2.5次元グループの拠点は岡崎
──YouTubeやニコニコ動画を活動の拠点としているアーティストたちの中には、それぞれ作曲者や演奏者、ボーカリストなどが離れた場所にいながら曲を作っている人たちが増えています。ただH△Gはインターネット上の活動に重きを置きながらも、メンバー同士が会える距離、要は岡崎市を拠点にしているというのが、珍しいなと思いました。
Shoko 私たち、H△Gのことを「2.5次元のグループ」とか言うくせに「岡崎を拠点にしてます」っていうのはメッチャ言うんですよ(笑)。出身地とかもすべて伏せて「謎の音楽集団」とかしたらカッコいいのかもしれないんですけど、私たちH△Gのよさってもっと素朴なものだと思うんです。H△Gは青春を歌うことが多いんですけど、皆さんの青春時代を思い起こさせるような曲を書くために、私たちは自分の育ってきた場所を大切にしなきゃいけないし、そのことを隠したりする必要はないかなって。
Chiho 私たちの曲の中には岡崎のことを歌っている曲もあるんです。
──岡崎の魅力ってどういうところだと感じますか?
Chiho 住みやすいところです!
Shoko 同じ愛知県ですけど、名古屋とは全然違うんです。車で少し走ると自然がどんどん深くなって、鹿が走ってたりしますし(笑)。
Chiho あと人が好きです。岡崎魂みたいなのがあるんですよ。
──「岡崎魂がある人」ってどういう人ですか?
Shoko あんまり矛盾してない感じですね。人間としてブレてないというか。
Chiho あと地元を大事にしている人が多い気がします。岡崎で活動をするバンドマンも岡崎を大事にしてますし。名古屋に行けばそれこそいろんなバンドとかが活動してると思うんですけど、岡崎は岡崎の音楽シーンをみんなで作っていこう、みたいな空気感があるんですよ。
Shoko ツアーとかで東京、名古屋、大阪の3都市を回るのが多いと思うんですけど、H△Gはだいたい“東岡阪”なんですよ(笑)。名古屋でライブをしたほうが皆さん足を運びやすいとは思うんですけど、私たちが大切にしている岡崎という場所に来ていただいて、H△Gの音楽と一緒に岡崎の空気を感じ取ってほしいんです。
Chiho ただ私たちが拠点にしてるライブハウスって、駅から徒歩40分ぐらいかかる場所で……。
Shoko 駅とライブハウスを往復する送迎バスがあるんです(笑)。ライブが終わるとバスに乗ってみんなで駅まで帰るんですよ。不便だってこともわかってるんですけど、岡崎でライブをするってことを大事にしたい気持ちが強い。
Chiho 岡崎でH△Gのライブを観てほしいって気持ちは確かにありますね。皆さんにもっと岡崎を知ってもらいたいですし、実際に足を運んでもらいたいです。
H△Gは“アリの家族”
──グループの立ち上げから携わっているChihoさんとShokoさんにとって、H△Gってどういう存在ですか?
Chiho どういう存在……か。
Shoko Chihoちゃんがどう思っているのか知りたいな。
Chiho H△Gに入る前、私は自分がどうやって音楽を続けていけばいいかわからなくて。自分の歌う場所をずっと探していたんですよね。そんなときH△Gの一員になることができて、ライブも出させてもらえることになって。H△Gってライブをたくさんやるようなグループではないんですけど、今日までコツコツレコーディングやライブで歌うことができて、私にとっては欠かせない居場所になりました。H△Gは私の居場所です。
──Shokoさんはどうですか?
Shoko H△Gってちょっと変わった集団だと思っているんです。私にとって家族に近いんですけど、その家族が普通のイメージの家族ではなくて。なんて言うか、アリの家族って感じ。
Chiho アリって虫のアリですか?
Shoko そう!
Chiho なんでなんで?
Shoko 例えばバンドだったら、メンバー全員がある程度同じ方向性を向いていて、ある程度高いモチベーションを維持しながら前に進んでいかなきゃいけないと思うんです。でも私たちH△Gって「いい音楽を作りたい」って思いはみんなが持ってるんだけど、それぞれの熱量もできることもバラバラなんですよね。アリってさ、新しいアリを産む女王アリがいて、それを世話するアリがいて、落ちている飴玉を運ぶアリがいて、外敵と戦う兵隊アリがいたりするじゃない? H△Gも同じでそれぞれがバラバラなことをしているけど、集合体として見ると全体がうまくやっていけてる。だからアリの家族かなって。
Chiho なるほどー。確かにそうですね。私たちはアリだったんだ!
