音楽ナタリー Power Push - HER NAME IN BLOOD × NOCTURNAL BLOODLUST
ラウドシーンの変遷たどる盟友対談
“エクストリーム”なバンドとは
──ノクブラは自分たちのジャンルをよく"エクストリーム"と呼んでいますけど、どういう意味でその言葉を使っているんですか?
Masa ウチの場合はゴリゴリのヘビーチューンからしっとりしたバラードまで幅広くやります。だから総合的な音楽というか、いろいろ混ざってるから自分たちのジャンルを明確に言えないと思ってまして。あらゆるジャンル、音楽性を集めているからバンドという意味で“エクストリーム”という言葉を使ってます。
──ミクスチャーとはまた違う?
Masa 世間的にミクスチャーのイメージはすでにできあがってるじゃないですか。だからエクストリームという言葉を使ってます。
──いろいろなジャンルをミックスした音楽の中でもっとも極端なものみたいな意味ですか?
尋 エクストリームって意味そのままですけど、“究極”ですかね(笑)。
Masa うん、究極の音楽性を目指そうと。ここまでいろんな要素が入ってるバンドもいないと思うから。それらを指す言葉として、エクストリームと言ってます。
Ikepy HNIBのエクストリームって、なんだろうなあ……。僕らにとってのエクストリームはほかとは違うことをやって、気持ちよく聴き手を裏切るってことかな。
主催フェス構想について
──HNIBは今回ツアーで異種格闘技戦のような対バンをしますけど、自分たち主催のフェスをやりたいとか、大きな構想はありますか?
Makoto 確かに自分たち発信のフェスをやってみたいですね。パンクシーンには「AIR JAM」があったけど、メタルでもそういうことをやれたらいいな。
Ikepy ラウドシーンがこれだけ活発化している一方で、すでに飽和してるところもある。だからもっといろんなことをしなきゃいけないと思うんです。その1つとしていろんなジャンルのアーティストを集めたフェスを自分たちでやってみたいって思いはあります。自分たちのサウンドを芯に持ちつつ、それをどれだけ多くの人に伝えられるかっていう勝負の場にもなると思うので。
──ノクブラはフェスをやってみたい気持ちはありますか?
Masa 自分たち主催のフェスはやりたいですね。そのためには自分たちがもっと力を付けなきゃいけない。海外進出もそうだけど、今後もいろんなジャンルを巻き込んでいきたいですね。
──尋さんはT.M.Revolutionが好きだと以前から公言してます。西川貴教さんは滋賀で野外イベント「イナズマロック フェス」を主催していますが、感化される側面はありますか?
尋 西川さんは主催フェスで地元を盛り上げるきっかけを作っているので、やっぱりすごい人だなあって思います。僕にとって彼は神のような存在なんです。彼の活動は楽曲だけでなく、すべてチェックしてます。
──熱狂的なファンなんですね。
尋 はい。アニメ「るろうに剣心」のエンディング曲「HEART OF SWORD ~夜明け前~」を初めてテレビで聴いたときに、「なんじゃこれは!?」と衝撃を受けて、それ以来ずっと。
Makoto わかる気がする。西川さんはアーティストとして一流な上にすごい企画力があって、エンタテインメント性にも富んでるアーティストだよね。
──HNIBはエンタテインメント性を求めることってありますか?
Ikepy 「ONE REASON」のミュージックビデオで学ラン着たことくらいかな(笑)。
──なるほど(笑)。エンタメというかコミカルなものでしたね。
Ikepy ここ最近のラウド系バンドはああいうことをやってなかったから、やるなら今かなって。でも海外のメタルバンドは平気でああいうコミカルなことをやるじゃないですか。バカバカしいことを大マジメにやるのもエンタメなのかなあって思ってます。
来たるファイナルシリーズに向けて
──結成時の話へと戻りますが、HNIBはメタルコアバンド、ノクブラはハードコアバンドとして活動してました。当時と比べて国内のラウドシーンの盛り上がりに対してはどんな印象を持ってますか?
Masa ラウド系はもうアングラな音楽じゃなくなったなと。みんなテレビに出たり、海外にも行ったりしますからね。ANTIKNOCKで昔一緒にやっていたCrossfaith、Crystal Lakeもライブの動員を増やしてますからね。よりメジャーでポピュラーなものになってるから、活動しやすくなりました。
──音楽的にはより一層マニアックなことをやっても受け入れられそう?
