ナタリー PowerPush - HALCALI
東京グルーヴ=ゆったり感? 4thアルバム「TOKYO GROOVE」リリース
約2年10カ月ぶり! オリジナル曲とカバー曲をそれぞれまとめた豪華2枚組仕様、全16曲収録の4thアルバム「TOKYO GROOVE」がついに完成!
オリジナルSIDEでは、會田茂一、スネオヘアー、VERBAL(m-flo)、BIKKE(TOKYO No.1 SOULSET)、西寺郷太(NONA REEVES)、RAM RIDERなどなど、多彩なメンツのプロデューサー陣が生み出したサウンドの上で天真爛漫に飛び跳ねる。そしてカバーSIDEでは、「My Sweet Darlin’」「今夜はブギー・バック」「やさしい気持ち」「愛のために」「ラッキープール」などなど、希代の名曲を独自のスタイルで変幻自在に生まれ変わらせる。そこにあるすべてに満ちているのは、まさに東京生まれのHALCALIならではの心地良いグルーヴだ。
デビューから7年。ちょっぴり大人になった、でもあいかわらずゆるくて楽しいテンション全開のHALCAとYUCALIに、渾身の最新作についてじっくり語ってもらった。
取材・文/もりひでゆき
じっくり作っていたら3年経ってました
──前作「サイボーグ俺達」がリリースされてから、HALCALIはライブを精力的にやっていた印象ですけども。
YUCALI はい。イベントにいっぱい呼んでもらって、ちょいちょい海外でもライブやったりしてましたね。
──その間、今回のアルバムの制作も並行して?
HALCA そうですね。リリース日を特に決めていなかったので、急ぐこともなく。ほんとに1曲1曲、好きなように作っていこうかなと思ってたら3年経ってました。
YUCALI 経っちゃった(笑)。じっくりやってましたねえ。シングル作ろうみたいな気持ちで全部やってたんですよ。で、実際そこからシングルにしたものもあったし。
──思えば前作も2年8カ月ぶりのアルバムでしたが。
HALCA もう国内のアーティストじゃないんじゃないかっていう(笑)。
YUCALI 外タレ?(笑)
HALCA そういうスパンでいつも動いてる感じはしますね。
YUCALI ゆるいですよね。でも、ほんとにやりたいことをやれる時間がちゃんとかけれてると思うので、それはいいと思う。私たちなりのね、時間のかけ方でステキなものができたと思うし。
HALCA そうです! 無駄な3年じゃなかった!
──2枚組の大ボリューム作ですしね。オリジナル曲をまとめた1枚目では、今回もまたさまざまなプロデューサーを迎えて制作されていますけど、その人選は?
YUCALI 自分たちからリクエストした方もいつつ、スタッフさんに提案してもらった方もいます。スネオ(ヘアー)さんとかはね、いい曲とか好きな曲がいっぱいあったんで、私たちから。最初に会ったときはもう、「あの曲が好きで」って思いを伝えて終わるみたいな感じで(笑)。
スタジオにいる時間が長くなりました
──仕上がりに関しては、どんな感想を抱いてます?
YUCALI ほんとにやりたかったことが全部できたなって。ロックっぽいのをやったり、「まばたき」みたいなのもあったり、いろいろ。やりたいことを全部詰め込んだから、全体的にちぐはぐになるかなと思ったんですけど、意外とまとまるもんだなと思いました。作っていく中でやりたいことがブレてなかったなあとも思うし。
──これまでのHALCALIは要所要所で歌モノやポエトリーリーディングっぽいものなどに挑戦してきていましたが、本作ではそれらがもはや自然と融合している感じがしますよね。HALCALI色に染め上げているというか。
HALCA うれしいこと言ってくれるねえ。
YUCALI 全部を私たちのスタイルにしちゃいました、みたいな感じですよね。自分たちにとって珍しかったものが、今は当たり前にやれる感じがあって。年齢的なこともあるかもしれないですけど、それを普通にこなせるようになったと思うんですよ。
──それはデビューから7年を経て、手に入れた成長ですよね。音楽に対してのこだわりもどんどん強くなってきているでしょう?
HALCA あ、そう考えたら本当に、スタジオにいる時間が長くなりましたよね。前は歌入れしたらすぐ帰ってた。学校もあったし、音楽のこともまったくわからないので。でも、スタジオでいろいろ話し合ったりするのが楽しいっていうことに気づいて。そうしたらもうプリプロとか自然とやっちゃいますよね(笑)。
YUCALI 自主的にやっちゃうよね(笑)。レコーディングでも、自分たちが思うことを言ってみよう、やってみようっていう感じになったんですよ。ミックスの段階で「この音をちょっと上げたやつも聴いてみたいです」とか、音に対するこだわりみたいなものが、このアルバムを作ってる中でだんだん見えてきて。で、それが反映されるようにもなってきたし。
BIKKEさんが大きな愛の歌を書いてくれた
──特に時間をかけた曲はありますか?
