H△Gがメジャー1stアルバム「青色フィルム」を2月14日にリリースする。
2017年7月にシングル「夏の在りか」でメジャーデビューを果たしたH△G。今回の特集ではメンバーのChiho(Vo)とYuta(G)に「H△G史上もっとも動きがあった」と言う昨年のこと、卒業をテーマに制作した今作「青色フィルム」に込めた思い、H△Gと縁のあるアーティスト4組による提供曲に関する話などを語ってもらった。
取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 相澤心也
核は変わってないけど、視野が広がった
──アルバムの話に入る前に、H△Gにとって激動の年だったであろう昨年のお話を伺えればと思います。お二人にとって2017年はどんな1年でしたか?
Yuta 夏にメジャーデビューをさせていただきまして。それが大きな転機と言うか、僕の音楽人生にとって一生忘れることのない出来事だったなと思っています。メジャーデビューをする前とあとでH△Gというチーム自体は変わっていないんです。プロデューサーも変わってないですし、一番側にいてくれるスタッフも変わらない。もちろんメンバーも変わっていないんですけど、メジャーデビューをすることになって新たに出会えた方々が本当に多くて。そういった出会いから得た刺激があって、インディーズではできなかったいろんなことに挑戦できた1年だったと思っています。
Chiho すごく濃くて、H△G史上最も動きのあった1年でした。Yutaの言った通りH△G自体は変わっていないんですけど、いろんな出会いがある中で私自身がビックリするような、H△Gの新しい一面が発見できた1年でもありました。核は変わってないんですけど、視野が広がったことを実感した1年でした。
──H△Gにとってリリースがもっとも多い1年でもありました。
Yuta Chihoちゃんはずっとレコーディングしてたよね。
Chiho レコーディングって実演メンバーの中でも私しか関わらない時間なので、エンジニアの方とディレクションをしてくれる方と一緒にずっとスタジオにこもってました。1つ録り終わるとすぐ次の作品のレコーディングがあって(笑)。
Yuta 僕を含め、Chihoちゃん以外の実演メンバーはライブの準備はしていたけど、レコーディングはH△Gの中でレコーディングチームに任せているから。Chihoちゃんだけはレコーディングもライブもどっちも関わらなきゃいけないから、大変だったと思う。
──1年の中で特に印象に残った出来事はなんですか?
Yuta 僕は地元、岡崎でのワンマンライブ。Libraって言う図書館と音楽スタジオとホールが一緒になった複合型の施設があって、岡崎にいる人はきっと誰もが行ったことのある場所なんですけど、そのホールでワンマンライブをやれたことが印象に残ってます。僕自身、何度も足を運んだ場所だし、ずっと岡崎市を大切にしてきた僕らが岡崎に暮らす人たちになじみのある場所でライブができたあの日は、すごく感動的でした。
Chiho 私なんかテスト勉強しに行ってた場所だもん。
Yuta 岡崎の高校生はみんな勉強するためにLibraに行くんですよ。だから朝とか行列ができるくらい並ぶんですよ(笑)。
Chiho 確かにLibraでのライブは感慨深かった。
──Chihoさんにとって印象的なことはなんですか?
Chiho 悩んじゃいますね。ファンクラブができたこともうれしかったし、蝶々Pさんに会えたのもうれしかったし……。
Yuta いろいろあったよね。
Chiho 東海ラジオで実演メンバーのShokoさんとレギュラー番組を一昨年から担当してたんですけど(東海ラジオ「TOKAIRADIO × TSUTAYA LIFESTYLE MUSIC 929」)、それが去年最終回を迎えたんです。私、しゃべるのがすごく苦手だったから、ラジオが始まった当初は収録に行くのがすごく億劫で。Shokoさんと「がんばろう」って励まし合いながら回数を重ねていって、番組の最後の収録が忘れられなくて、今でも思い出しちゃうんですよね。話すのが下手だったけど、遠くにいるファンの方とラジオを通じてコミュニケーションを取るのは楽しかったし、スタッフの方にいろいろサポートしていただいて1つの番組を作り上げていく空気感とか。すごく貴重な時間だったなって、思い返してジーンとくるんです。
H△Gだからこそ作れる卒業ソング
──今作「青色フィルム」は、H△Gのオリジナルアルバムとしては「f分の1ゆらぎ」以来、およそ3年9カ月にリリースされる作品になります。ひさびさのオリジナルアルバムとなる今作をどんな作品にしようと考えたんでしょうか?