Masa そうですね。激しくて、コアな音楽に触れるお客さんが増えてきてるんで。今回のHNIBのファイナルシリーズって、今まで絡みそうで絡まなかったバンド同士が競演するライブだから、お客さんもいろんな音楽に触れられるいい機会になりますよね。最近は各方面でそういう動きをするアーティストが増えてる感じもするし、いろんなアーティストがこういうライブをどんどん打っていくべきだと思います。
Ikepy 競演してくれる3バンドはそれぞれタイプが違うので、いかにして対バンを潰せるか、ファンを奪えるかを研究しておきます(笑)。どれも内容や雰囲気が違う3公演になると思うから、今から楽しみです。
Makoto それでライブを観たお客さんが「バンドをやりたい、楽器をやりたい」と思ってくれたらなおさらうれしいですね。
尋 うん、ファンになってくれるのもうれしいけど、「あなたに憧れて音楽を始めました」と言ってもらえるような影響を与えられる人間になりたい。こういうライブを観て、「ラウドロック超カッコいいじゃん!」と思って、ラウド系の音楽をやり始めてくれる人が増えたらいいですね。
HER NAME IN BLOOD "BEAST MODE TOUR 2015 FINAL Series"
- NOCTURNAL BLOODLUST シングル「PROVIDENCE」 / 2015年6月17日発売 / IRIS & CRISIS
- 初回限定盤 [CD2枚組] / 2040円 / NCBL-15
- 通常盤 [CD] / 1620円 / NCBL-16
HER NAME IN BLOOD(ハーネイムインブラッド)
Ikepy(Vo)、Daiki(G)、TJ(G)、Makoto(B)、Umebo(Dr)からなるメタルコア / ラウドロックバンド。2008年から活動を開始し、BEFORE MY LIFE FAILSとスプリットCDをリリース。同年開催された「Taste Of Chaos 2008 in Japan」への出演を経て、全国各地でライブ活動を展開していく。2010年に1stフルアルバム「DECADENCE」を発表。以降、数多くの海外アーティストの来日公演でサポートを務めるほか、「SCREAM OUT FEST」など大型イベントにも出演した。2013年末から2014年初頭にかけては、中国でのフェス出演を含むアジアツアーを実施。2014年4月にフルアルバムとしては約4年ぶりとなる「HER NAME IN BLOOD」をリリースし、同年5~9月に全国ツアー「RETURN OF THE BEAST TOUR 2014」を行った。2015年6月にWarner Music Japanよりメジャーデビューすることを発表し、9月にミニアルバム「BEAST MODE」をリリースした。10月にはデビュー作のレコ発ツアーをスタートさせたほか、アメリカで行われたSlipknot主催のライブイベント「KNOTFEST 2015」に出演し、Judas Priest、Korn、Mastodonらと競演。11月にはオジー・オズボーン主催によるライブイベント「Ozzfest Japan 2015」に参加した。2016年1月にレコ発ツアーのファイナルシリーズとしてTHE冠、NAMBA69、NOCTURNAL BLOODLUSTをゲストに迎えた東名阪公演を行う。
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- HER NAME IN BLOODの記事まとめ
NOCTURNAL BLOODLUST
(ノクターナルブラッドラスト)
尋(Vo)、Daichi(G)、Cazqui(G)、Masa(B)、Natsu(Dr)からなる5人組バンド。2009年9月に結成し、メタルコア、ラウドロックなどをベースにさまざまな音楽的要素を織り交ぜた“エクストリーム”と称したジャンルを提唱して活動中。2013年からヴィジュアル系へとフィールドを広げ、同年5月に1stフルアルバム「GRIMOIRE」を発表した。その後もリリースを重ねつつ、全国各地で精力的なライブ活動を行っている。2014年3~5月にシングル3作品を連続リリースし、それぞれがオリコンの週間インディーズチャートでトップ10内にランクインするという結果を残した。12月には2ndアルバム「THE OMNIGOD」を発表した。そして2015年2月にギルガメッシュ、BULL ZEICHEN 88、HER NAME IN BLOODをゲストに迎えた自主企画「TERRANIGMA」を開催して盛況を収めた。6月には6thシングル「PROVIDENCE」を発売し、東京・赤坂BLITZにてワンマンライブ「銃創」を行った。2016年5月22日には東京・EX THEATER ROPPONGIにて東名阪ワンマンツアー「VANADIS」 のツアーファイナルを開催する。