音楽ナタリー PowerPush - 花澤香菜
花澤×やくしまる、ポップでストレンジな世界の裏側
華やかなポップソングが凝縮された1stアルバム「claire」、冒険心に満ちた2枚組25曲入りの2ndアルバム「25」を経て、“3rdシーズン”に突入した花澤香菜。その第一歩となった前作「ほほ笑みモード」ではSTUDIO APARTMENTのサウンドプロデュースでクラブ系ハウスミュージックに挑戦した彼女だが、続く新作「こきゅうとす」ではさらに一転、やくしまるえつこが楽曲のみならず、アートディレクションとビデオクリップの監督まで担当し、ポップでストレンジな世界観を作り上げた。インタビューでは花澤本人にシングル制作の様子や楽曲にまつわるエピソードを語ってもらったほか、やくしまるから届いたいくつかの質問にも答えてもらった。
取材・文 / 臼杵成晃
「リズム、ノッてる?」大収穫の初クラブ体験
──まずは前作「ほほ笑みモード」のその後の話を聞かせてください。「ほほ笑みモード」では全編ハウスに初挑戦して、リリース後の11月9日には初めてクラブでのイベントも行われました(参照:花澤香菜“アーバン”な初クラブをファンと体験)が、初クラブはいかがでしたか?
これがですね、ハマってしまいそうです。あの低音がドンドンと体に響く感じがすごく気持ちよくて。普段のライブとは全然違いましたね。
──花澤さんの「リズム、ノッてる?」という煽りが一部ファンの間で盛り上がってましたけど(笑)。
あははは、恥ずかしい(笑)。あれ、「パスタ巻いてる?」みたいな感じで言ったんですけど(笑)。第2部のDJパートも後ろで観てたんですけど、すっごく楽しかったです。
──本人不在のまま、花澤さん自身の音楽が流れて盛り上がる現場を眺めるって新鮮だったでしょうね。
新鮮だったし、あの響きってクラブ独特のものなんだなって。ライブでも、STUDIO APARTMENTさんが作ってくださった曲は、クラブで歌うことによってより素敵になるんだなあって思いました。
──クラブ体験はけっこう収穫ありですね。
ありありですね。こんな夜の楽しみ方を覚えちゃったらどうしようみたいな(笑)。「KANAight 2」は絶対やりたいです。1つ残念だったのは、「ほほ笑みモード」をレコーディングする前にクラブを体験していたら、もっとうまく表現できたのかもなって。あのミラーボールに照らされてる感じとか。
女の子の“闇”がやさしく寄り添うやくしまるワールド
──クラブミュージックを経て、わずか3カ月あまりでの新作リリースとなりましたが、今度はやくしまるえつこさんによるトータルプロデュースと。花澤さんはもともと相対性理論、やくしまるさんの音楽がお好きだったと聞きましたが。
そうなんです。あの独特の世界観が大好きで。聴いてるとそのカリスマ性に引き寄せられちゃうような。歌詞は一見かわいいんですけど毒が散りばめられていて、女の子が持っている闇みたいなものを感じて。すごく寄り添ってくれるんですよね。いろんな場面で聴いています。
──あの闇の部分も含めて好きなんですね。
はい。今回の2曲にもそういうところがありますけど、わかるなーと思いました。
──花澤さんとやくしまるさんが組むと聞いたとき、やっぱりそこが気になったんですよね。やくしまるさんが持つふんわりしたガーリーな要素は絶対に相性がいいと思いつつも、あの毒っ気も持ち込むのかなと。本人としてはそこも含めてOKだったんですね。
そうですね。そこが好きで聴いていたので。
──実際お会いしてみた印象はいかがでしたか?
ホントにいるんだーって思いました(笑)。ライブは何度か観させていただいてはいたんですけど、「こきゅうとす」のレコーディングで初めて地上に降り立ったやくしまるさんを見て(笑)。もっと好きになっちゃいましたね。なんですかね、あのフニャッとした感じ……。
──ライブ以外でほとんど露出のない方だから、実像は謎なんですよね。
そうですよね。言っとくけど、とりこになるよっていう(笑)。忠告しときますけどっていう、そんなテンションになっちゃいますね。
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- ニューシングル「こきゅうとす」 / 2014年12月24日発売 / アニプレックス
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1728円 / SVWC-70041~2
- 通常盤 [CD] 1296円 / SVWC-70043
CD収録曲
- こきゅうとす
- アブラカタブラ片思い
- /こきゅうとす【天国】remixed by itoken
- /アブラカタブラ片思い【魔女】remixed by molt beats
- こきゅうとす(Instrumental)
- アブラカタブラ片思い(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- こきゅうとす(Music clip)
花澤香菜(ハナザワカナ)
1989年2月25日生まれ、東京都出身の声優。2006年放送の「ゼーガペイン」で初のヒロインとなるカミナギ・リョーコ役を演じ、2007年には「月面兎兵器ミーナ」「スケッチブック ~full color's~」「ぽてまよ」といった作品で次々と主要キャラクター役に抜擢された。その後も「こばと。」「化物語」「海月姫」などの人気アニメでヒロインを演じるかたわら、多数の作品でキャラクターソングを歌い、2011年放送の「ロウきゅーぶ!」では声優ユニット「RO-KYU-BU!」のメンバーとしても活躍。2012年4月にはシングル「星空☆ディスティネーション」でソロデビューを果たした。2013年2月20日には1stフルアルバム「claire」を発表し、同年3月には大阪・NHK大阪ホール、東京・渋谷公会堂にて初のワンマンライブを行い、いずれも大成功に収めた。同年12月に発売された5thシングル「恋する惑星」に続き、2014年2月には25曲入りの2枚組アルバム「25」を発表。4月からは4都市を回る初の全国ツアー「花澤香菜 live 2014 "25"」を行い成功に収めた。同年10月にはSTUDIO APARTMENTをサウンドプロデューサーに迎えた通算6枚目のシングル「ほほ笑みモード」、12月にはやくしまるえつことタッグを組んだ7枚目のシングル「こきゅうとす」をリリース。2015年1月には主演作品「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」が公開される。