ナタリー PowerPush - Hemenway
連続リリース&ライブを経て完成した集大成アルバム「The Music」
僕たちに出せる100%の音楽
──そしてついに全18曲収録という1stフルアルバムができたわけですが、デジタルシングルを連続リリースしている段階でアルバムのことは見据えていたんですか?
Isaac 連続リリースを始めた頃は、ゴールがアルバムっていうふうには思ってなくて、アルバムはアルバムでカッコいいものを作りたいなと思ってたんです。でも今年ずっと連続リリースで盛り上げてきて、ファンにはアルバムを2年も待ってもらってる状況もあったので、配信曲とこれからのHemenwayを期待させるような新曲を入れて。なので長くなっちゃったんですけどね(笑)。
Toshi アルバムって12~13曲でまとめるのが一般的なのかもしれないですけど、配信でリリースしてきた曲はどの曲もシングル同様のクオリティだし、アルバムから外すことはできないし……ってことで開き直って18曲入れました。これがHemenwayのアルバムだ!って言える1枚になったと思います。
──毎月、シングルのクオリティの曲を出し続けたってことがすごく有意義だったんじゃないですか? それがアルバムに入ろうが入るまいが。
Toshi それは絶対そうですね。
Charm そもそも全部がパッケージシングルで出せるような曲という感覚でやってたんです。だから18曲それぞれが違うし、それをまとめた作品だからタイトルが「The Music」になったのかなという気もするし。僕たちに出せる100%の音楽を「The Music」と言いたかったんですね。
──アルバムには「The Music」という曲も入ってますが、この曲はどうやってできたんですか?
Charm これは10カ月連続リリースの中で、初めてゼロからできた書き下ろしの曲ですね。
──それまでの楽曲に比べるとダンスロック的なアプローチが生きてて、Hemenwayらしいですよね。ソングライターとしてのCharmさんのスキルが発揮された曲だなあと。歌詞も生々しくてリアリティがありますよね。
Charm そうですね。書いた時期が10カ月連続リリースの半ばぐらいで。やっぱり同じプロセスを繰り返すと、人って少しずつ慣れてくるところがあるじゃないですか。いい意味では適応できてるとも言えるんですが、好きだった音楽が流れ作業になっていて、それはどうなんだろう?ってことを深く考えてみたんです。メジャーデビューして今や音楽は仕事でもあるけど、やっぱり僕にとっては仕事だけではないし、芸術っていうより楽しく遊べるものでもあるし、本当に大切なものだなということを改めて感じて書いた歌詞なんです。「楽しい音楽が止まらないでほしい」っていうテーマで、この曲を書いたことで少しすっきりしたところがあって。それが皆さんに伝わって、ライブでも楽しんでもらえたのが僕にとってはすごくうれしいことでしたね。
──出だしは「見えない 聞こえない 全てが 進まない」なのに、「耳を 澄ませば 答えが 聴こえてる」に変化していく、すごく素直な歌詞ですもんね。
Charm 僕の音楽に対する告白じゃないですけど……それがちゃんと伝わったことが大事でしたね。
──Hemenwayってどんなバンドかっていうのが端的に現れてるし。
Toshi そうですね。大事なライブの前にみんなでMCでどんなことを言うのかすごく深く話したことがあって。でもどれだけ突き詰めて話しても、僕らは音楽によって出会った4人だし、音楽で結束してるっていうことしか出てこないんですね。だから別に音楽で政治的なことを訴えるわけでもないし、何か世の中のことを変えようとか、人を救おうとか思ってるわけではなくて、「とにかく音楽が好きで、それを表現してる」ってことしか出てこなくて。でもそれが「The Music」の歌詞にリンクしてるし、初めての人にも伝わりやすいものに仕上がっているし。自分たちにとっても、アルバムの中でも大事な曲になってます。
“点”が“面”になったアルバム
──今年は大いに悩んでそして前進して、アルバムにようやく到達したわけですが、来年に向けての展望は?
Charm 今回の1stアルバムって僕たちが“正解”を求めて作ったアルバムかなというところがあって。でもそもそも音楽の“正解”ってないもので。だから今度は、また違う自分たちの音楽に対する“正解”を探してみたいなと。そう思いながら来年は改めてスタートできるというのがうれしいです。
──今回探した正解というのは?
Charm 僕たちの中にある「J-ROCKの正解」ですね。僕は日本の音楽が大好きなんですけど、Isaacと一緒に日本のロックを意識しつつも違う音にしようと思ってアプローチしたとき、周りの日本人の人から「いや、もうこれはJ-ROCKに聞こえるね」って感想がけっこうあったんです。そういうことがあって、やっぱり僕の骨の部分はJ-ROCKなんだなと思って。そういう部分がアルバムに凝縮されていると思います。
Toshi あと今までって“点”でしか出せてこなかったものをちゃんと“面”としてアルバムで出せましたね。これ1枚で「Hemenwayってどういうものか?」を説明できる、そういうアルバムになってると思うんです。なので、リリース後は自ずとバンドの見え方が変わってくると思うし、これを聴いたより多くの人をライブに迎えつつ、未来を見据えていけたらなあと思います。
アルバム「The Music」トレイラー / Hemenway
半分人間 / Hemenway
- Hemenway 1stアルバム「The Music」 / 2013年12月25日発売 / 3059円 / Ki/oon Music / KSCL-2345
- Hemenway 1stアルバム「The Music」 ジャケット
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収録曲
- Listen(Album Ver.)
- The Music
- 半分人間
- Tonight
- バイマイサイド(Album Ver.)
- 幻想とダンス
- GET UP
- フューチャー考察
- 花降る夜
- 祈り
- 優しい言葉
- 火花
- Escape(Album Ver.)
- あのさ
- スタート革命
- Will You Stay?
- Goodbye
- 迷い道の上で
Hemenway 東名阪ツアー「The Music」
- 2014年3月29日(土)
- 大阪府 LIVE HOUSE Pangea
- 2014年3月30日(日)
- 愛知県 ell. SIZE
- 2014年4月5日(土)
- 東京都 WWW
※2014年1月31日(土)23:59までチケット先行販売中。詳細はコチラ!
Hemenway(へめんうぇい)
アメリカ・バークリー音楽大学を卒業した韓国系アメリカ人のIsaac(Vo, G)、Charm(G)、日本人のOgaching(B)、Toshi(Dr)の4人からなるロックバンド。2010年にIsaacとCharmが来日し、日本に帰国していたOgachingとToshiとともにバンドを結成した。2011年11月にメジャーデビューシングル「Listen」を発売。アメリカで学んだ音楽理論や技術を反映したハイクオリティなサウンド、美しいメロディ、日本語と英語を柔軟に交えた情感豊かな歌詞で注目を集め、2012年1月リリースのシングル「バイマイサイド」はアニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のエンディングテーマに採用された。同年5月にアニメ「エウレカセブンAO」のオープニングテーマであるニューシングル「Escape」を、11月には配信限定のミニアルバム「裏ヘメ Welcome to the Other Side」をリリースした。2013年に入ってからは10カ月連続新曲リリースおよび連続ライブを実施し、同年12月に待望の1stフルアルバム「The Music」を発表。