Shoko アリでした(笑)。
実演メンバーと一緒に歌った曲も
──今回リリースされるアルバム「声 ~VOCALOID Cover Album~」はVocaloid曲を収録したカバー集ですよね。なぜ今回はカバー集を出すことに?
Chiho もともとH△GのライブのSEで蝶々Pさんの「心拍数♯0822」っていうボカロ曲を使わせてもらっていて。それ以外にも私は「星屑オーケストラ」っていうボカロ曲で“踊り手”の足太ぺんたさんとコラボしたこともあるんです。H△Gとしてボカロ曲をカバーすることもあって「音源化しないんですか?」という声もたくさんいただいていたので、今回カバー集を出すことにしたんです。
Shoko 「心拍数♯0822」は、H△Gが5年間共に歩んできた楽曲ですから。こうしてCDにすることができてうれしいですね。
──お二人が特に思い入れの強い曲はなんですか?
Shoko 私は「ハローハロー」ですね。H△Gの音楽に感じるノスタルジックというか、青春時代の胸の歯がゆさみたいなものと、残響Pさんの作った「ハローハロー」はものすごくシンクロしてるんです。「H△Gの音楽が好き」っていう人は「ハローハロー」も絶対に好きになると思いますし、私自身大好きな曲なのでこうやってカバーさせてもらえるのはむちゃくちゃうれしいことですね。
Chiho すごくいい曲なんですよ。私も大好きです。
Shoko Chihoちゃんの好きな曲は?
Chiho ホント、選べないくらいどの曲も好きで……でもやっぱり1曲だけ選ぶなら石風呂さんの「ティーンエイジ・ネクラポップ」かな。実はH△Gのメンバーが石風呂さんのライブに参加していたんですけど、私が初めてボカロ曲をライブで聴いたのが石風呂さんの「ティーンエイジ・ネクラポップ」なんです。それと今回この曲の音源には実演メンバーの声がコーラスとして入ってるんですよ。
Shoko H△Gの音源ってレコーディングは実演メンバーとは違うチームが楽器を演奏しているんですけど「ティーンエイジ・ネクラポップ」のコーラスにだけ、実演メンバーに参加してもらったんです。実演メンバーの声が音源に入ったのは初めてですね。
Chiho 今までは私だけがレコーディングもライブも出る人だったので、みんなの声が音源に入って私もうれしくて。ぜひ聴いてほしいですね。
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オリジナル曲「声」に込めた思い
- H△G「声 ~VOCALOID Cover Album~」
- 2017年5月10日発売 / ユニバーサル・ミュージック
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限定盤 [CD2枚組]
2916円 / D2CT-1101 -
通常盤 [CD]
2484円 / UICZ-4395
- DISC 1
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- 心拍数♯0822
- インタビュア
- glow
- 地球最後の告白を
- from Y to Y
- 少年と魔法のロボット
- アイロニ
- ハローハロー
- 桜ノ雨
- タイムマシン
- 星屑オーケストラ
- ティーンエイジ・ネクラポップ
- からふる日和
- 声
- DISC 2(限定盤のみ)
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- 「星見る頃を過ぎても」Remixed by 蝶々P
- 「カラフル」Remixed by すこっぷ
- H△G「H△G『声 ~VOCALOID Cover Album~』リリースパーティ@nicofarre」
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2017年6月17日(土)東京都 ニコファーレ
<出演者> H△G / 蝶々P
- H△G(ハグ)
- ボーカリストのChihoを中心に多数のコンポーザーやクリエイターからなるグループ。2012年に動画共有サイトで発表したオリジナル曲「星見る頃を過ぎても」は50万回再生を記録している。また「心拍数♯0822」といったVOCALOID曲のカバー動画などでも話題を集める。Miliとのコラボアルバムとして「H△G × Mili」「H△G × Mili vol.2」の2作品を発表しているほか、2016年12月にはORESAMAとのコラボアルバム「H△G × ORESAMA」をリリース。2017年5月にVocaloid曲のカバーアルバム「声 ~VOCALOID Cover Album~」を発表した。