高垣彩陽さんはアニメでも現実でも“師匠”だった
──先ほど熊田さんと堀内さんのお話の中でも言及されていましたが、かな、玲美、響の師匠である烏丸理彩役に高垣彩陽さんというキャスティング、最高ですね。
一同 最高です!
──高垣さんとの印象的なエピソードなどはありますか?
熊田 めちゃくちゃあります! 高垣さんは普通にお話ししていてもものすごく熱い方だというのが伝わってくるんです。それは作品に対してはもちろん、人に対しても。例えばヒーラーガールズのライブの前にLINEで「がんばってね!」「緊張するかもしれないけど楽しんで」といったメッセージをくださいますし、終わったあとは「めちゃくちゃ楽しかったよ!」と。しかも、どこがどう楽しかったのかまで細かく書いてくださって。
礒部 しかも個別にそれをしてくださるんだよね。
堀内・吉武 そう。
熊田 2ndライブのとき、2階の関係者席ですごいペンライトが光っていて。私はステージで「あれ? なんで関係者席でペンライトが?」と思っていたんですけど、のちに高垣さんがめちゃくちゃ振ってくださっていたのがわかったという。アフレコのときもみんなに声をかけてくださいますし、本当に理彩さんみたいな、尊敬する大好きな先輩です。
堀内 私はお芝居の面でまだまだ未熟なところがたくさんあるんですけど、例えば「日常会話を意識したらもっとよくなるよ」とか具体的なアドバイスをしてくださったり。スタジオですれ違ったときなども、たまたま私がいつもと違う髪型をしていたら「その三つ編み、かわいいね」と言ってくださったり、本当に温かい方だと思いました。
吉武 私は、高垣さんとは4年ほど前に一度お会いしているんですけど、ここまで深くご一緒できたのは初めてで。人柄も歌声も、声優としての技術も、間近で見ていて“師匠”を感じましたし、2人も言ってたようにアフレコでも私たちのことを気にかけてくださって。私にとってアフレコブースはめちゃくちゃ緊張する空間で、しかもそこに高垣さんもいらっしゃるというのでさらに緊張していたんですけど、最初に高垣さんが「わからないことがあったらなんでも聞いてね」と言ってくださって、すごく気持ちが楽になったのをよく覚えています。アニメでも現実でも本当に師匠です。
──吉武さんが演じるソニアはずっと「烏丸!」と呼び捨てでしたが、現場でも「高垣!」とか。
吉武 言うわけないじゃないですか!(笑) ソニアは烏丸理彩の実力を認めているからこそ悔しくて、呼び捨てで張り合っているんですよ。
礒部 千颯ちゃんの言う通り、高垣さんは本当に本物の師匠で、太陽のような人だなと思います。私はアフレコでは数回しかご一緒できなかったんですけど、お互いにミュージカル好きなので、ミュージカルの話をよくさせてもらいまして。高垣さんは声優としてはもちろん、ミュージカル女優としても経験豊富なので、どうやって今の経歴に至ったのかとか、今後の自分の参考になるお話をたくさんお聞きしました。
──僕は高垣さんのインタビューも担当しているんですが、高垣さんが所属するミュージックレインはミュージカルのオーディションの案内が来る事務所ではないから、自分でオーディションを探してエントリーシートを書いて送っていたとか。
礒部 そう、マネージャーのフリをして「オーディションありますか?」と電話したり。ものすごいパッションで「そこまでしていいんだ?」「いや、高垣さんですらそこまでするんだ?」と、歌やアフレコの技術面だけでなく、人生の先輩として学ぶことがすごく多かったです。
──先ほどレーベルの方にちょろっと聞いたのですが、高垣さんはレコーディングのときに「私、ちゃんとみんなの先生になれてるかな?」と心配していたそうです。
一同 なれてます!
「ヒーラー・ガール」はいろんな角度から癒してくれる
──最初のほうのお話にもありましたが、入江監督もレコーディングに立ち会われたんですね。
礒部 こういうご時世なのでレコーディングも最少人数で行う必要があったんですけど、入江監督はリモートで参加してくださいました。毎回、終わったあとにありがたいお言葉をくださって、私たちはその言葉に癒されて帰るみたいな。こういう言い方は失礼かもしれないんですけど、入江監督はめっちゃかわいい方なんですよ。この方が監督だからこそ「ヒーラー・ガール」という作品ができあがったと言っても過言ではないぐらい、ご本人の癒し力が高い。
熊田 私たちが癒されてるもんね。
堀内 いつも温かく見守ってくださってね。
──皆さんは「ヒーラー・ガール」に出演されていますが、視聴者として作品に癒された体験などは?
