音楽ナタリー Power Push - 花澤香菜

秦基博作曲のバラードで締めくくる充実の2016年

いちじくと大人

──「透明な女の子」のインタビューでは2016年の目標として「『花澤、いい女になったな』って言われるようになりたい」「ジャズバーに自然に通える女になりたい」とおっしゃってましたが、いかがですか?

花澤香菜

ジャズバー、行ってないなあ(笑)。

──大人になったなと思えるような出来事は?

いちじくを……家で食べるようになったこと。

──いちじく?

いちじくを自分で買って食べようなんて、今まで思ったことがなかったんですよ。でも、前にお料理上手なお友達の家で、ふるまわれたことがあったんです。いちじくのサラダを。いちじくに生ハムが乗ってるんですよ。すごくないですか?

──そうですね(笑)。

「これはレストランの食べ物じゃない?」って思うような料理をふるまってもらって、そこから「おもてなし料理ができる人って大人だなあ」と思うようになって。

──大人なおもてなしの象徴が、いちじく?

おすすめですよ。調理も簡単だし。

──いちじくのほかに、最近何か自分の中で“大人”を感じた出来事は?

現場に入って自分が一番年上だったりすると、強制的に大人を感じざるを得ないですね(笑)。アフレコの現場では年齢は関係ないんですけど、やっぱり休憩時間なんかに話していると、「私が一番年上なんだ……」としみじみ思います。子役からやってたので、仕事場ではいつも年下で、周りに大人がいるのが当たり前だったんです。だから、昔自分が大人に言われて安心したこととか、優しくしてもらったようなことは、自分もしてあげられるようにならないとなと思ってます。

──年上の立場と年下の立場、どちらがラクですか?

えー、どっちだろう。しっくりくるのは年上のほうかも。私は弟がいるので、お姉ちゃんでいることには安心するんですよね。

みんなも準備しておいて

──では“大人な花澤香菜”としてのこれからの目標は?

花澤香菜

えーと……色気? ないんですよ、色気が。自然に出てくる色気って言うんですかね? 周りの年齢の近い子たちを見てると、「ほうほう、どんどん色気が出ておるなあ」と思ってうれしくなるんですけど、「……私は?」と思ったときに、フフフ(笑)。不倫小説を読みながら「こういうふうに男の人を手玉に取って転がしている人がこの世にいるのかしら」とか思ったりして。そうなりたいとは思いませんけど、それぐらいサラッと色気が出るようになるにはどうしたらいいのかなあって思ってます。

──たぶんその手の色気が出る人は、考えることなく出ちゃってるんじゃないでしょうか。

ですよね。こんなこと考えてインタビューで言ってる時点で違うんじゃないかなって(笑)。たぶん私、大人の女性になるよりも前に、おじさんになると思う(笑)。おばさんではなく。おじさん化現象をちょっとでも食い止めないとなと思います。

──では音楽をやるうえでの目標や今後の展望は? シングルが続いたので、そろそろアルバムも……というファンの期待も高まってくる頃ですが。

そうですね。詳しいことは言えないですけど、「いっぱい作ってるよ」とだけ。もっともっと先のことを企てているので、楽しみにしていてほしいです。

──「ざらざら」が初披露された10月のイベント「HAPPY HANAZAWEEEEN」(参照:花澤香菜が一足早いハロウィンパーティで新曲「ざらざら」初披露、作曲は秦基博)はひさびさのバンド編成でのライブでしたけど、新曲と共にライブのほうにも期待してしまいます。

バンドでのライブは、空気公団とのライブを除けば「Blue Avenue」のとき(参照:花澤香菜、大成功の武道館ライブでツアー好発進!千石撫子のあの曲も)以来で、ずいぶん間が空いちゃったから、「HAPPY HANAZAWEEEEN」は自分からライブをやりたいとお願いしたんですよ。ハロウィンにかこつけて。ライブは続けていきたいと思っているので、そろそろ大きなライブがあるんじゃないかなと。なので、みんなも準備しておいてください。

花澤香菜
ニューシングル「ざらざら」2016年11月30日発売 / アニプレックス
初回限定盤[CD+DVD]1728円 / SVWC-70225~6
通常盤[CD]1296円 / SVWC-70227
CD収録曲
  1. ざらざら
    [作詞:花澤香菜 / 作曲:秦基博 / 編曲:島田昌典]
    <演奏メンバー>
    あらきゆうこ(Dr)
    美久月千晴(B)
    島田昌典(Piano, Organ, Mellotron, Tambourine)
    秦基博(G)
    八橋義幸(G)
    室屋光一郎ストリングス(Strings)
  2. クラッシュシンバル
    [作詞:岩里祐穂 / 作・編曲:末光篤]
    <演奏メンバー>
    SATOKO(Dr)
    ミト(B / クラムボン)
    末光篤(Piano)
    山本陽介(G)
  3. IN LOVE AND IN TROUBLE
    [作詞:岩里祐穂 / 作・編曲:ナカムラヒロシ]
    All Programming & Instruments:ナカムラヒロシ(i-dep)
初回限定盤DVD収録内容
  • ざらざら(Music Clip)
花澤香菜(ハナザワカナ)
花澤香菜

1989年2月25日生まれ、東京都出身の声優。2006年放送の「ゼーガペイン」で初のヒロインとなるカミナギ・リョーコ役を演じ、2007年には「月面兎兵器ミーナ」「スケッチブック ~full color's~」「ぽてまよ」といった作品で次々と主要キャラクター役に抜擢された。その後も「こばと。」「化物語」「海月姫」などの人気アニメでヒロインを演じるかたわら、多数の作品でキャラクターソングを歌い、2011年放送の「ロウきゅーぶ!」では声優ユニット「RO-KYU-BU!」のメンバーとしても活躍。2012年4月にはシングル「星空☆ディスティネーション」でソロデビューを果たした。2013年2月には1stフルアルバム「claire」を発表し、同年3月には大阪・NHK大阪ホール、東京・渋谷公会堂にて初のワンマンライブを行い、いずれも大成功に収めた。同年12月に発売された5thシングル「恋する惑星」に続き、2014年2月には2ndアルバム「25」、2015年4月には3rdアルバム「Blue Avenue」を発表。同年5月にスタートしたライブツアー「花澤香菜 live 2015 "Blue Avenue"」では初の東京・日本武道館ワンマンも行われた。2016年2月には山崎ゆかり(空気公団)の全面プロデュースによる9thシングル「透明な女の子」、同年6月には全曲自作詞に挑戦した10thシングル「あたらしいうた」、11月には秦基博とのコラボレーションによる11thシングル「ざらざら」と3枚のシングルをリリース。