ナタリー PowerPush - Hemenway

連続リリース&ライブを経て完成した集大成アルバム「The Music」

2013年は10カ月連続でデジタルシングルをリリースし、それに伴い毎月Shibuya eggmanでライブを敢行。11月に開催したワンマンライブでは、1年の集大成を見せたHemenway。いわばバンドの地力と存在理由を突き詰めてきた今年、その締めくくりにデビュー2年目にして待望の1stフルアルバム「The Music」をリリースする。これまでの彼らを余すことなくパッケージしたフルボリュームの今作に至る思いと今後について聞いた。

取材・文 / 石角友香 撮影 / 福本和洋

リリースもライブも鍛えられた2013年

──改めて今年の10カ月連続デジタルシングルリリースは、バンドにとってどんな意味があったんでしょうか?

Charm(G) 曲作りを鍛えるという意味もあったんですが、僕とIsaacはロスにいた頃から、自分たちで作る曲に愛着があって、ずっとそれをどういう形で世の中に出すのが曲にとって幸せなんだろう?って考えてたんです。だから今年は10カ月連続で配信シングルリリースすることで、そうした曲を丁寧に出していけましたね。自分たちの目的も達成できたし、アルバムにパッケージできたことでこれまでの集大成になりました。

──また連続リリースに伴うShibuya eggmanでのライブを振り返ってみての手応えはいかがですか?

Charm ライブを毎月同じ会場でできることってあまりないと思うんですよね。毎回、反省することもあったし、それをうまく修正して次に反映できて、全般的に勉強になったと思います。今年はリリースもライブもすごく鍛えられたっていう感がありますね。

Isaac(Vo, G)

Isaac(Vo, G) そうだね。やる前は正直、ただ楽しそうだなっていうだけだったんだけど。それに作品を出す機会が増えたことで、前よりも4人で話すようになったし、曲のことだけじゃなく、タイトルやジャケットデザインの細かいところまで話すことで、バンドの結束も強まった感じがしますね。

──ライブに来るお客さんに変化はありましたか?

Charm 僕らはインディーズでの経験がなかったし、どんなバンドなのか?ということを連続リリースを始める前に発表した3枚のシングルでは表現できていなかったところもあると思うので。それに配信限定の曲を聴く人もまだまだ少ないと思うんです。そんな状況の中で、ライブのお客さんがすごく変わったとかではないんですけど、来てくれているお客さんに僕たちの曲を毎月届けられたのはうれしかったですね。

──Toshiさんは10カ月連続ライブを終えてどうでしたか?

Toshi(Dr) 10カ月にわたってライブをやっていく中で、最初は決め事としてその月と先月リリースした曲はセットリストに組み入れようとしてたんです。でもイベントライブっていう条件の中でセットリストを組んでいくと、どうしてもバランスをとるのが難しくて。それで後半からもう少しコンセプチュアルにしたり、大胆にセットリストをいじってみたら、それまでとは違う反応を感じたんですよ。男性のお客さんが増えたり、ワンマンライブが盛り上がったりして。もちろんまだ大きくポピュラリティを得たわけではないんですけど、どういうことをしていけばいいのか?っていうのがわかったのも、10カ月同じ場所でできたからこそだなと思いますね。

──Hemenwayの多彩な色を出すほうが反応がよかった?

Toshi そうですね。新曲やシングル曲を演奏するといった守らなきゃいけない部分と、新しい要素を取り入れて攻めにいく部分のバランスをもっと突き詰める必要があるっていうのを、この1年の中でみんな意識するようになってきましたね。そういう考えを拡大させていけばいいのかな?っていうふうにすごく感じます。

Ogaching(B)

Ogaching(B) 僕は盤で出すとなるとそれなりにプロセスが必要だし、ライブに何回も来る人はなるべく多く僕たちの曲を知ってるほうが楽しめると思うのでデジタルシングルはよかったと思うんです。それにライブに来れない人も、2013年のHemenwayがどういうふうに進んできたのか?っていう物語を、第1弾の「フューチャー考察」から最後の「迷い道の上で」までの10曲を通して感じてもらえるし。出す順番も含めて、自分たちのメッセージを出すことができたかなあと思っていますね。

Hemenway 1stアルバム「The Music」 / 2013年12月25日発売 / 3059円 / Ki/oon Music / KSCL-2345
Hemenway 1stアルバム「The Music」 ジャケット
収録曲
  1. Listen(Album Ver.)
  2. The Music
  3. 半分人間
  4. Tonight
  5. バイマイサイド(Album Ver.)
  6. 幻想とダンス
  7. GET UP
  8. フューチャー考察
  9. 花降る夜
  10. 祈り
  11. 優しい言葉
  12. 火花
  13. Escape(Album Ver.)
  14. あのさ
  15. スタート革命
  16. Will You Stay?
  17. Goodbye
  18. 迷い道の上で

Hemenway 東名阪ツアー「The Music」

2014年3月29日(土)
大阪府 LIVE HOUSE Pangea
2014年3月30日(日)
愛知県 ell. SIZE
2014年4月5日(土)
東京都 WWW

※2014年1月31日(土)23:59までチケット先行販売中。詳細はコチラ!

Hemenway(へめんうぇい)
Hemenway

アメリカ・バークリー音楽大学を卒業した韓国系アメリカ人のIsaac(Vo, G)、Charm(G)、日本人のOgaching(B)、Toshi(Dr)の4人からなるロックバンド。2010年にIsaacとCharmが来日し、日本に帰国していたOgachingとToshiとともにバンドを結成した。2011年11月にメジャーデビューシングル「Listen」を発売。アメリカで学んだ音楽理論や技術を反映したハイクオリティなサウンド、美しいメロディ、日本語と英語を柔軟に交えた情感豊かな歌詞で注目を集め、2012年1月リリースのシングル「バイマイサイド」はアニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のエンディングテーマに採用された。同年5月にアニメ「エウレカセブンAO」のオープニングテーマであるニューシングル「Escape」を、11月には配信限定のミニアルバム「裏ヘメ Welcome to the Other Side」をリリースした。2013年に入ってからは10カ月連続新曲リリースおよび連続ライブを実施し、同年12月に待望の1stフルアルバム「The Music」を発表。