音楽ナタリー PowerPush - 映画「はじまりのうた」

映画「はじまりのうた」片平里菜が恋したニューヨークと音楽

共感しまくりました

──グレタは自分の思ったことをそのまま曲で表現していましたけど、片平さんの場合はどうですか?

片平里菜

私もそうですね。日記じゃないですけど、「この感情を残しておきたい」と思ったときに曲を書いてます。だからアルバムや曲には、自分の記録と伝えたいことが詰まってます。

──映画の途中で主人公の恋人・デイヴが「音楽は人と分かち合うものだろ」と言っている一方で、グレタが「自分は自分のために歌ってる」と言うシーンが出てきますよね。片平さんはどちらに共感しましたか?

私はグレタと同じく自分のために曲を作ってますね。でも、人に伝えることで音楽って成り立つものだからアレンジの段階で客観的になって「どうやったら届きやすくなるかな」って考えるようにしてます。

──片平さんの曲は特に同世代から共感を得ていると思うんですが、その理由はなんだと思いますか?

共感されたいと強く願って曲を作ってるわけではないんですけど、自分が素直に発したことって、10人中何人かは共感してくれると思うんです。だから正直に自分の思いを出すことが大事なのかなと。例えば「女の子は泣かない」は友達の話を聞きながら作った、事実にもとづくフィクションの曲なんですけど、書いているときに私も友達に共感しながら書いたんです。映画の中のグレタもダンもすごく音楽に対して素直じゃないですか。そういう姿勢に共感しまくりましたね。特にダンはまっすぐで音楽が心底好きで……こういう人がいたら一緒にアルバムを作ってみたいですね。

──なかなか破天荒でクセのある人ですけどね。

そうですね(笑)。でも面白い作品ができそう。

すべてを失ってどん底に落ちて……でも再び音楽に輝かされる

──片平さんは音楽によって見える景色や感情が変わった経験はありますか?

たくさんありますね。高校生のときはバイト先に向かうときは、必ずマイケル・ジャクソンの「Heal the World」をテンションを上げるために聴いてました。あの曲を聴いていると、自分はちっぽけだなって気付かされるんです。「こんな大きな歌を歌ってる人がいるんだから、自分なんてまだまだ」っていう。

──落ち込んだときにはどんな音楽を聴きますか?

片平里菜

映画にも登場するような、素朴で飾らないアコースティックの歌を聴くと落ち着きますね。あとへこんだときは曲を作っちゃいます。やっぱり曲を作って昇華してる部分があるんで。話すのが上手だったら人に話して解消できるんでしょうけど、私はそれができないんで曲を作って誰かに聴いてもらって。その曲が人に伝わって初めて自分の気持ちが昇華される気がします。

──もし「はじまりのうた」に出演するとしたらどんな役で出たいですか?

気持ち的に共感するのは主人公なんですけど、出るとしたらダンの娘のバイオレットかなあ。あんまり演技したくないから(笑)。でもいつかギター弾いて歌う役で映画に出演してみたいなと思います。

──ちなみにご自身の曲の中でこの映画に合う曲はありますか?

うーん……「CROSS ROAD」なんかは近いかもしれない。渋谷を舞台にした曲だから泥臭い感じですけど。もうちょっとオシャレな楽曲にしたかったんですけど、福島生まれの田舎っぺなので(笑)。

──本作は片平さんも共感する部分が多かったと言うように、ミュージシャンにも愛される映画に仕上がっていますが、オススメしたいポイントはありますか?

すべてを失ってどん底に落ちて……でも再び音楽に輝かされる。音楽を通して登場人物の目の色が輝いていく様子はすごくワクワクすると思うんでぜひ観てほしいです。

──ちなみにアメリカのメディアでは「デートに最適な作品」という評価もあったそうです。

確かにデートにいいかも! でも決してハッピーエンドではないんですよね。そこがいいのかもしれないんですけど。

──最後に片平さんがこの映画にキャッチコピーを付けるとしたらどんなものにしますか?

