ギリシャラブ|20世紀の欧米文学をポップスに落とし込む

志磨遼平監修のJESUS RECORDSからのリリース

──今作は志磨遼平さん(ドレスコーズ、毛皮のマリーズ)監修のレーベル・JESUS RECORDSからのリリースです。JESUS RECORDSに移籍した経緯を教えてください。

ギリシャラブ

僕の家の近所に「京都みなみ会館」っていう映画館があって、6月に志磨さんがトークショーをしに来たんですね。それでそのあとそこの、ベランダみたいなところ──夕日が綺麗な素敵な場所でしたけれど──で、おしゃべりして、「どこも出すところなかったら出さない?」と言われたから、「出すところあるなしに関わらず出します」という感じで(笑)、決まりました。

──志磨さんへの印象を教えてください。

とにかく物腰が柔らかで、なんと言うか、偉そうな態度を絶対に取らないんです。僕らに対してだけじゃなくて、コンビニとかで話しかけてきたファンの人にも優しいです。レコーディングのときはそのおかげで終始かなりいい雰囲気でできました。あと手足とその指がすごく長いので所作が美しいです(笑)。

──「(冬の)路上」について、もしくはギリシャラブについて、志磨遼平さんから言われたことや印象的なやりとり、エピソードなどがあれば教えてください。

7月にメンバーが亡くなったとき(2017年7月に当時のベーシスト・埜口敏博が逝去)、LINEでとても優しい言葉をかけてくださって、レコーディングの日程も、いつまででも待つからゆっくりやっていこう、といってくれて、すごく心が安らいだのを覚えています。それでむしろ、レコーディングがんばるぞ、やるぞ、という気持ちになりました。

僕と志磨さんは、年齢は少し離れていますけれど、コンテンポラリーな音楽だけでなく昔の音楽を聴いてきたし、音楽家としても、そういう音楽から得たものをいかに今の時代のものとしてアップデートしてアウトプットするか、というところを考えているという点では共通しているので、会うと音楽の話ができて楽しいです。

「演じる」ということをやりたい

──ライブはどのようなものだと捉えていますか? どのようなパフォーマンスを目指しているかも教えてください。

山岡錬(G)

少し前までは、ライブで自分がやるべきことは全き演技だと考えて、完全に自分に役を憑依させることをある種理想としてとらえていたところがあったのですけれど、最近は「演じる」ということの捉え方が少し変わってきました。

今は完全に世界に入りこんでしまうより、お客さんと向き合い、メンバーと向き合い、音楽と向き合う、そのプロセスの結果として「演じる」ということをやりたいと思っています。

──ギリシャラブの音楽、ギリシャラブというバンドの存在を通じて、伝えたいメッセージや吐き出したい感情などはありますか?

それは特にないです。僕らの音楽を聴いて、聴いている間、楽しんでくれたら、最高です。

──ギリシャラブの音楽は、さまざまな文学や映画、アートなどから言葉や世界観を引用していますが、天川さんの気持ちや伝えたい思いと、その世界観をどうやってシンクロさせているのでしょうか?

ハヤシケイタ(B)

普段そんなの全然興味ないのに、演劇の舞台を観に行って、そのあとやたら芝居がかった口調で話してくる愛すべき友達を、皆1人くらい持っていると思うのですけれど、彼(彼女)が1回で終わらずに、「演劇、いいな」と思ってもう1回観に行く。そしてまた観に行く、というのを続けたらきっと、どんどん芝居口調になるというわけではなくて、元の、普段の話し方に戻ると思うんですよね。

でもそれって、日常と芝居が切り離されたわけではなくて、もっと深いところで、自分の中にその芝居のエッセンスが根付いている。

それと同じです。僕の気持ちや思いの中に、僕の読んだ本や僕の観た映画、絵画がすでに包含されていますから、ある意味では、引用は引用であって引用ではない、と考えています。

──今後どのようなバンド、どのような存在になっていきたいですか? 今後の具体的な目標などもあればお聞かせください。

うーん、これはインディロックじゃない、ポップミュージックなんだ、ということを強く意識して今作を作ったので、インディロックファンの人以外にも、広く今作が聴かれればいいなあ、と思います。

ギリシャラブ「(冬の)路上」
2018年1月17日発売 / JESUS RECORDS
ギリシャラブ「(冬の)路上」

[CD]
1728円 / JRSP-005

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収録曲
  1. からだだけの愛
  2. モデラート・カンタービレ
  3. ブラスバンド
  4. ペーパームーン
  5. どういうわけか
ギリシャラブ「(冬の)路上」発売記念LIVE
  • 2018年2月18日(日)東京都 新宿red cloth
    <出演者>
    ギリシャラブ / Gateballers / Gi Gi Giraffe
  • 2018年2月25日(日)京都府 ネガポジ
    <出演者>
    ギリシャラブ / カネコアヤノ / 折坂悠太(合奏)
ギリシャラブ
2014年に京都で結成されたロックバンド。メンバーチェンジを経て、現在は天川悠雅(Vo)、取坂直人(G)、山岡錬(G)、中津陽菜(Dr)、ハヤシケイタ(B)の5人で活動している。文学作品や絵画からインスピレーションを受けて作られる物語性のある歌詞やノスタルジックなサウンドで人気を博している。2015年に1stミニアルバム「商品」を、2017年3月にフルアルバム「イッツ・オンリー・ア・ジョーク」を発表。2018年1月に「(冬の)路上」を、志磨遼平(ドレスコーズ、毛皮のマリーズ)監修のレーベル・JESUS RECORDSからリリースした。