Yuta 「青色フィルム」のテーマは卒業で、僕らは卒業アルバムを作ろうって思いから制作を始めたんです。卒業と聞くと、皆さん学校の卒業式を思い浮かべると思うんですけど、僕らはもっといろんな形の卒業ソングを作ろうと思っていて。それは例えば人と人の関係性だったり、自身が身を置く環境だったり。いろんなものが変わっていく中での希望と葛藤をアルバムに込めました。
Chiho 私、自分が実際に中学の卒業式を迎えたとき、中学時代に戻りたいわけではないけど、「高校に行くのもヤダ!」みたいな思いがあって。なんだろう、「ここから動きたくない」みたいな気持ちだったんです。それって過ぎていく時間の中で自分が追い付けていない感覚があって、きっと自分の中で焦りと不安があったからなんですけど、そういう感覚って学校の卒業のときだけじゃなくて、人生の中のいろんな場面で出会うものなんじゃないかなって思うんです。
── “卒業”をテーマにするということは、H△G自体も何かからの卒業を意識しているということですよね。
Yuta 単純にインディーズを卒業してメジャーで活動をしていくって意味もありますけど、H△Gのメンバーそれぞれにいろんな“卒業”がある時期なんだってことは考えていました。去年1年でいろんなことがある中で、メンバーそれぞれの中に葛藤があったのを僕は知っているし。例えば「トークが苦手だ」って言うChihoちゃんがラジオに取り組んでいたところも見てきたしね。
Chiho うん。私だけじゃなくて、H△Gを構成するメンバーそれぞれにいろんな悩みとか葛藤があったと思う。
Yuta メジャーデビューって華やかなことですけど、これからどうなるか不安に思っている部分もあるんです。もちろん希望を感じていながらも、未来への不安を感じながら進んでいく、そんな今のH△Gだからこそ作れる卒業ソングがあると感じて、「青色フィルム」を作り始めたんです。
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「アロー」と「さよならガール」はつながっている
- H△G「青色フィルム」
- 2018年2月14日発売
徳間ジャパンコミュニケーションズ -
初回限定盤A [CD+DVD]
3780円 / TKCA-74626 -
初回限定盤B [CD2枚組]
3780円 / TKCA-74627 -
通常盤 [CD]
3024円 / TKCA-74628
- CD収録曲
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- アロー
- さよならガール
- ミルク
- アオイハルカゼ
- 蛍案内図
- ゆめわずらいのバードマン
- 夏の在りか
- イタズラなKiss と ラブソング。
- 銀河鉄道の夜を越えて
- ピリオドノック
- 独白
- 星町フィルム
- 初回限定盤A DISC 2(DVD)収録内容
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- アロー Music Video
- イタズラなKiss と ラブソング。Music Video
- 夏の在りか Music Video
- 星のパンフレット Music Video
- Bonus Track. アロー Music Video -Making-
- 初回限定盤B DISC 2(CD)収録曲
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- 桜の唄 -New Version-
- あの夏、僕らは。 -New Version-
- 秋風ノスタルジック -New Version-
- 冬の唄 -New Version-
- H△G「春色フィルム」
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- 2018年4月7日(土)東京都 morph-tokyo
- 2018年4月14日(土)大阪府 ヒルズパン工場
- 2018年4月28日(土)愛知県 今池GROW
- H△G(ハグ)
- ボーカリストのChihoを中心に多数のコンポーザーやクリエイターからなるグループ。2012年に動画共有サイトで発表したオリジナル曲「星見る頃を過ぎても」は60万回再生を記録している。また「心拍数♯0822」といったVOCALOID曲のカバー動画などでも話題を集める。Miliとのコラボアルバムとして「H△G × Mili」「H△G × Mili vol.2」の2作品を発表しているほか、2016年12月にはORESAMAとのコラボアルバム「H△G × ORESAMA」をリリース。2017年5月にVocaloid曲のカバーアルバム「声 ~VOCALOID Cover Album~」を発表した。同年11月に映画「イタズラなKiss THE MOVIE3 ~プロポーズ編~」の主題歌を収録したシングル「イタズラなKiss と ラブソング。」をリリース。2018年2月にはメジャー1stアルバム「青色フィルム」を発表する。