今年結成15周年を迎えたGRANRODEOが、シングルコレクション「GRANRODEO Singles Collection "RODEO BEAT SHAKE"」をリリースした。
デビューシングル「Go For It!」から最新曲「情熱は覚えている」まで全シングルのリードトラックと、書き下ろしの新曲「welcome to THE WORLD」を含む全32曲をUHQCDに収録した本作。日本のアニソン界を代表するロックユニットとしてキャリアを重ねてきたGRANRODEOの15年の歴史が詰まった作品となっている。音楽ナタリーではシングルコレクションの発売を記念して、特別企画「GRANRODEOの10大トピック」を実施。2005年にデビューしてから結成15周年を迎えた今年まで、特にGRANRODEOにとって大きな転機、事件だったと言える10本のトピックについて2人に振り返ってもらった。
取材・文 / 阿部美香 撮影 / 草場雄介
GRANRODEO結成、デビューシングル「Go For It!」リリース
──GRANRODEOの結成秘話としては、KISHOWさんは念願のロックアーティストとしての活動を本格的にできることになってやる気満々だった一方で、e-ZUKAさんはよくあるアニメタイアップの企画ものユニットで終わるだろうから、デビュー曲にあらゆるやりたいテクニックを詰め込んだという話が有名だと思うのですが、当時はいかがでしたか?
KISHOW(Vo) 確かにそうでした。当時はやる気満々でモチベーションが高かったですよ。明確に目標があったわけではないんだけど、「ついに始まった! 自分のやりたいことの基盤ができた!」と思ってましたね。まあ、e-ZUKAさんはホントにシングル1枚で終わるもんだと思っていたらしいけど(笑)。
e-ZUKA(G) 僕はずっと作曲・編曲、プレイヤー畑でやってきた裏方でしたからね。人生の記念にCDが出せるという喜びはすごくありましたよ。近所のTSUTAYAさんのレンタルコーナーでGRANRODEOのPOPを見たときは感動しましたし。
KISHOW あとデビュー曲で思い出すことといえば……今、すごく貴重だなと思うのは「Go For It!」の仮歌を、あの遠藤正明(JAM Project)さんが歌ってくれていたという事実ですね。
e-ZUKA そうなんですよ。どういう経緯でそんなことになったのか、僕らは聞かされていなかったんですけどね。今思うとすごいことだなと。
KISHOW あと面白かったのは、ユニット名を決めたときのことかな。みんなで案を出し合ったんですけど、最初に僕がひねり出したのが“ロデオスパイダー”。田舎臭いでしょう?(笑)
e-ZUKA KISHOWが出してきた案には、“ブレイズ”とかもあったね。
KISHOW あったあった。でもなかなかピンと来るのがなくてね。結果、“ロデオ”は残して何がいいか?という話になって、出てきたのが“ロデオスター”と“GRANRODEO”。
e-ZUKA で、最終的にどっちかにしようと。正直どっちもなんかダサくて嫌だったけど(笑)、ロデオスターよりはGRANRODEOのほうがいいかなと。
KISHOW そうそう(笑)。結果、ロデオスパイダーものちのち、GRANRODEOをモチーフにした「ぐらP&ろで夫」というアニメ内のバンドの名前として使われました。なんなら今からでも改名しようかな、ロデオスパイダーに。「俺が本当にやりたかったことは、ロデオスパイダーでしかできねえ」って(笑)。
1stワンマンライブ「GRANRODEO FIRST LIVE 2007 "RIDE ON THE EDGE"」2DAYSがソールドアウト
──GRANRODEOと言えばライブパフォーマンスに定評がありますが、1stワンマンの時点ですでにライブへの期待値は高かったですよね。
KISHOW 会場は今はなき横浜BLITZだったんですけど、最初は1日だけの予定だったんです。でもそのチケットが即完しちゃったんで、なぜか前日に追加公演を行うという面白い現象が(笑)。
e-ZUKA 本当は1stワンマンは原宿アストロホールでやろうという話だったんです。それでも何百人も入る会場ですごいなあなんて思ってたんですけど、まさかの1700人キャパの2DAYSがソールドアウト。「そんなに俺たちのことを観たいと思ってくれている人がいるんだ!」という驚きがまずありましたね。
KISHOW なんせGRANRODEOとしては初のワンマンだから、前例がないじゃない? 事の大きさが僕もよくわかってなかったから、「おおっ!」という感じはあったかな。声優・谷山紀章ではなく、GRANRODEOとして認識してもらえたことはうれしかった。
──意気込みもかなりのものだったのでは?
