音楽ナタリー PowerPush - GRANRODEO

「黒子のバスケ」最終章に添えた“これから”の歌

「変なの!」「サビとか歌いづらそう!」

──KISHOWさんは「20歳若返った」というe-ZUKAさんの音を聴いてどう思いました?

KISHOW 「変なの!」って(笑)。あと「サビとか歌いづらそう!」って。

──あはははは(笑)。

KISHOW やっぱり意外でした。これまで僕らが作らせてもらった「黒バス」オープニングの5曲はどれも明るい感じだったのに、マイナー進行の曲でしたし。「ここにきて、そうきたか!」って感じでしたね。それと曲からe-ZUKAさんの苦労のあとがにおってきたかな。

e-ZUKA ははははは(笑)。

──そのe-ZUKAさんがご苦労の末、生み出した「サビの歌いづらそう」な曲の作詞って順調でした?

KISHOW(Vo)

KISHOW 「歌いづらそう」とか言っておきながら順調ではあった気がしますね。まさかのマイナー進行、それこそe-ZUKAさんの言う通り「バトルアニメじゃん!」っていう曲だったから、僕も僕で聴いてくれる皆さんの耳を疑わせたかったんでしょうね。だから「僕の愛をくらえ!」っていう、普段ならまず歌わなそうなフレーズが入ってる。「えっ、今なんつったの? KISHOW、『愛をくらえ』っつった!?」っていうフックを作りたかったんだろうし、そのフック作りには成功したんじゃないかな、と。強い言葉で聴く人の耳を奪えたらいいな、っていうアイデアがハマって「いいぞ、この歌詞」っていう手応えを感じたんじゃないかなあ。

──えーっと……。なんで「耳を疑わせたかったんでしょうね」「手応えを感じたんじゃないかなあ」って感じで、語尾が伝聞や推測になってるんでしょうか?

KISHOW ああ、作詞してるときの自分のことを、今の自分が確固たる自信を持って振り返れてないからですね。

──へっ!?

KISHOW 僕、歌詞を書いてるときってだいたいベロンベロンなんですよ(笑)。作詞するとき=呑んでるときだからあんまり覚えてなくて。まあ、これは歌詞を書くときに限った話じゃない。普通に呑んでるときもそうなんですけど、ほとんど記憶がない。一緒にいた人にあとからそのときのことを聞いて「ああ、オレ、ダメ人間になっちゃってるな」って軽くヘコむっていうのを繰り返してますから(笑)。

──だから今も語尾があいまいに(笑)。

KISHOW 歌詞を書いてるときは、恐らくイケイケドンドン。「うわっ! これ、すごいいい」ってなってるんだけど、その瞬間の記憶がないもので(笑)。だからこういう取材で詞について話すときは必死なんですよ。必死に思い出しながら話すから「……だったんでしょうね」っていうふうになるという。

──ただ酔ってるときのKISHOWさんもやっぱり間違ってはいないというか。「メモリーズ」の詞は「僕の愛をくらえ!」とインパクトの強い言葉をカマすだけでは終わらない。ちゃんと「黒バス」の大ラスを飾るにふさわしくなっている。物語が終わってしまう寂しさもちゃんとたたえているし、とはいえ、2コーラス目では「あの頃は二番目に良かったんだろうね 一番いいのはこれからだよ」と明るい未来も予感させています。

KISHOW 「メモリーズ」っていうタイトルにもまさに意味を込めていて。これまで5曲作ってきた「黒バス」の曲もこれで最後っていうのもあるし、あと我々も結成10周年ですから。いろいろ昔を思い返すこともあるけど、これからはもっと楽しいことが待ってるんだぜっていう意味も込めたかった……んでしょうね、詞を書いてるときの僕は(笑)。

青春パンクができました

──ここからはカップリング曲について聞かせてください。以前e-ZUKAさんは「楽曲をバラエティに富ませるならリズムパターンにバリエーションをもたせるといい」とおっしゃっていました(参照:GRANRODEO「カルマとラビリンス」インタビュー)。

e-ZUKA そうですね。

──で、今作には「僕だけの歌」「日常ホライズン」と2曲のカップリングが収録されていて、どちらも「メモリーズ」とはノリが違う。まさにリズムのバリエーションで魅せています。

e-ZUKA 結果的にそうなりましたね。「僕だけの歌」は、今放送している「ぐらP&ろで夫」っていう僕たちをモチーフにしたアニメの劇中歌として書き始めた曲なんですよ。アニメの制作陣から「KISHOWがアニメの中で演じてるろで夫が歌う青春パンクが欲しい」っていう話があって。

──「GRANRODEOで青春パンク」っていうのもけっこう大胆なオーダーですよね。それこそ四つ打ちダンスロック並になかったタイプの曲ですし。

e-ZUKA しかも僕の中の青春パンク感と皆さんの中の青春パンク感に若干の相違がありまして(笑)。僕としてはこれまで作ってきた「Can Do」とか「The Other self」とか、あとは「modern strange cowboy」とかだって青春パンクだと思ってたんですけど……。

──確かにパンキッシュなタテノリのビートに乗せて、男の子ががんばる姿を歌うという意味では“青春を歌ったパンクナンバー”なんだけど、辞書的な意味での「青春パンク」かと言われると……。

e-ZUKA 違いますよね(笑)。

ニューシングル「メモリーズ」2015年6月3日発売 / Lantis
初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-34346 / Amazon.co.jp
通常盤 [CD] 1404円 / LACM-14346 / Amazon.co.jp
アニメ盤 [CD] 1404円 / LACM-14347 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. メモリーズ
  2. 僕だけの歌
  3. 日常ホライズン
  4. メモリーズ(OFF VOCAL)
  5. 僕だけの歌(OFF VOCAL)
  6. 日常ホライズン(OFF VOCAL)
初回限定盤DVD収録内容
  • メモリーズ(Music Clip)
GRANRODEO(グランロデオ)

ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマ「Go For It!」でデビュー。声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行し、「Animelo Summer Live」などの大型フェスではヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリース。翌2015年1月にテレビアニメ「黒子のバスケ」3期第1クールのオープニングテーマにして22枚目のシングル「Punky Funky Love」を、6月に最終章にあたる3期第2クールの主題歌となるニューシングル「メモリーズ」を発表。さらに10月には千葉・幕張メッセ 国際展示場1-3ホールにてユニット結成10周年を記念した2DAYSライブイベント「GRANRODEO LIVE 2015 G10 ROCK☆SHOW」を開催する。