ナタリー PowerPush - Hemenway
日本・韓国・アメリカの感性を交えた個性派4人組がメジャーデビュー
渋谷で偶然再会したのも何かの縁
──Isaacさんはどういうつながりで出会ったんですか?
Charm 僕がIsaacと初めて会ったのは、入学した頃でした。その時はちょっと挨拶をした程度だったんです。その後、2年半とか3年ぐらい交流が全くなくて、卒業が近くなった頃かな? 話をする機会があったんです。そのときにIsaacが日本の音楽が好きだということがわかって仲良くなったんです。
Isaac 僕は日本の音楽がすごく好きなんですけど、Charmが日本の音楽を好きだということは全然知りませんでした。その頃、髪型も今と違っていて、エジプトみたいな感じだったんです。
Charm エジプトって(笑)。
──スフィンクスみたいな?
Isaac そうです(笑)。だから「ちょっと変わってるな」っていう印象でした。でも、日本の音楽が好きという共通点があったのはうれしかったですね。しかも、好きというレベルがかなり高いんです。それを知ったときに、一緒に何かやれたらいいなって思うようになりました。
──それぞれ出会った時期は違いますけど、仲良くなったきっかけはやっぱり音楽なんですね。
Isaac はい。
Charm 卒業後、2年間ぐらいIsaacと一緒にソングライティングチームというか、楽曲作りをやっていて、2010年に「日本に行こう!」という話をして、2人で日本に来ました。
Ogaching 2人が来日した後、本当に偶然なんですけど、渋谷でCharmとバッタリ再会したんです。
──それもすごいですね。
Charm アメリカではIsaacと曲作りをしてましたが、ずっと「バンドをやりたい」という気持ちがあったんです。渋谷で再会したのも何かの縁なのかなって思いましたし、一緒にバンドをやりたいという話をしたんです。
──なるほど。バンドをやるために、出会うべくして出会ったのかもしれないですね。
Charm はい。
──Hemenwayというバンド名は、4人でバンドをやろうと決めてから考えたんですか?
Charm そうですね。僕とToshiが住んでた家が「Hemenway」というストリートに面していたのと、Isaacもその通り沿いに住んでいたので。
Isaac うん。Hemenwayと別のストリートが重なってる交差点付近に住んでたので。
Toshi 一応Hemenwayに面してたよね?
Ogaching 僕だけ違う通り沿いに住んでました。
Isaac あ、自分から言ってる。
Ogaching 言われる前に言っておこうかなって(笑)。
日本のマーケットに向いている音楽を作ろう
──バンド名が決まり、4人でバンドをスタートするとき、どんなバンドにしたいと考えていましたか?
Isaac 曲作りは僕とCharmが主にやっているんですが、自分たちが聴いてきた音楽もバンドサウンドや日本の音楽が多かったですし、日本のマーケットに向いている音楽を作ろうと思いました。自分たちが学校で習ったものも、うまく生かせたらいいなって。
──2人はソングライティングチームとして曲作りをしてきたということですから、そうやって作った楽曲をもとにバンドがスタートしたわけですね。
Ogaching メールで7~8曲ぐらい送ってもらったんですが、いろんなタイプのある曲の中で最初に聴いたのがデビューシングルとなった「Listen」なんです。シングル向けのキャッチーな印象がありましたね。この曲はCharmが作ったんですが、デモの段階ですでに形ができあがっていました。完成度でいうと90%ぐらいだったと思います。
──いつもデモを作成するときは、ある程度まで形を作っていくというスタイルなんですか?
Charm はい。作るからにはほかの音楽に負けたくないんです(笑)。なので、自分が持ってる機材で作れる範囲で、デモの時点からできるだけ完成度を高くするのが目標なんです。
──デモで完成度を高めておいて、あとは、みんなでバンドとしてのサウンドに仕上げていく、と。
Charm そうです。
Isaac 「Listen」を最初に聴いたとき、Charmらしい曲ですし、すごくいいなって思いました。
言葉の響きを重視した日本語詞
──結果的に「Listen」がメジャーデビュー曲となったわけですから、それだけ自信もあった曲だったんでしょうね。
Charm はい。レーベルに何曲かデモ音源を送るときにも「Listen」を1曲目にしましたから。
──この曲はどういうふうに作られたんですか?
Charm 僕の曲の作り方は、まずトラックを作り、そこにメロディと歌詞を付けていくという順番が多いです。この曲は、ギターを適当に弾いてたときにいいリフを思い付いたんです。「このリフ、いいんじゃないの?」って思って録音していたら、テンポが結構速くなっちゃいました(笑)。リフからイメージを広げていって、自然な感じで生まれた曲でしたね。「こういう曲を作ろう」と狙って作ったわけじゃなく、リフを弾いてるときに自分の中で聴こえてきた音をデモに全部詰め込んだら、こういう曲になったんです。
Isaac 最初と比べると歌詞は変わったよね。
──そうなんですか。
Charm 最初は英語で作ったんですが、日本語の歌詞にしようと思って、いしわたり淳治さんに手伝ってもらいました。英語の歌詞を作ったとき、その言葉の響きをすごく気に入ってたんです。なので、日本語に直すときも、元々の言葉の響きを残したいと思いましたので、いしわたりさんにもそのことを伝えました。言葉の響きを残すことによって、歌詞の内容や意味が変わっても構いません、と。
Hemenway(へめんうぇい)
アメリカ・バークリー音楽大学を卒業した韓国系アメリカ人のIsaac(Vo, G)、Charm(G)、日本人のOgaching(B)、Toshi(Dr)の4人からなるロックバンド。2010年にIsaacとCharmが来日し、日本に帰国していたOgachingとToshiとともにバンドを結成した。楽曲制作やライブ活動を行いつつレコード会社にデモテープを送り、キューンレコードからのメジャーデビューが決定。2011年11月にメジャーデビューシングル「Listen」を発売する。アメリカで学んだ音楽理論や技術を反映したハイクオリティなサウンド、美しいメロディ、日本語と英語を柔軟に交えた情感豊かな歌詞で、徐々に注目を集めている。