音楽ナタリー Power Push - 早見優×藤井隆特集
憧れの歌手をプロデュース! 藤井が考える、音楽との新たな向き合い方
メモリアルじゃないからね、これ!
──選曲に関してはいかがでした?
早見 さすがのひと言です。でも藤井さんは「夏色のナンシー」を入れたくなかったんですよね(笑)。
藤井 いやいや、大好きですよ! 僕が最初に買ったレコードですから。
早見 だからもういいよ、みたいな?(笑)
藤井 違いますよ!(笑) 「早見さんは『恋かな Yes! 恋じゃない Yes!』だけじゃないからね!」って言いたかったんです!
早見 あはは(笑)。藤井さんは私以上に私の音楽を把握してますよ。NHK FMの「お正月だョ!冬の芸人音楽祭」に呼んでくださったとき、「GET UP」をリクエストしてくださって、すごくうれしかったんです。「GET UP」はライブでは歌ってましたけど、ディナーショーとか企業パーティに参加するとみんな「夏色のナンシー」をリクエストしてくださいますからね。今回改めて歌ってみたら、当時の気持ちがよみがえったんですよ。あの頃はポップ路線が続いていたから、「GET UP」でダンサブルな方向に進みたいって思ってたんです。
藤井 本当は「PASSION」も入れてもらおうかなって迷いました。でも、これはあくまで第1弾ですからね。(早見を見つめながら)第2弾も視野に入れてますよ!
早見 視線がアツい(笑)。
藤井 7月に「GO! SLENDERIE GO! ~live delicacy~」というイベント(※参照:早見優の新作をプロデュース! 藤井隆ファンクラブ記念公演で新企画発表)で「Delicacy of Love」の楽曲を披露したんですけど、終わったあと弊社の者がなんか燃え尽きてたんですよ。「藤井さん、大成功でよかったですね!」とか言ってて。違う違う!(笑)
早見 これからスタートするんですよ!
藤井 そうですよ! メモリアルじゃないからね、これ。まだ第1弾だから!
早見 長ーくやっていくんですもんね。
藤井 僕はそのつもりです! 楽曲がいっぱいあるから、リミックスもずっとやっていきたいし、オリジナルも今回早見さんが楽しいって思ってくださったなら、ぜひまた作ってみたい。なんでしたら、レーベルはSLENDERIE RECORDじゃなくてもいいんです。
早見 藤井さんが「いつかやりたいですね」って言ってくださったことは大きいですよ。私が事務所の社長に「仕掛けてきて!」ってお願いしたら、最初はあまり乗り気ではなかったんですけど、ある日突然「SLENDERIE RECORDの皆さんと話してくる」って、打ち合わせに行ってくれて。その日のことはすごく覚えてます。それで帰ってきたら「いい感じで進めていけそう」って言ってて。
藤井 ありがたいですね。そもそも、CDリリースのきっかけはTOKYO MXの音楽番組「Disco Train」だったんですよ。
早見 藤井さんがゲストに来てくださったとき、ぜーんぶ早見優で選曲してくださったんです。それでいざ本番になったら、アツく語る語る(笑)。
藤井 迷惑でしたよね……。
早見 そんなことないですよ! ここまで好きで聴いてくれてたんだなって思って、すっごくうれしかったんです。
なんか「エクスプレス!」
──「恋のブギ・ウギ・トレイン」をカバーされたのはどうして?
早見 もともと私も大好きな歌で。今回藤井さんがプロデュースしてくださることが決まったとき、社長とも「歌いたいね」って話してたんです。最初は藤井さんに「全部英語詞で」ってご提案いただいたんですけど、「日本語で歌いたいです」ってわがまま言っちゃって。
藤井 いえいえ、言ってくださってよかったです。絶対そのほうがよかったですよね。
早見 冨田謙さんがすっごく素敵にアレンジしてくださって、今聴いても古い歌って感じがしないですよね。オリジナルより、テンポをちょっと上げてますか?
藤井 BPMはそんなに変えてないです。ただ音の刻みが細かいから、ちょっと速く聞こえるのかな。アン・ルイスさんのオリジナルは銀河鉄道みたいなキラキラした感じなんですけど……。
早見 当時のディスコっぽいイメージですよね。
藤井 早見さんバージョンは、なんというか、トレイン感が変わりましたよね。
早見 そうですか?
藤井 なんか「エクスプレス!」みたいな。どっちがいい悪いじゃないし、プロデューサーの欲目も入ってると思うんですけど、僕は断然オリジナルより好きです。
早見 ほんと? うれしいです。
藤井 カバー曲って感じじゃなくて、早見優さんの新曲って感じがするんですよね。
──僕も「Delicacy of Love」を聴かせていただいて、藤井さんの意図通り“歌手・早見優”の魅力に改めてスポットを当てた、すてきなアルバムだと思いました。
早見・藤井 ありがとうございます!