難しいなあ……。ありきたりかもしれないんですけど、「歌を通して景色が変わる」かな。

映画「はじまりのうた」劇中歌「LOST STARS」
公認アーティスト 片平里菜 バージョン

ツアー情報

片平里菜 弾き語りワンマンツアー2015“最高の仕打ち”
2015年5月9日(土)大阪府 BIGCAT
2015年5月24日(日)北海道 cube garden
2015年6月12日(金)東京都 TSUTAYA O-EAST
2015年6月19日(金)宮城県 BLUE RESISTANCE
2015年6月20日(土)岩手県 LIVEHOUSE FREAKS
2015年6月21日(日)岩手県 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
2015年6月26日(金)愛知県 ElectricLadyLand
2015年7月3日(金)香川県 DIME
2015年7月5日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
2015年7月10日(金)熊本県 Arbaro

<ゲスト出演> 平井正也

2015年7月12日(日)福岡県 住吉神社能楽殿(※生声LIVE)

<ゲスト出演> ワタナベシュウヘイ(Goose house)

2015年7月19日(日)福島県 clubSONICiwaki
映画「はじまりのうた」 / 2015年2月7日(土)全国ロードショー
映画「はじまりのうた」

2人で作った曲が映画の主題歌に採用され、メジャーデビューが決定したミュージシャンのデイヴ(アダム・レヴィーン)と恋人のグレタ(キーラ・ナイトレイ)。拠点としていたロンドンからニューヨークに移り住んだ2人には、今までとは違うセレブのような生活が待っていた。しかし1人でスターへの階段を駆け上がるデイヴと、グレタの間に少しずつ溝が生まれ始める。幸せな生活は続かず、デイヴとスタッフの浮気が発覚。裏切られたグレタは失意の中、旧友で売れないミュージシャンのスティーヴ(ジェームズ・コーデン)の家へと転がり込む。

スティーヴは落ち込む彼女を小さなバーに連れて行き、ステージで歌うよう誘う。浮かない表情のままステージに上がり、1曲弾き語ったグレタだが客にはまったく受けない。しかしたまたまバーに来ていた音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)が彼女に近付き、その歌を絶賛。「一緒にアルバムを作ろう」と持ちかける。ダンはここ数年ヒット曲を作り出せず、家族の問題にさいなまれ荒んだ生活を送っていた。何もかも失った2人は手を組み、ニューヨークの街を舞台にレコーディングを始めた……。

キャスト
  • グレタ:キーラ・ナイトレイ
  • ダン:マーク・ラファロ
  • デイヴ:アダム・レヴィーン
  • バイオレット:ヘイリー・スタインフェルド
  • スティーヴ:ジェームズ・コーデン
  • サウル:ヤシーン・ベイ(モス・デフ)
  • トラブルガム:シーロー・グリーン
  • ミリアム:キャサリン・キーナー
スタッフ
  • 脚本・監督:ジョン・カーニー
  • プロダクションデザイン:チャド・キース
  • 編集:アンドリュー・マーカス
  • 衣装デザイン:アージュン・バーシン
  • 音楽:グレッグ・アレキサンダー(New Radicals)
片平里菜 ニューシングル「誰もが / 煙たい」 / 2015年2月25日発売 / ポニーキャニオン
完全生産限定ライブDVD盤 [CD+DVD] 2484円 / PCCA-4175
通常盤[CD] 1296円 / PCCA-4176
CD収録曲
  1. 誰もが
  2. 煙たい
  3. 東京の空に乗って
完全生産限定ライブDVD盤 DVD収録内容
2014年7月11日「自由学園明日館講堂」弾き語りライブ映像
  1. 夏の夜
  2. 心は
  3. tiny room
  4. CROSS ROAD
  5. Come Back Home
  6. amazing sky
  7. 女の子は泣かない
片平里菜(カタヒラリナ)
片平里菜

1992年生まれ、福島出身のシンガーソングライター。2011年9月に「閃光ライオット2011」で1万組の中から審査員特別賞を受賞する。翌2012年にはソニーWALKMAN「Play You. Label」第1弾アーティストに抜擢され、山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)プロデュースのもと楽曲制作。2013年1月にアジカン山田プロデュースによる楽曲「始まりに」を配信リリースする。同年5月にはギブソン社傘下のギターブランド・エピフォンが片平を日本人女性初のエピフォンアーティストとして公認したことも発表され、大きな反響を呼んだ。そして8月にポニーキャニオンからシングル「夏の夜」でメジャーデビュー。翌2014年1月には2ndシングル「女の子は泣かない」を発表。同年4月に3rdシングル「Oh JANE / あなた」を、8月に1stアルバム「amazing sky」を発表した。東京・LIQUIDROOM公演を含む「diffusy presents 片平里菜2ndワンマンツアー2014 "amazing sky"」は全公演即日ソールドアウトと、ライブの動員数でもその勢いをうかがわせている。2015年2月25日にニューシングル「誰もが / 煙たい」をリリース。


2015年2月10日更新