音楽ナタリー Power Push - GRANRODEO
10年分の感謝と祝福すべき未来
今年デビュー10周年を迎えたGRANRODEO。このたび、そんな彼らのベストアルバム「DECADE OF GR」がリリースされた。このベスト盤にはシングル曲はもとより、ライブでの人気曲、KISHOW(Vo)とe-ZUKA(G)が改めてファンに届けたい楽曲が収録された、e-ZUKA曰く「ベストヒット」ではなく「ベストトラック」が集められた1枚となっている。さらにアルバムにはこの10年に対する彼らの感謝と11年目からの未来への希望を歌った2曲の新曲も収められている。
今回音楽ナタリーではこのアルバムのリリースを記念してKISHOWとe-ZUKAにインタビューを実施。ベスト盤収録曲を通じて、彼らの10年に迫った。
取材・文 / 成松哲
何をもって“ベスト”とするか?
──「DECADE OF GR」って少し変わったベスト盤だと思っていて。10周年記念盤だけどシングル全曲を収録しているわけではない。その代わり「サマーGT09」みたいなライブで人気のオリジナルアルバムの楽曲を多数収録しています。
KISHOW(Vo) e-ZUKAさん、言ってあげて。
e-ZUKA(G) あのー……もしかしたらお気付きかもしれないんですけど、実は私ども、恥ずかしながら2年前にもベストアルバム(「GRANRODEO GREATEST HITS ~GIFT REGISTRY~」)を出しておりまして……。ベストアルバムという性格上、2年前のベストと全曲カブらないようにするのは難しいんですけど、それでもやっぱり極力カブらないほうがファンの皆さまはきっとうれしいんじゃないかと思いまして……。
──あはははは(笑)。
e-ZUKA まあでも「ベストアルバムとは何をもって“ベスト”とするのか?」っていうことを改めて考えてみるいい機会にはなったかな、とは思っていて。例えばライブの人気曲もベストにふさわしい曲だと思いますし、「Snow Pallet」みたいな僕たちのアルバムを繰り返し聴いてくれているコアなファンなら知ってるけどライトなファンはきっと知らない、でも僕たちが聴いてほしい曲だってベストトラックといえるだろうし。「ベストはベストでも“ベストヒット”ではない」っていう、ベストアルバムの意味を捉え直すっていうことはできたかな、って思ってます。
──コアなファンとこの10年を祝うためだけのアイテムではない、と。
e-ZUKA 特にGRANRODEOってアニメのタイアップが多いから「シングル曲だけは知ってる」っていう人も多いと思うんですよ。ベストアルバムってそういう人こそ手にするものだとも思いますから。だったらキャッチーなシングル曲以外の、ちょっと意外なんだけど、でもカッコいい曲が流れてきたら、より僕らのことを気に入ってくれるんじゃないかな、と。
KISHOW あと今のご時世配信で聴けちゃうし、っていうことも考えたかな。
e-ZUKA うん。今回のベストに入っている曲ってたいていiTunes Storeで試聴できちゃうんですよ。でもこのトラックリスト通りに聴かれることはまずないと思っていて。
──たいていの場合、ダウンロード数が多い曲、つまり人気曲順に聴くでしょうしね。
e-ZUKA あとは評価が“熱い”ヤツとかね。でも今回のベストはそういう選び方じゃなくて、もっと主体的。スタッフ陣も交えて相談をした上で明確な理由のもとにこの30曲を選んでるんです。
“非売品”じゃねえんだよ
──だからかシングル曲の「NOT for SALE」なんかが入ってないですよね。このあたりにも意図を感じます。
KISHOW あっ、それは「役が来なくなっちゃうから」っていうことで役者が厄払い(やくばらい)に行かないのと一緒。ゲン担ぎです。
e-ZUKA このアルバムは“非売品”じゃねえんだよ。買えよ、と(笑)。
──それ絶対ウソですよね(笑)。過去には「NOT for SALE」と銘打ったシングルをリリースしているわけだから。
KISHOW ……はい(笑)。
e-ZUKA アグレッシブなロックナンバーだし、普通に皆さんに評価をいただいている曲ではあるんだけど、「『NOT for SALE』もいいけど、こっちのほうが聴きたいかな」っていう曲があったっていうだけなんです。
KISHOW だから「NOT for SALE」を聴きたかったらベストと一緒にシングルを買ってね、と(笑)。
──改めて「NOT for SALE」を含めなかったり、こだわってセレクトした30曲を聴いてみた印象って?
e-ZUKA 「まあいろんなタイプの曲があるなあ」とは思いましたね。
──確かにバラエティに富んでいるんだけど、でも全編、我々がイメージする「GRANRODEOらしい楽曲」が並んでますよね。
KISHOW 確かにレーベルのスタッフやアニメの制作スタッフという名の“お上”の言うことに右往左往しながらも自分たちらしいことをできてはいるなあ、とは思いました。
e-ZUKA でも特にレーベルサイドについては“お上”が変わってないですから。プロデューサーは10年間ずっと同じだし、スタッフも含めたチームとして活動している意識があるから、我々も“お上”の声にも耳を傾ける、と。
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- ベストアルバム「DECADE OF GR」 / 2015年9月30日発売 / Lantis / [CD2枚組+DVD] 4860円 / LACA-9414~5
- ベストアルバム「DECADE OF GR」
DISC 1
- バラライ
- Go For It! "style EDGE"
- Infinite Love
- 慟哭ノ雨
- Once & Forever
- delight song
- Snow Pallet
- Darlin'
- アウトサイダー
- tRANCE
- modern strange cowboy
- サマーGT09
- カナリヤ
- 21st CENTURY LOVERS
- シャニムニ
DISC 2
- SEA OF STARS
- ROSE HIP-BULLET
- SUPERNOVA
- 愛のWarrior
- Can Do
- メズマライズ
- RIMFIRE
- CRACK STAR FLASH
- 偏愛の輪舞曲
- Y・W・F
- The Other self
- 変幻自在のマジカルスター
- Punky Funky Love
- メモリーズ
- 今より先を
DVD収録内容
Music Clip
- バラライ
- 僕だけの歌
- wish
GRANRODEO LIVE 2013 Y・W・F /(^o^)\ ヤッホー ワンダホー FUJIYAMA!!
- Y・W・F(feat. KIJI + WONDERHOO DANCERS)
- サマーGT09(feat. FIRE HORNS + WONDERHOO DANCERS)
- 恋のHEAT WAVE(feat. FIRE HORNS + WONDERHOO DANCERS)
- SEA OF STARS(Acoustic ver.)
- Go For It!
- Beautiful world(feat. FIRE HORNS + WONDERHOO DANCERS)
GRANRODEO(グランロデオ)
ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマ「Go For It!」でデビュー。声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行し、「Animelo Summer Live」などの大型フェスではヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリース。翌2015年1月には22枚目のシングル「Punky Funky Love」を、6月に23作目「メモリーズ」を、9月にはデビュー10周年記念ベストアルバム「DECADE OF GR」を発表した。また10月には千葉・幕張メッセ 国際展示場1-3ホールにてユニット結成10周年を記念した2DAYSライブイベント「GRANRODEO LIVE 2015 G10 ROCK☆SHOW」を開催する。