亀井亨(Dr)|絶妙なバランスで20年間やってきた感じ

わりと自由なバンドだといいな

──今作はセルフプロデュースですが、そこらへんで過去のアルバムとの違いは出てくるんですか?

うーん、一緒ですけどね。プロデューサーを立てようかっていう話はあったんですけど、やるなら全曲やってほしいなって。なかなかそうなると難しくなって。今回はセルフでやりましょうかと。

──セルフでやる場合のジャッジは誰が?

西川さんですね。西川さんが音楽的なところは中心になって進めてます。今回は田中くんも積極的にやってましたけど。

──亀井さんとしてこだわりは?

西川くんと田中くんを信頼して、離れて見てました(笑)。

──曲作ったの俺だし、こうしてくれよっていうのはないんですか?

そんなに、こうしたいって主張はしなかったです。

──もともとそうなんですか?

いや、昔はもっとワイワイやってたんですけど、最近は変わってきましたね。昔はプロデューサーがいてたというのもありますけど、そうですね、うん……わりと西川さんがここ何年かは中心になってやってますね。

──亀井さんなりにGRAPEVINEはこういうバンドであるべきだ、こうあってほしいというのはありますか?

うーん、そうですねえ、今でもそうかもしれませんけど、自由にできればいいかなと思ってますけどね。あんまり、型を決めずに、そんときそんときで面白いものができる、わりと自由なバンドだといいなと思います。

──これをやったらGRAPEVINEじゃなくなるとかそういうのってあるんですか?

どうなんやろなあ。

──例えばご自分で曲を持っていくときに、「これはやっちゃあいけないな」とか、これはGRAPEVINEじゃ使えないなとか、自主規制みたいなものって。

くくくく(笑)。ヘヴィメタルみたいな曲はね。僕もともと好きなんで。でもメタルを持って行こうとは思わないですね(笑)。

──作ってはいるんですか?

作ってないです。仮に持って行ったとして、うちのバンドでやったらメタルにならなんじゃないかなって思いますね。メタルにしないでしょうし。そういう信頼みたいのはありますね。むっちゃ変なのを持って行っても、それなりの落とし所を見つけて作ってしまうんじゃないかというのはありますね。

──逆にメンバーを信頼して、どんな曲でも持っていけばGRAPEVINEらしくなると。

なるんじゃないですかね? 今までそんな変化球は投げたことないんですけど。そういうことしてみたら面白いかもしれませんね。

困るんですよ、3人きりにされると(笑)

──亀井さんの考えるGRAPEVINEらしさってなんですかね?

うーん、なんですかねえ。あんまり素直じゃないんで、素直な曲はできにくいですね。僕らでやると、ちょっと凝ってしまうというか、ちょっと変わったこと、変わった感じにしたいって考えてしまうので。悪く言えば複雑なんでしょうけど、でもそれがらしさでもあるかなと思います。だから「Arma」みたいな曲がたまにできると、新鮮で面白いなと思うし。

──なるほど。

亀井亨(Dr)

間口が広いというか、なんでもやろうとしてる。ちょっとでも、毎回違うことをやろうとしてたり、ちょっとでも前に行こうとしてる感じは自分たちらしいかなと思いますね。そういうのがあるから続けられているのかなっていうのがあります。

──20年続いた理由はそこであると?

結果的にそうなったんですけど、意識したわけではないです。続けるためにそれをやってたわけじゃないんですけど、今思うとそうですね。

──結成当初からバンド内の関係性とか変わったりしましたか?

変わってないです。週に2回くらいリハーサルスタジオに入ってたんですけど、そのとき以外は会わなかったですから。今でもその感じは続いてます。

──なぜ友達関係みたくならなかったんですかね?

僕からしたら西川さんと元メンバーの西原(誠)さんはお兄さん、先輩になるんですね。僕、わりと上下関係のある環境で育ってきたんで、あんまり気軽に接することができなかった。やっぱり先輩として見てたので。田中くんは歳下ですけど、全然よそから来たまったく知らない人だったんで、素性もよくわからず仲よくならなかった(笑)。共通の知り合いのライブを観に行ったら会ったりして、お酒を一緒に飲んだりはするんですけど、メンバー同士でわざわざ会ったりとか、遊びに行ったりっていうのはなかったですね。不思議ですけど。

──そういうある程度距離を置いた関係だからこそ、馴れ合いにならず、新鮮な感じでできているのかもしれませんね。

だから絶妙なバランスで20年間をやってきた感じですかね。

──そんなにガラッと大きく音楽性が変わるわけではないのに、新鮮な感じが常にあるのはすごいことだと思います。ルーティンでやってる感じがない。それはお互いのあうんの呼吸があるんでしょうね。

そうですね……メンバーでは話さないですけど(笑)。それぞれ思ってるんだと思いますけど。

──音楽をやってないときは、どんな会話をしてるんですか?

