Halo at 四畳半が10月27日に新曲「花飾りのうた」をリリースした。
「花飾りのうた」は、BSテレ東で放送中の須賀健太主演ドラマ「江戸前の旬season2」のために書き下ろされた楽曲。ドラマの前シリーズ「江戸前の旬」(2018年)に「悲しみもいつかは」を提供したことに続いてHalo at 四畳半が主題歌を担当した形で、渡井翔汰(Vo, G)は「伝えること」をテーマに物語に寄り添うさわやかな楽曲を作り上げた。
楽曲のリリースに際し、音楽ナタリーでは渡井と須賀による対談を実施した。Haloが主題歌を担当する以前からバンドのファンだったという須賀がHalo at 四畳半に対して抱く印象、渡井が主題歌に込めた思いとは。同世代の2人の和やかな対話を楽しんでほしい。
取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 曽我美芽
ヘアメイク / 野口悠(渡井)、宇都圭史(須賀) スタイリスト / 立山功(須賀)
自分たちのスタンスがある感じがカッコよかった
須賀健太 渡井さんとお会いするのは……。
渡井翔汰(Halo at 四畳半 / Vo, G) しっかりご挨拶をしたのは、前回の「江戸前の旬」にカメオ出演したときですよね(参照:Halo at 四畳半、須賀健太主演ドラマ「江戸前の旬」で寿司店訪れる客に)。
須賀 撮影が押していて、すごくお待たせしてしまって。僕もずっと撮影に入っていたんで、じっくりと話せる時間がなくて。
渡井 須賀さん、すごく大変だなと思いました。でも、ライブに来てくれていたんですよね?
須賀 そうなんですよ!
渡井 渋谷のTSUTAYA O-WESTに(2018年6月開催「TRIAD ROCKS Showcase 2018」)。そのときはお会いすることができなかったんですけど。
須賀 めっちゃよかったです。あの、対バンでね。
渡井 僕らの所属レーベルの新人がライブをする日だったんですよね。
須賀 いや、もうダントツでした。
渡井 あはははは!(笑)
須賀 もちろん好みもありますけど、Haloさんは世界観の作り方がすごくて。パフォーマンス自体も、しっかりと確立されていたというか。自分たちのスタンスがある感じがカッコよかったんです。ライブハウスが曲の空気感で染まっていくというか、場を掌握する力みたいなものが出ていたんですよね。
渡井 うわあ。うれしいなあ。
──須賀さんは、インディーズ時代からHaloに注目されていたんですよね?
須賀 そうなんですよ。最初タワレコで知って、CDを買ったのかな? そこからもう、普通に聴かせていただいていたので。だから、「江戸前の旬」の主題歌に決まったとき、めちゃくちゃうれしくて! よかったなあというか……。
渡井 ありたがいです!
須賀 CDショップに行くと、まず試聴するんですよ。あるじゃないですか、10枚くらい新譜が入っているプレーヤー。それで聴いてみて「いいな」と思ったのが始まりです。
Haloの音楽の物語性
──須賀さんのHalo at 四畳半の印象は?
須賀 曲の物語性が強いところが、僕はすごい好きで。例えば演劇にはそれぞれの芝居によってその作品の世界観がありますけど、それに近いものを感じたというか。
渡井 おお。
須賀 曲ごとに世界観があって、物語を読んでいるような感覚になるんです。
渡井 そう言われてみると、僕らの音楽と演劇には通ずる部分があるのかも。うれしいです。
須賀 曲によっては絵本を読んでいる気分にもなります。役者としては、曲によって作風を変えるような感じも気になるんですよね……そういうところが好きになったのかも。
渡井 いろんな方にHaloの音楽についてお話を聞く機会がありますけど、初めての視点です。新鮮だし、すごくうれしい。
須賀 ホントですか! ありがとうございます。
渡井 僕自身も音楽を始める前、いちリスナーとして音楽を聴いていたときに物語調の曲が好きだったということもあるし、そこまで詳しいわけではないけど、映画を観たり本を読んだりということも好きなので。そこで得たものを自分の音楽に落とし込めないかなと思っている部分もあるんですよ。最初に書いた曲も、物語調の曲でした。
須賀 そうなんですね。
渡井 須賀さん、SNSでも僕らについて書いてくださっていましたよね。しかも、一度にとどまらず何度も。僕らからしたら、はるか以前からテレビの向こう側の存在として観ていた方がそうやって書いてくださっていることがまず驚きですし、好きだと言ってくださっている方と、バンドにとって初のタイアップでご一緒できるということにも縁を感じたし。本当に幸せなことだと思っています。
──ちなみに、渡井さんと片山僚(Dr, Cho)さんのカメオ出演の思い出についても伺っていいですか?
渡井 そこはいいじゃないですか。
須賀 いや、ちゃんと話してもらわないと!(笑)
渡井 大根役者もいいとこですよ。僕と片山にひと言ずつセリフがあったんですけど、たったひと言なのにとんでもない緊張をして……(笑)。
須賀 そりゃそうですよ。
渡井 僕らは音楽をずっとやってきた人間だから、そこに関しては自信があるので「(曲を)ぜひ使ってください」という感じなんですけど、プロの役者の皆さんがものすごい熱量でお芝居されている中にど素人が突然現れ、演技をする重圧たるや……(笑)。とんでもなかったです。
須賀 ミュージックビデオの撮影なんかはどうなんですか?
渡井 MVも、いまだに変な感覚になりますね。ライブでは自分たちの表現の仕方を追求できていると思うんですけど、MVとなると、そこまで経験が多いわけでもないから変な気分になるというか。まだ大根感が抜けないというか。
須賀 そうなんだ。
渡井 ですからドラマの演技なんて、もう硬直状態ですよ。ずっと2人で「俺ら、本当に大丈夫なのかな……」と話してました。
須賀 ドラマの現場って、どの演技の現場よりも瞬発力が必要で。放送が進む中で撮影していくので時間も限られているし、僕らでも当日対応しなきゃいけないことがたくさんあるんです。なので、お二人は絶対しんどかったよなと思います。
渡井 僕らは置いておいて、普段テレビで観ている方々の演技を間近で見ることができたので、それに関しては本当に、単純に感動しました。改めて、これだけ熱意のある方々の作品に携わらせてもらっているんだという喜びを知れたので、すごくいい経験をさせていただいたと思います。
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伝えること、伝わっていくこと