania IIDX」ではゲームの実力を測る段位認定でSP十段の実力を持つなど幼少期からゲームへの造詣が深く、ゲーム音楽がKSUKEの音楽クリエイテイブに大きく影響を与えたといっても過言ではない。HER NAME IN BLOOD、平井堅、MAN WITH A MISSION、MIYAVI、清水翔太、Major Lazerなど国内外問わず、著名アーティストとのコラボやRemixを手がけ、DJとしてだけでなく、 プロデューサーとしても国内外で活動の場を増やし続けている。