HALCA 「ZIG ZAG SATURDAY NIGHT」かな。これ、もともとは2年前にレコーディングした曲なんですよ。でも今回、アルバムに入れるっていう段階で、曲の雰囲気とか歌のテンションにギャップが出てきちゃって。(西寺)郷太さんにお願いして、改めて歌い直したんです。
──その2年間で、歌声にも変化がありましたか。
HALCA そうなんですよ! 2年でけっこう変わるもんだなぁと思いましたね、歌声も考え方も。そういった意味では、今が詰まってる曲ですね。前だったら「2年前の歌声を楽しんでください」って、そのまま出してたと思うんですけどね(笑)。
YUCALI 郷太さんにも「声、すごい変わったねえ」って言われたもんね。2年って普通に過ぎていくものだし、もう成長期は終わったと思ってたけど、意外と変わるもんなんですね。あとはラップもちょっと変えたんですよ。2年前のはすごい詰め込んで書いてましたね。隙間が怖いぐらいな感じで。でも今回書き直して、ゆとりのあるラップになったかなって。間を楽しめるようになったんですかね。
──「tears of love」みたいな曲が歌えるようになったのも、きっと今のHALCALIだからこそですよね。
HALCA これね! 大きな愛の歌ですよね。やっぱり40いくつの方……41歳?
YUCALI BIKKEさんね(笑)。
HALCA そう。そのBIKKEさんが書く、大人な愛の歌を歌うっていうのは、ちょっと不安もあったんですよ。だけど、HALCAとYUCALIが淡々と歌うことによって、そんなに違和感ないんじゃないかなって気づけたというか。
YUCALI これも2年前に作った曲なんですけど、その2年間で自分たちもちょっと大人になったし、20歳のときには理解できなかったものがちょっと理解できるようになったっていうのはあるかもしれないですね。それにBIKKEさんはわりと長く、身近でHALCALIを見てくれてる人なので、そういう人がこういう曲を書いてくれたっていうのは、きっと自分たちが大人になったからなのかもって思えて。多分BIKKEさんも昔のHALCALIには、こういう内容の曲を書こうと思わなかっただろうし。
DISC-1: ORIGINAL Songs
- Long Kiss Goodbye
Produced by Masataka Kitaura - カミナリ・GIRL
Produced by Shigekazu Aida - まばたき
Produced by スネオヘアー - YES
Produced by VERBAL - tears of love
Produced by BIKKE - ZIG ZAG SATURDAY NIGHT
Produced by 西寺郷太 - ENDLESS NIGHT feat. Bose from Schadaraparr
Produced by RAM RIDER - HALCALI TOKYO GROOVE TWO TURNTABLE MIX [タンデム/エレクトリック先生/ギリギリ・サーフライダー/ストロベリーチップス]
Mixed by ピストン西沢
DISC-2: COVER Songs
- My Sweet Darlin' feat. 矢井田 瞳
Produced by RAM RIDER - 今夜はブギーバック
Produced by TOKYO No.1 SOUL SET - Re:やさしい気持ち -Album ver.-
Produced by pal@pop - 愛のために
Produced by KOHEI JAPAN from MELLOW YELLOW - 愛
Produced by KOHEI JAPAN from MELLOW YELLOW - すきすきソング
Produced by NONA REEVES & Hiroyasu Yano - ラッキープール
Produced by KOHEI JAPAN from MELLOW YELLOW - You May Dream –HALCALI ver.-
Produced by TOKYO No.1 SOUL SET
HALCALI(はるかり)
東京都目黒区出身のHALCAとYUCALIによる2人組ガールズヒップホップユニット。小学校の頃から都内の同じダンススクールに通っていた2人がオーディションで優勝し、2003年1月にシングル「タンデム」でメジャーデビュー。2003年9月発売の1stアルバム「ハルカリベーコン」は、O.T.Fを始めとする多数のプロデューサーを迎え、新人ヒップホップユニットとしては異例のヒットを記録する。その後も2ndアルバム「音楽ノススメ」、3rdアルバム「サイボーグ俺達」などをリリース。2009年にはTOKYO No.1 SOUL SET + HALCALIによる「今夜はブギー・バック」が話題を集め、2010年5月に4thアルバム「TOKYO GROOVE」を発表。アメリカ、ヨーロッパなど海外でのライブも積極的に行っている。