KISHOW そうですね。本番も15年間で一番モチベーションが高かったかも(笑)。本当に意気込んでたし、リハもすごく入念にやったし、本番の日は舞台の袖でスタッフが号泣してて……そういう最初の興奮というのは、これからも超えられないんじゃないかな。
e-ZUKA 僕は「本当にワンマンなんてできるのかな?」とビビってましたけどね(笑)。僕がサポートをさせてもらっていた元スターダスト☆レビューのキーボードの三谷泰弘さんもライブを観に来てくれて、終わってからメールをくれたんです。すごく褒めてくれて「次はツアーをやることが決まったんです」と報告したら、「あんなライブを観せられたら、ツアーを計画しない人はいないと思う。スタッフも本気になると思うよ」と言ってくれて……よっぽどいいライブだったんだなと、改めて思いましたね。
初の日本武道館ワンマン「GRANRODEO 5TH ANNIVERSARY LIVE AT 武道館 ~G5 ROCK★SHOW~」開催
──デビュー5周年での初の日本武道館ライブでは、男性声優がワンマンライブで武道館に立ったのはKISHOWさんが初という記録も打ち立てました。武道館が決まったときのことは覚えてますか?
KISHOW うん、よく覚えてますよ。その前の年の夏、初めて日比谷野音と大阪城音楽堂でワンマン(「GRANRODEO 東西 都乱巣 雷武 夏ノ陣」)をやったんですけど、そのリハーサル中、スタジオのテラスみたいな喫煙所に「ちょっとお話があるんですけど」とプロデューサーに呼び出されてね。「なんか怒られるのかな?」と思ったら「決まりました、武道館!」って。「おお、そうか!」と。
e-ZUKA リハーサルからメイキング収録のカメラが回っていたんですが、それが喫煙所に付いてきた時点で、「これはいい話に違いない。ひょっとしたら武道館かな?」と僕は思ってましたね。カメラが回っているから、びっくりしたふりをしましたけど(笑)。
KISHOW あはは!(笑) 僕もその頃には「いずれは武道館あるな」と思ってたので、いよいよ感はあったかな。ただ、もう武道館をやることが決まってるのに発表は半年以上先。言いたくて言いたくてしょうがないのを野音でも我慢しなきゃいけないのは、かなりもどかしかったなあ。
──実際、武道館のステージはいかがでした?
KISHOW アンコールの「Go For It!」でコール&レスポンスを煽っているときは、調子が出てきた感覚が確実にあったけど、途中まではかなり浮き足立ってましたよね。
e-ZUKA 僕もやっぱり緊張しました。結果的に思い描いていたパフォーマンスには至らなかった部分もあったんですが、やっぱり憧れの武道館に立てたのはうれしかった。家族や友達もこぞって田舎から観に来てくれましたし。入り口のところに自分たちの名前の看板が出ているのもすごいことだなと思ったし、「屋外のテントに行列作ってくれている人は何を買ってるんだろう……あっ、俺たちのグッズか!」みたいな感慨がありましたね(笑)。
KISHOW ここから僕らが年に一度デカい会場でやる、周年ナンバリングを冠した「ROCK☆SHOW」というお祭りワンマンライブもスタートして。記念の年でもありますね。