そうだなあ(笑)。あんまり……そうですねえ。何話してたかな。この前フジロックに出るんで田中くんの車で、西川さん、俺の3人で行ったんですけど、ラジオが流れてて、それがどうだこうだと他愛のないことを話したり、なんか、どうでもいいようなことを……車内は静かでしたねえ。困るんですよ、3人きりにされると(笑)、誰かいないと……。

──長年連れ添った夫婦みたいな。カミさんと2人きりだと会話がないという。

そうなんですよ。フジロックの帰りはNICO Touches the Wallsの光村(龍哉)が乗ってたんですけど、それはわりと盛り上がりましたよ。光村がいっぱいしゃべって(笑)。

──ははははは(笑)。わかる気がします。レコーディングの現場ではどんな感じ?

あんまりワイワイしてる感じじゃないですね。けっこうしんみりと。毎回ほかの人がみたら心配するくらいの感じでやってます(笑)。

GRAPEVINE「ROADSIDE PROPHET」
2017年9月6日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
GRAPEVINE「ROADSIDE PROPHET」20th Anniversary Limited Edition

20th Anniversary
Limited Edition [CD+DVD]
4320円 / VIZL-1216

Amazon.co.jp

GRAPEVINE「ROADSIDE PROPHET」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / VICL-64820

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. Arma
  2. ソープオペラ
  3. Shame
  4. これは水です
  5. Chain
  6. レアリスム婦人
  7. 楽園で遅い朝食
  8. The milk(of human kindness)
  9. 世界が変わるにつれて
  10. こめかみ
  11. 聖ルチア
20th Anniversary Limited Edition付属DVD収録内容
  • GRAPEVINE STUDIO LIVE 2017
    1. 覚醒
    2. EAST OF THE SUN
    3. KOL(キックアウト ラヴァー)
    4. Arma
    5. スロウ
    6. CORE
    7. 吹曝しのシェヴィ
    8. 放浪フリーク
  • 「Arma」music video
  • RECORDING DOCUMENT 2017
GRAPEVINE Tour 2017
  • 2017年10月5日(木)東京都 LIQUIDROOM
  • 2017年10月7日(土)新潟県 新潟LOTS
  • 2017年10月8日(日)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2017年10月14日(土)兵庫県 Kobe SLOPE
  • 2017年10月15日(日)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2017年10月21日(土)熊本県 熊本B.9 V1
  • 2017年10月22日(日)鹿児島県 CAPARVO HALL
  • 2017年10月27日(金)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2017年10月28日(土)愛媛県 松山サロンキティ
  • 2017年11月5日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2017年11月11日(土)岩手県 Club Change WAVE
  • 2017年11月12日(日)宮城県 Rensa
  • 2017年11月18日(土)福岡県 BEAT STATION
  • 2017年11月19日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2017年11月23日(木・祝)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2017年11月24日(金)大阪府 NHK大阪ホール
  • 2017年11月26日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2017年12月1日(金)東京都 東京国際フォーラム ホールA
GRAPEVINE(グレイプバイン)
GRAPEVINE
田中和将(Vo, G)、西川弘剛(G)、亀井亨(Dr)の3人からなるロックバンド。1993年に元メンバーの西原誠(B)を含めた4人で結成。1997年にミニアルバム「覚醒」でデビューし、1999年リリースの3rdシングル「スロウ」が大ヒットを記録する。2002年に西原がジストニアのため脱退して以降は、高野勲(Key, G)、金戸覚(B)をサポートメンバーに加えた5人編成で活動を続けている。2010年にはギタリスト / プロデューサーの長田進と「長田進 with GRAPEVINE」名義でアルバム「MALPASO」を制作。2012年にメジャーデビュー15周年を迎え、9月に初のベストアルバム「Best of GRAPEVINE 1997-2012」を発表した。2014年11月にビクターエンタテインメント内のSPEEDSTAR RECORDSへ移籍し、2015年1月に移籍第1弾シングル「Empty song」収録曲を含むアルバム「Burning tree」をリリース。また2016年2月には高野寛をプロデューサーに迎えて制作されたシングル曲「EAST OF THE SUN」「UNOMI」などを含むアルバム「BABEL,BABEL」を発表した。デビュー20周年を迎える2017年には対バンツアー「GRUESOME TWOSOME」を開催し、9月に通算15枚目のオリジナルアルバム「ROADSIDE PROPHET」をリリース。