音楽ナタリー PowerPush - GRANRODEO

KISHOWとe-ZUKAの考える 「黒子のバスケ」の関係

年齢感と生業が見つけた言葉たち

──結果、すごい言葉を探し出しましたよね。「追憶の輪郭なんてあやふやだね」って、お前どんだけ悲しいんだよ!って話じゃないですか。追憶の輪郭、要は思い出の形がはっきりしているなら、それを振り返って悲しむくらいのことはできるけど、その形すらあやふやになっちゃったら、悲しむどころか思い出すことすらできないわけだから。

GRANRODEO

KISHOW ははははは(笑)。スゲー読み解きますねえ!

──思わず気付いちゃいました(笑)。

KISHOW でもホントにそうで。僕も今年で40歳ですから。おっしゃる通り年相応。こんな恋愛を歌ってもおかしくない年齢だからこそ、そういう言葉を見つけられたんだろうし、あと、声優としていろんな役を演じていることも役に立ったのかもしれないですね。かなりベタですけど「バーみたいなところでバーボンなんかを傾けながら昔の恋を振り返る男って何を思うんだろう?」って感じで、キャラクターとシチュエーションを明確にイメージする。そういう役作りみたいなことはある意味自然とできるから、新機軸となる言葉を思い浮かべることもできるんだろうなって気はしています。

どうしようもないほどのクリスマス感

──そしてもう1曲のカップリング曲「wish」なんですけど、第三者委員会からの提案をもとに曲を作るのと、完全にお1人で作るのって、どっちがスムーズに作業できるものなんですか?

e-ZUKA 「ツアーでバラードを聴きたい」って言われたから、みんなで合唱できるパワーバラードっていうアイデアを思い付いた面はあるんですけど、実際に曲作りする段階になったら提案があろうとなかろうとそんなに変わりはなかったですね。いつも通り悩んだし。さっきのどうしても曲が似通うっていう話じゃないけど「またこんな感じになっちゃった」みたいなことの繰り返し。自分が最初にイメージしていた、みんなで合唱するのが似合う明るいバラードに辿り着くまでにはかなり時間がかかりましたね。

──それでもこの「wish」のサウンドに辿り着けたきっかけって?

e-ZUKA 「追憶の輪郭」のボーカル録りに立ち会ったときにKISHOWに「なんかお題ちょうだいよ」っつったら「冬の歌とかいいんじゃないの」って返ってきて。それで「なるほど、冬の歌か」ってことで改めて作り始めたら、思いっきり冬っぽい、この曲ができあがっちゃってました(笑)。

──「wish」のメロディとアレンジってそこが面白かったんです。確かに冬の風景が思い浮かぶんだけど、寒さや寂しさは感じない。e-ZUKAさんが意図した通り、みんなで高らかに歌い上げたくなるような明るさ、楽しさをたたえていて。

e-ZUKA テクニカルな話の上に、ネタバレをしちゃうとですね、I度メジャーをクリシェ(同じコードを連続して弾くとき、その構成音のうち1音だけ順に上昇または下降させるコード進行)させて、その次にII度マイナーをクリシェさせるっていうコード進行を使うと、どうしようもないほどクリスマス感が出るんですよ(笑)。

KISHOW 年が明けてから発売されたシングルの曲なのに(笑)。でもデモを聴いたとき確かに「あっ、冬だ」とは思いました。

GRANRODEOの考えるシングルのあるべき姿

──で、KISHOWさんもe-ZUKAさんに負けじとテクニックを見せつけていますよね。ある女の子と、その子から「字はヘタだとかさんざん言われて 癪にさわったから左手で」字を書く男の子という、すごくかわいらしい恋愛をしている2人を照らす「街中のイルミネーション達は 祝福ムードを持て余してる」って、どんだけハッピーなんだよ!って話を始めている。

KISHOW さっきまで「追憶の輪郭があやふやだ」とか言ってた人間が、ね(笑)。これは完全にあれですね、多重人格。

──あはははは(笑)。

KISHOW さっきの話じゃないんだけど、やっぱり大将の書いた曲とギターがあって、オレの詞と声があればGRANRODEOになるから、とは思っていて。そのGRANRODEOっていうものを守れてさえいるなら、表現の幅は広いほうがオレたち自身面白いし、聴いてくれる人も面白いんじゃないですかね。さっきオレも大将も「アルバムには統一感が欲しかった」って話をしたけど、シングルはたぶんその逆。意図的にそうしているわけじゃないんだけど、表題曲とカップリングとのコントラストを付けるのがなんか好きなんでしょうね。特に「Can Do」をリリースした頃(2012年)から、ウチらに限らず、いろんなアーティストがシングルを3曲構成にするようになっていて。思い返してみると、その頃からは特にシングルの収録曲それぞれのコントラストを強くするようになった気がするし、今回もなかなかの振り幅になったなと思ってますから。

e-ZUKA ハードな楽曲を作る2人だと思われてるはずなんだけど、今回はそういうメタルっぽい曲が実は入ってないですしね。

KISHOW 意外と器用なんですよ、GRANRODEOって(笑)。

ニューシングル「Punky Funky Love」 / 2015年1月28日発売 / Lantis
初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-34298
通常盤 [CD] 1404円 / LACM-14298
アニメ盤 [CD] 1404円 / LACM-14299
CD収録曲
  1. Punky Funky Love
  2. 追憶の輪郭
  3. wish
  4. Punky Funky Love(OFF VOCAL)
  5. 追憶の輪郭(OFF VOCAL)
  6. wish(OFF VOCAL)
初回限定盤DVD収録曲
  1. Punky Funky Love(Music Clip)
LIVE TOUR 2015 カルマとラビリンス
  • 2015年2月15日(日)
    大阪府 大阪城ホール
  • 2015年3月8日(日)
    北海道 Zepp Sapporo
  • 2015年3月15日(日)
    福岡県 福岡サンパレス コンサートホール
  • 2015年3月21日(土・祝)
    埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2015年3月22日(日)
    埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2015年3月29日(日)
    宮城県 イズミティ21 大ホール
  • 2015年4月3日(金)
    香川県 サンポートホール高松 大ホール
  • 2015年4月5日(日)
    岡山県 倉敷市芸文館
  • 2015年4月29日(水・祝)
    山口県 山口市民会館(追加公演)
  • 2015年5月5日(火・祝)
    新潟県 長岡市立劇場(追加公演)

※終了分は割愛しています。

GRANRODEO(グランロデオ)

ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマにして、ユニットの1stシングル「Go For It!」のリリース直後から、声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行する一方で「Animelo Summer Live」などの大型フェスでヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリースし、翌2015年1月にはテレビアニメ「黒子のバスケ」のオープニングテーマにして22枚目のシングル「Punky Funky Love」を発表している。また2月からは全国ツアー「カルマとラビリンス」を開催。