吉武 めちゃくちゃあります。第1話の放送は4人そろって楽屋でリアタイ視聴して、そのあとお家に帰ってからも何回か観たんですけど、何回観ても癒されました。歌のパワーもめっちゃ感じますし、物語も温かいですし、かなちゃんのちょっとドジっ子なところ、玲美ちゃんのまっすぐなところ、響ちゃんの常にほわほわしているところとか、1人ひとりのキャラクターにも癒されますね。
熊田 「ヒーラー・ガール」は会話のテンポや間合いが独特だったり、ちょっと笑えるところも多くて。癒しって、例えばゆっくり温泉に浸かって気持ちよくなるみたいなパターンもありますけど、何かの拍子にふふって笑ったときに、ふと体の力が抜ける瞬間があるじゃないですか。それもある種の癒しというか、そういう癒され方もしますね。
堀内 私は第5話で響ちゃんの実家にみんなで行ったとき、響ちゃんの弟たちと一緒に遊ぶシーンが個人的にすごく好きで。特に祥典くんと玲美の、胸がキュンとするようなかわいいやりとりに癒されました。
礒部 癒しにもいろんな種類があって、マッサージで凝りをほぐすのも癒しだし、「明日もがんばろう」という気持ちにさせてくれるのも1つの癒しだと思いますし、熊ちゃんが言ってくれたようにふふって笑って体の力が抜けるのもそう。その意味では、「ヒーラー・ガール」はいろんな角度から私たちを癒してくれるし、細部にわたって癒しが仕掛けられているのを感じますね。
いつか直接「ヒーラー・ガール」の楽曲を届けられるように
──このインタビューの公開時には最終話の放送も終わっています。それを踏まえて、あるいは踏まえなくてもいいですが、最後に伝えたいことなどはありますか?
熊田 いいんですか? 私は、あの終わり方は続きがありそうだなって……。
一同 (笑)。
吉武 言っちゃっていいと思うよ。
熊田 でもなんか、自分で言うのは……。
──2期が観たいですね。
熊田 ありがとうございます!(笑) あのあと4人がどうなっていくのか、私はすごく気になっていて。私は響ちゃんとして「ヒーラー・ガール」の世界を生きられたことで、ものの見方や感じ方も変わりましたし、きっと今後の私自身の歩み方も変わっていくんだろうなって思います。そして「ヒーラー・ガール」を通して皆さんの日常を温かくするお手伝いが少しでもできていたなら、役者としても歌手としても幸せです。
吉武 私も「ヒーラー・ガール」という素敵な作品に携われたことに幸せを感じますし、私の役がソニアだったこともめちゃくちゃうれしくて。ソニアは私にはないもの、私が欲しいと思っているものをたくさん持っている子だったので、作品を通して彼女と一緒に歩むことができて本当に楽しかったです。きっとソニアは、これからもずっと理彩をライバル視し続けるんでしょうね(笑)。
堀内 茜音ちゃんも言ってくれたように、作品を観てくださった方が一歩前に進む勇気だったり、「自分は1人じゃない」という温かさをちょっとでも感じていただけたら本当にうれしいです。作中で、ソニアはもともとC級ヒーラーでしたけど、資格のない見習いヒーラーだった、かな、響、玲美もそろってC級ヒーラーになれたので、私たちも腕を磨いて、いつか皆さんに直接「ヒーラー・ガール」の楽曲をお届けできるようにがんばります。
礒部 アニメでも音楽でもなんでもそうなんですけど、皆さんの日常に大きな変化を与えることはすごく難しいと思うんです。その中で「ヒーラー・ガール」は、エンディングテーマ「Believe like Singing.」の歌詞にも「たった一つ、ほんの少し きっかけを抱きしめるの」とあるように、何かが変わるかもしれない、ほんの少しのきっかけをくれるような作品だと思っていて。なので、観てくださった皆さんがそういうきっかけを少しでも感じ取ってくださったらとてもうれしいです。あと、放送は終わっても作品と楽曲は残るので、1人でも多くの方に愛され続けてほしいです。
──先ほど堀内さんが「直接『ヒーラー・ガール』の楽曲をお届けできるように」とおっしゃいましたが、つまり「ライブをしたい」ということですよね。アニメは終わりましたが、ヒーラーガールズとしての今後の展望は?
吉武 もちろんライブもしたいです。まだ劇中歌は皆さんの前で歌ったことがないですし、「ヒーラー・ガール」という作品を経たことによって、私たち4人のやりたいこともどんどん広がっているので、それを実現できるようにがんばります!
熊田 オープニングの「Feel You, Heal You」もライブで歌ったのは「sêrênité」バージョンでしたし、もちろんアニメの放送前だったので、アニメを観てくださった方の前で披露したらまた違った印象を持っていただけるはず。
堀内 それこそミュージカル的な演出にも挑戦してみたいですし。
礒部 私たちはまだ1度しか、応援してくださっている皆さんと直に対面するイベントをできていないので、また皆さんと気持ちを共有したり、アニメを観てくださった方に「ありがとう」を伝えられるような機会をぜひ設けたいですね。
プロフィール
ヒーラーガールズ
礒部花凜、熊田茜音、堀内まり菜、吉武千颯による声優コーラスユニット。2021年1月に結成され、3月にカバーミニアルバム「Voices vol.1 ~アニソンコーラスカバーアルバム~」をリリース。4月に初の単独ライブ「ヒーラーガールズ 1st LIVE “Voices”」を開催し、7月に2枚目のカバーミニアルバム「Voices vol.2 ~アニソンコーラスカバーアルバム~」を発表した。8月には「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」の森口博子のステージにコーラスで出演。12月に2ndライブ「ヒーラーガールズ 2nd LIVE “Feel You, Heal You”」を行った。2022年4月にヒーラーガールズがメインキャストを務めるオリジナルテレビアニメ「ヒーラー・ガール」の放送がスタート。5月にアニメのオープニングテーマとエンディングテーマを収めたシングル「Feel You, Heal You / Believe like Singing.」、6月に劇中歌アルバム「Singin' in a Tender Tone」がリリースされる。