これが日常なんだよ

──カップリング2曲目「日常ホライズン」は、テンポ感なんかこそ違うものの「Punky Funky Love」のカップリング「追憶の輪郭」とある意味同じ。お2人の年齢相応というか、アダルティなダンスナンバーです。

e-ZUKA　「追憶の輪郭」もそうなんだけど、この曲も去年のアルバム「カルマとラビリンス」のために作っていて。でもアルバムのテイストとちょっと違うからって収録しなかった曲なんですよ。で、おっしゃる通り、僕やKISHOWの青春時代の感じ。昭和歌謡っていうほど古くはないんだけど、イマドキのJ-POPやJ-ROCKでもない。ちょうどサザンオールスターズが登場してから、Mr.Childrenあたりにつながっていく、あの系譜の上にあるものをやってみたかったんですよね。

──で、「カルマとラビリンス」制作時に録った音源を収録した、と。

KISHOW　いや、アルバムを作ってるときには録ってなくて。曲だけずっと寝かせてました。

e-ZUKA　さっきKISHOWは「僕だけの歌」と「ろで夫だけの歌」でシングルを切るんだと思ってたって言ってましたけど、僕は僕で今回のシングルが「メモリーズ」と「僕だけの歌」と「ろで夫だけの歌」の3曲になるんだと思ってたんですよ。だから「オレ2曲しか作ってないのに、3曲入りのシングルができあがる」「これはおいしい」と思ってたんですけど、スタッフから「日常ホライズン」を入れたいです、と言われてしまい……。

KISHOW　慌ててアレンジと作詞をすることになった、と（笑）。

e-ZUKA　現実は甘くなかったです（笑）。

──なるほど（笑）。この曲ってサウンドだけじゃなくて、KISHOWさんの詞も“オトナ”だから歌えることだよな、っていう気がするんです。バカみたいに声高に「前向いてがんばろうぜ、イエーイ！」とは言わないけど、うしろ向き一辺倒でもない。「歩いて 歩いて 歩いて」と、ゆっくりでもいいから前進しようとしている。

KISHOW　それが日常だなって思うんですよね。「日常ホライズン」っていうタイトル通り、日常っていうのは地平線のようにさほど起伏もなく、ずーっと続いていくもの。それ以上のものでもそれ以下のものでもないんだ、と。人って、とかく夢とかドラマチックなものを人生に求めがちだけど、基本、人生ってそういうもんじゃない。それでも「歩いて 歩いて 歩いて」進めていくもんなんだよって思ってますから。

──売れてる役者であり、さいたまスーパーアリーナなんかをいっぱいにできるボーカリストであっても、ですか？

KISHOW　もちろんこの詞に書いてあることが僕の全パーソナリティを表現しているっていうわけではないんですけど、でもやっぱり派手なばっかりが人生ではないと思ってる自分がどこかにいるんでしょうね。そういう自分が、たまに歌詞という形で出てくるというか。それは「メモリーズ」でも歌っていることではあるんですけど。

──これまでの“メモリー”を振り返った上で「一番いいのはこれからだよ」って言ってるわけですしね。やっぱり先に進もうっていう話をしている。

KISHOW　ええ。だから「日常ホライズン」を書いてるときの僕も達観していたわけでも、あきらめていたわけでもないんですけどね。これから先、まったく起伏がないわけじゃない。それぞれが「日常ってこんなもんだなあ。歩いていくしかねえんだなあ」って感じで歩き続ければ、きっと楽しいことやうれしいことも待ってるはずですから。だから「歩いて 歩いて 歩いて」ほしくはありますね。

水着席の前から動きませんよ

──あとちょっと気の早い話なんですけど、10月に幕張メッセでデビュー10周年イベント「GRANRODEO LIVE 2015 G10 ROCK☆SHOW」がありますよね。

KISHOW　今年一番の目玉としてはそこですね。

──で、音楽ナタリーでも記事を出したら話題になったんですけど（参照：GRANRODEO「G10」ライブに水着専用席も）、ステージの両サイドに水着の女性ファン専用席が設置される、と。

KISHOW　ようやくスタッフが我々の要望を汲んでくれた。

e-ZUKA　（大きく頷く）

──あはははは（笑）。

KISHOW　目の保養にもなるし、やる気にもつながりますしね！ 我々はもう水着席の前から動きませんよ。いつものライブではステージの端から端まで駆け巡ってますけど、メッセでは2人ともステージの両サイドにほぼかぶりつきになりますっ！

e-ZUKA　（大きく頷く）