ナタリー PowerPush - Hemenway
連続リリース折り返し地点 再スタートを歌う勝負曲
Hemenwayのニューシングル「スタート革命」が完成した。今年1月より10カ月連続新曲リリース企画および、それと連動した10カ月連続ライブを展開している彼ら。その第6弾にあたる「スタート革命」は、アニメ「デュエル・マスターズ ビクトリーV3」のオープニングテーマとしてオンエア中で、ひさびさのパッケージシングルとしてもリリースされる。
今回ナタリーでは、新曲についてだけでなく、バンドの今の状況や戦略、今後の展望をテーマに語ってもらうインタビューを実施。「誰だっていつからでも再スタートできる」という曲のメッセージが意味するところを、メンバー4人の言葉から探った。
取材・文 / 柴那典 インタビュー撮影 / 高田梓
今は経験値を溜めてる時期
──「スタート革命」、カッコよかったです。
Isaac(Vo, G) ありがとうございます!
──でも今日は曲の話は後回しにして、まずはぶっちゃけ今のHemenwayはどうなってんだ?って話をしようと思ってるんですよ。というのも、2011年にデビューして、シングル3枚リリースして、「裏ヘメ Welcome to the Other Side」というミニアルバムを配信限定でリリースして。そろそろフルアルバムを出すかと思いきや、10カ月連続でシングル。これはどういうことなのか、と。
Charm(G) ほんとですよね(笑)。
Isaac まあ、すごく曲があるんですよ。それに、曲を書くスピードの早さが自分たちの強みでもあるし、だったらほかのアーティストにはできなさそうなことをやってみたいなと思って。10カ月連続リリースもそういう思いで挑戦してるんですね。とにかく、毎月リスナーに新曲を届けられるっていうこともうれしいし。
──傍からはスパルタ特訓みたいに見えたりもしますけど、実際どうなんですか?
Isaac なかなかスパルタです(笑)。楽しい部分もあるんですけど、やっぱりキツい部分もあるし、制作の時間がなかったりするときもあるんで。でも、すごく勉強になるんですよね。ライブも毎回同じ会場(shibuya eggman)でやることで違う反応も見れるし。自分たちにはいわゆるインディーズの経験がないので、そういう意味で勉強の時期だと思います。
Toshi(Dr) ライブも制作も、どっちも絶対クオリティを落としたくないっていう挑戦でもあるので。どんどんパワーアップしてるのを実感しますね。でも、早いです、この半年が(笑)。
Ogaching(B) 毎月リリースした曲をその月のライブで披露するっていうことを決めているんです。やっぱり曲によってキャラクターが違うし、その曲をどうやって生かしてライブを作っていくかを考えなきゃいけないし。それぞれ試行錯誤があって楽しいですね。
Charm うん。今はEXP、経験値を溜めてる時期というか。今、この企画はうちにはすごくいい経験じゃないかなとは僕は思ってます。
──バンドの足腰が強くなってるというか、基礎体力の部分が鍛えられてるという?
Isaac ほんとにそうですね。レコーディングはCharmの家でやってるんですけど、4人で間を置かずに密に作業をすることで、レコーディングに対しての体力も鍛えられてるんですよ。
連続リリースは“ハミ出す部分”を見つける作業
──こういう曲の出し方って独特ですよね。アルバム1枚を作るときは流れの中で必要な曲や遊びの曲を作ったりもするけど、そうじゃなくて、とにかく勝負曲を10回出すみたいな。
Charm そうですよね。全部シングルなんですよ。
Toshi アルバムをバンドで作る経験をまだしてない段階でやってることなんですけど、1曲1曲にものすごくエネルギーを注いでますね。しかも全曲同じような方向で打ち出しているわけでもないので。
Ogaching その中で自分たちの芯がブレないようにって意識してるところはありますね。
──芯というと、例えばどういうところ?
Ogaching バラードだったり、ロック調の曲もあったり、ポップに寄ってたり、いろんな曲があって。その中で、Hemenwayってなんなんだろう?っていうところで、僕たちがバラバラにならないようにっていうのはやっぱり最近すごく話し合ってることだし、意識してることなんですよね。それがなんなのかって説明するのは難しいのかもしれないですけど。
──Charmさんはどうですか? Hemenwayの芯の部分にはどんなイメージがありますか?
Charm またゲームの例えになるんですけど、サッカーゲームとかの選手のパラメーターって、攻撃とか守備とかで、五角形とか六角形のスペックになってるじゃないですか。バンドも一緒だと思うんですよ。で、どこが突き抜けてるかはバンドによって違うんですけど、Hemenwayとしては基本的にはバランスよくいきたいんです。ただ、その中でも1つのパラメーターは絶対ハミ出すべきだとは思っていて。で、この10カ月連続リリースは、そのハミ出す部分を見つける作業でもあるんじゃないかなと思います。
- ニューシングル「スタート革命」 / 2013年6月26日発売 / Ki/oon Music
- 通常盤 [CD] / 1223円 / KSCL-2248
- 期間限定盤 [CD] / 630円 / KSCL-2249
通常盤収録曲
- スタート革命
- 吐かない言葉
- Dreamboat
- スタート革命(アニメ OP Ver.)
- スタート革命(Shining Guitar Ver.)
期間限定盤収録曲
- スタート革命
- スタート革命(アニメOP Ver.)
Hemenway(へめんうぇい)
アメリカ・バークリー音楽大学を卒業した韓国系アメリカ人のIsaac(Vo, G)、Charm(G)、日本人のOgaching(B)、Toshi(Dr)の4人からなるロックバンド。2010年にIsaacとCharmが来日し、日本に帰国していたOgachingとToshiとともにバンドを結成した。2011年11月にメジャーデビューシングル「Listen」を発売。アメリカで学んだ音楽理論や技術を反映したハイクオリティなサウンド、美しいメロディ、日本語と英語を柔軟に交えた情感豊かな歌詞で注目を集め、2012年1月リリースのシングル「バイマイサイド」はアニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のエンディングテーマに起用された。同年5月にアニメ「エウレカセブンAO」のオープニングテーマであるニューシングル「Escape」を、11月には配信限定のミニアルバム「裏ヘメ Welcome to the Other Side」をリリース。2013年に入ってからは10カ月連続新曲リリースおよび連続ライブを実施している。同年6月にニューシングル「スタート革命」を発表。