早見 リミックスっていろんなパターンがあるんですけど、ライブでも歌えるようにしてくださったんですよね。
藤井 リミックスをお願いするとき、「早見さんがオケでそのまま歌えるようにしてほしいです」って言ったんです。DE DE MOUSEさんの「誘惑光線・クラッ!」も、歌そのものはオリジナルのままですからね。
早見 そう。足してもいないし、前後を入れ替えてもいないんですよ。
藤井 あんなに違って聴こえるのに。デデさんはやっぱり歌謡曲への尊敬の念があるから、ちゃんとしてくださったんだな、って胸がいっぱいになりました。
早見 「夏色のナンシー」はジャジーな感じにアレンジしていただいたので、ジャズミュージシャンと共演して歌うこともできるなって思いますね。
藤井 あと、曲順をすごく悩んだんですよね。まずは2016年の早見さんを表す「溶けるようにkiss me」を聴いていただいて、「誘惑光線・クラッ!」「GET UP」で踊ってもらいつつ。「夏色のナンシー」でちょっと落ち着いてもらって、これで終わりかな?って思わせておきながら「恋のブギ・ウギ・トレイン」でエクスプレス!
早見 はははは(笑)。
藤井 「次に行きます!」っていう構成なんです。だからライブで披露する際も、この流れになると思います。僕が言えるのは、場所がクラブであろうと、相手がティーンの子たちであろうと、早見さんなら楽曲の強さと歌唱力とお人柄で、絶対に観た人たちを魅了できるということです。その後の握手会、サイン会も楽しみですので、皆さんぜひ観に来てください!
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- 早見優 ニューアルバム「Delicacy of Love」2016年8月24日発売 / 2000円 / よしもとアール・アンド・シー / YRCN-95260
- 「Delicacy of Love」
- Amazon.co.jp
収録曲
- 溶けるように kiss me
- 誘惑光線・クラッ!(DE DE MOUSE back to night mix)
- GET UP(APOTHEKE dawn on the river mix)
- Caribbean Night(okadada "love is the destiny" remix)
- 夏色のナンシー(Redefined by Seiho)
- 恋のブギ・ウギ・トレイン
- 藤井隆 DJミックスアルバム「DJ MIX "Delicacy" mixed by DJ DC BRAND'S」2016年7月13日発売 / 2500円 / よしもとアール・アンド・シー / YRCN-95259
- 「DJ MIX "Delicacy" mixed by DJ DC BRAND'S」
- Amazon.co.jp
収録曲
- アイモカワラズ
- ディスコの神様 feat. 藤井隆(Carpainter remix) / tofubeats
- YOU OWE ME(Radio Edit)
- I hold you tight
- 幸福インタビュー
- 素肌にセーター
- 未確認飛行体
- 赤と黒
- Socket
- 代官山エレジー
- I'M IN with YOU
- 究極キュート
- discoball
- make over feat.乙葉(On The TAKASHI ver.)
- SAVE ONESELF
- STAR BRIGHT LOVE
- わたしの青い空
- I just want to hold you(RAM RIDER REMIX)
- T&T Remix version / T&T(島田珠代・藤井隆)
- 1/2の孤独
- 月と砂漠と
- タメイキ
- 未来-Sex-
- drive me crazy
- 地球に抱かれて
- Sa ら Sa
- ある夜 僕は逃げだしたんだ
- OH MY JULIET!
- Quiet Dance(TAKASHI SOLO BPM124ver.)
- ナンダカンダ
早見優(ハヤミユウ)
静岡県出身。幼少期はグアムやハワイで育ち、現地で芸能事務所、サンミュージックプロダクションにスカウトされたことをきっかけに単身帰国。1982年にシングル「急いで!初恋」でアイドル歌手としてデビューし、同年開催された「第24回日本レコード大賞」で新人賞を獲得した。翌83年には「夏色のナンシー」で「NHK紅白歌合戦」に初出場。現在は歌手のみならず女優、タレントとしても活動を行っている。8月24日には藤井隆全面プロデュースのもとミニアルバム「Delicacy of Love」をSLENDERIE RECORDより発売。同作は自身21年ぶりの新作となった。
藤井隆(フジイタカシ)
1972年3月10日生まれ。1992年に吉本新喜劇オーディションを経て、お笑い芸人として吉本興業入り。2000年にシングル「ナンダカンダ」で歌手デビューし、同年「NHK紅白歌合戦」に初出場する。数々のシングルのほか、2002年発売のアルバム「ロミオ道行」、2004年発売のアルバム「オール バイ マイセルフ」などで高い評価を得ながらも、2007年8月発売のシングル「真夏の夜の夢」以降はしばらくアーティストとしての活動を休止。2013年6月にニューシングル「She is my new town / I just want to hold you」で6年ぶりにアーティスト活動を再開した。その後さまざまなアーティストとのコラボレーションも展開し、2015年6月におよそ11年ぶりとなるオリジナルアルバム「Coffee Bar Cowboy」を自身のレーベル「SLENDERIE RECORD」、同年10月には初のベストアルバム「ザ・ベスト・オブ藤井隆 AUDIO VISUAL」を発表。2016年7月には初のDJミックスCD「DJ MIX "Delicacy" mixed by DJ DC BRAND'S」をリリースした。8月24日にSLENDERIE RECORDより発売した早見優21年ぶりの新作「Delicacy of Love」ではプロデュースを担当している。