ナタリー PowerPush - HAPPY
20歳の5人が世界へ放つ「HELLO」
HAPPYが1stアルバム「HELLO」を8月6日にリリースする。
2012年1月に幼なじみの5人で結成されたHAPPY。60年代、70年代のサイケデリックポップやロックを彷彿とさせるサウンドと、1990年代生まれならではのみずみずしい感性を見事に融合させ、結成から約2年半ながら各所で話題を集めている。バンドにとって初めてのアルバムとなる今作に、彼らはどのような思いを込めたのか。メンバー5人に話を聞いた。
取材・文 / 小林千絵 撮影 / 福岡諒祠
学校終わって誰かの家で音楽聴くのが遊びだった
──5人は幼なじみなんですよね。
Alec(Vo, G) みんな別々のバンドやってたんですけど、僕らの地元って高校卒業したらみんなバンド辞めていくんですよ。だからバンドやりたいやつが集まっていったって感じです。
Ric(Vo, Syn) そのときChewはまだ何もやってなくて。
Chew(G, Syn) 俺以外の4人はバンド組んどって、大阪とか神戸にライブに来るときに、俺が大阪で一人暮らししてた家が宿やったんです。そこからですね。
Alec 「お前ギターやれや」みたいな(笑)。
──昔からみんなで音楽の情報を交換したりしていたんでしょうか?
Ric 遊ぶってなったらみんなで音楽聴くって感じやったんで、中学生くらいのときからみんなで音楽を共有してました。
Chew そやな。学校終わって誰かの家で音楽聴くのが遊びでした。
──どういう音楽を聴いてたんですか?
Ric そのときはけっこうドープな、60年代のサイケとか聴いてましたね。
Alec あとパンクとか攻撃的なものに惹かれてて。
Bob(Dr, Vo) 最初バンドメンバーが(Alec、Bob、Syuの)3人やったんですよ。で、3人でThe Doorsの映画観て「鍵盤が欲しい!」ってなって。それがRicが加入するきっかけにもなりました。
──皆さん、どういうところから音楽を見つけてきていたんですか?
Alec CDショップ行ったり、人に聞いたり、調べたり。YouTubeの関連動画とか。いろんなところから見つけようとしてました。
Syu(B, Syn) 誰かが「こんなん見つけた!」って紹介するって感じでしたね。
──90年代生まれの人が、中高生のときに60年代のサイケを聴くってけっこうコアですよね。
Ric 音楽好きな友達が周りにいて。
Bob それが珍しいとかそういうことも知らずに、自分らの周りの流行りみたいになってたんです。
Alec (一般的な)流行りとかはあんま気にしてなかった。
──J-POPのトップ10とかを聴くような嗜好ではなかった?
Chew なかったっすね。
Syu あんま興味なかったっていうのもあった。
一同 うん。
Ric 聴いてもないのに「ポップス嫌い」って言うのが好きみたいな(笑)。
Bob 聴かず嫌いやな。
「今しかできん音楽がやりたい」
──HAPPYの音楽には聴きやすいキャッチーさもあり、J-POPも通ってきているのかなと思っていました。
Alec 神戸とかにライブしに行くようになってから変わったとは言われます。J-POPに限らずなんでも聴くようになって。
Syu 「HAPPY」っていうバンド名になってから、2000年代の音楽を聴くようになったかなと。
Alec そうやな。音楽の感情って、もっといろいろあるんやなってわかった。パンクとかって、特に若い頃はわかりやすいと思うんですよ。でもいろいろ聴いていって、楽しい音楽とか癒してくれるような音楽のよさも知りました。
──そういうのを自分のバンドでやろうと思った?
Alec いや、俺らは好きな音楽をやっていってるバンドなんで。こういうんやろかっていうのは別になくて。
Ric 自分らがやりたい音楽を作っとるっていう感じですね。
Alec HAPPYの前身バンドはもっとドープなサイケバンドみたいな感じだったんですよ。The Velvet Undergroundみたいな。でも、あるとき友達に、そのとき2011年やったんですけど「今やっとんやから2011年感をもっと出せや」ってアドバイスを受けて。「確かに。今やっとんやったら今しかできん音楽がやりたい」と思って、そこから新しい音楽というのを考えるようになりました。
初めてのレコーディングスタジオ
──今作「HELLO」はどういうふうに制作していったんですか?
Syu これまでレコーディングスタジオで録ったことがなかったんです。だから今回いろんな録り方があるってことを知って試しながら録っていきました。
Chew 特に、1つひとつ音のイメージを追求しました。
Alec 「この音はめっちゃ奥で鳴っとる、近くで鳴っとる」とか。「Time Will Go On」とかわかりやすいと思います。シンセがめっちゃ奥のほうで鳴ってるんです。
──そういうイメージって5人で共有できてるんですか? それとも1曲ずつ話し合う?
Alec 話し合いはあんまりないですね。録りながら「こういうのどう? ここで奥行き出してみるわ」「おう、やってみて」みたいな。
Syu めっちゃ楽しみながらやってましたね。
Alec でも帰ってから聴いたらなんか違うみたいな。楽しくやって、持ち帰って客観的に聴くっていうのを繰り返した。
Chew 1日1日進化していくのをめっちゃ楽しんどったな。
──曲作りの最中、モメたりはしないんですか?
Ric その展開やリフがアリかナシかとかはけっこう話し合いますね。
Alec 何事も5人で決める。
Bob 5人がOKやったら大丈夫。
Ric 4人がアリって言っても、1人がナシって言ったらその1人の意見を聞こうとするな。
次のページ » 今のHAPPYが詰まったカラフルな1stアルバム
収録曲
- Magic
- Run Run Run
- Time Will Go On
- Lucy
- Wake Up
- Pity Xmas
- Lift This Weight
- Cycle of Life
- Color
- Win Key Gun
ライブ情報
リリース記念ライブ「Free HAPPY "HELLO"」
2014年8月6日(水)東京都 ラフォーレミュージアム原宿
OPEN 18:00 / START 19:00
※入場無料
HELLO HAPPY Tour 2014
- 2014年9月19日(金)愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
- 2014年9月21日(日)大阪府 knave
- 2014年9月23日(火・祝)香川県 高松MONSTER
- 2014年9月24日(水)福岡県 Queblick
- 2014年9月25日(木)広島県 HIROSHIMA 4.14
- 2014年9月28日(日)北海道 BESSIE HALL
- 2014年9月30日(火)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2014年10月1日(水)新潟県 CLUB RIVERST
- 2014年10月4日(土)東京都 タワーレコード渋谷店B1 CUTUP STUDIO
HAPPY(ハッピー)
京都府綾部市出身の5人組バンド。1992年~94年生まれの、Alec(Vo, G)、Ric(Vo, Syn)、Syu(B, Syn)、Bob(Dr, Vo)、Chew(G, Syn)という幼なじみで2012年に結成された。2014年3月にはタワーレコード限定で初の流通盤シングル「SUN」をリリースするとともに、アメリカ・テキサス州オースティンで開催される音楽イベント“SXSW”を含めたアメリカツアーを実施。各地で大盛況を収めた。両A面シングル「Wake Up / Lucy」の発売を経て、同年8月に待望の1stアルバム「HELLO」をリリース。60年代、70年代のサイケデリックポップやロックを彷彿とさせるサウンドと、みずみずしい感性を融合させた豊かな楽曲群で、世代やジャンル問わず多くの聴衆を魅了している。