音楽ナタリー PowerPush - GRANRODEO
KISHOWとe-ZUKAの考える 「黒子のバスケ」の関係
アニメのテーマソングの正解とは?
──先ほどKISHOWさんは「黒子のバスケ」が学園モノのバスケットボールマンガであることを意識して詞を書いていると言っていましたけど、e-ZUKAさんは作曲のときアニメの舞台やテーマをどの程度意識するものなんですか?
e-ZUKA たぶんKISHOWほどは意識してないと思いますよ。「『黒子のバスケ』はこういうお話ですよ」っていう大枠はさすがに意識するけど「第3期はこういう感じで物語が進みます」みたいなことはほぼ念頭に置いてないですし。
──それはなぜ?
e-ZUKA 僕が書くのは曲であって詞ではないからでしょうね。作詞家であるKISHOWは具体的な言葉で「黒子のバスケ」を語ることになるから、ストーリーにも気を配るんだと思うんですよ。でも音やメロディって何かを具体的に語るものではないから。作曲家である僕はあくまで大枠を捉えておけばいいのかなっていう気がしてるんです。もちろん物語を意識して曲を書く方、しかも素晴らしい曲を書く方もいるんですよ。例えば(NHK連続テレビ小説)「マッサン」の中島みゆきさんなんかはそうですよね。「麦の唄」って「マッサン」の物語のことを詳しく知らないと絶対に書けない曲だと思いますし。でも僕はむしろストーリーからちょっと距離を置いた楽曲、ちょっと意外性のある楽曲のほうが面白がってくれるんじゃないか? 聴く人がいろいろ想像を巡らせられるんじゃないか?と思ってるんですよね。
──だから「黒子のバスケ」にハマる1曲ながらも、遊び放題遊んでるように聞こえる、と。
e-ZUKA そうなんでしょうね。まあもっとちゃんとアニメのことを意識できてたら、2人とももっと売れてたし、もっといろんな仕事をもらえてたような気もするんですけどね。
KISHOW でも自覚的に意識することができない(笑)。「アニメのテーマソングとはこういうものだ!」みたいな正解ってホントにわかってないんですよ。当たり前だけど、オープニングテーマやエンディングテーマって89秒のアニメ映像と一緒に流れるものだから。逆にアニメのスタッフが曲に合う画を描いてくれれば、ハマるオープニング映像が完成するはずですし。例えばこの間のアルバム(「カルマとラビリンス」)の「ボルケーノ」に対して「黒子のバスケ」のスタッフが画を付けてくれれば、それはそれで似合いそうな気もするし。
e-ZUKA 実際、MAD動画みたいな世界もあるわけだし。全然関係のない音と画を組み合わせてみたら意外と似合った上に、面白くなったみたいなことってあるわけじゃないですか。
第三者委員会がいるから成り立つGRANRODEO
──その「曲が映像に乗る」っていうことを意識することは?
e-ZUKA それは意識しますね。「ダダンッ!って感じのブレイクを入れたら一瞬画を止めてタメを作ってから動き出す、みたいな映像が乗るんじゃないか」とか「ジャッ! ジャッ! ジャッ! ジャッ!って感じのキメに合わせて画が切り替わったらカッコいいよな」みたいなことを想像しながら曲を作るのは好きですし。そういう作り方はしているから、ちゃんとアニメにハマるっていうのはあるのかもしれないですね。で、本来そういうことばっかり考えてると全部同じようなアレンジになっちゃうはずなんですけど、ウチには強力な第三者委員会がいますから。
──第三者委員会?
e-ZUKA 平たく言うとプロデューサーなんですけどね。映像のことばっかり意識して曲を作ると、その第三者委員会から「そのアレンジ、前の曲と同じ感じですよね?」って容赦なくボツにされる、と(笑)。
──前回のインタビュー(参照:GRANRODEO「カルマとラビリンス」インタビュー)でもおっしゃってましたけど、お2人とも第三者委員会の言葉にホントに素直に耳を傾けますよね。
e-ZUKA 第三者委員会がいてくれるからGRANRODEOっていうものが成り立ってるわけですから。2人だけだったら何もできないと思いますし。
──作詞家でありボーカリストがいて、作曲家・編曲家でありギタリストがいるわけだから曲は作れるし、ライブもできますよね?
e-ZUKA いやいやいや。2人だけでスタジオに入ってくださいとか、2人で地方にライブに行ってくださいとか、そんなの絶対ムリですよ。
──それはなぜ?
e-ZUKA 2人きりなんて恥ずかしくてしょうがないし……。
KISHOW せめてあと2人は同行してくれないと……。
──あはははは(笑)。
e-ZUKA もちろん「職業ユニット」なんてドライすぎる関係ではないし、仲が悪いわけでもないんだけど、学生時代の友達だった2人が組んだっていうユニットでもないですから。お互い今の仕事をしているプロとして出会って、メジャーでCDをリリースすることを前提に活動を始めたわけだから。
──そういうプロ集団だからこそ、2人だけで自己満足的に活動を完結させるわけではない。第三者委員会の言葉に耳を傾ける、と。
e-ZUKA そうですね。それにGRANRODEOって曲を書くのが自分1人ですから。……もう何曲くらい作ってるんだろう?
KISHOW 3桁いってるかな。
e-ZUKA 100曲以上か。それだけ書いてるとやっぱり曲が似通うことは起こりうるわけですし。今回「Punky Funky Love」みたいな曲を作れたように、いろんなバリエーションの曲を書けているのには第三者委員会のスパルタ指導のおかげもあるんですよ(笑)。
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- ニューシングル「Punky Funky Love」 / 2015年1月28日発売 / Lantis
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-34298
- 通常盤 [CD] 1404円 / LACM-14298
- アニメ盤 [CD] 1404円 / LACM-14299
CD収録曲
- Punky Funky Love
- 追憶の輪郭
- wish
- Punky Funky Love(OFF VOCAL)
- 追憶の輪郭(OFF VOCAL)
- wish(OFF VOCAL)
初回限定盤DVD収録曲
- Punky Funky Love(Music Clip)
LIVE TOUR 2015 カルマとラビリンス
- 2015年2月15日(日)
大阪府 大阪城ホール - 2015年3月8日(日)
北海道 Zepp Sapporo - 2015年3月15日(日)
福岡県 福岡サンパレス コンサートホール - 2015年3月21日(土・祝)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ - 2015年3月22日(日)
埼玉県 さいたまスーパーアリーナ - 2015年3月29日(日)
宮城県 イズミティ21 大ホール - 2015年4月3日(金)
香川県 サンポートホール高松 大ホール - 2015年4月5日(日)
岡山県 倉敷市芸文館 - 2015年4月29日(水・祝)
山口県 山口市民会館(追加公演) - 2015年5月5日(火・祝)
新潟県 長岡市立劇場(追加公演)
※終了分は割愛しています。
GRANRODEO(グランロデオ)
ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマにして、ユニットの1stシングル「Go For It!」のリリース直後から、声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行する一方で「Animelo Summer Live」などの大型フェスでヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリースし、翌2015年1月にはテレビアニメ「黒子のバスケ」のオープニングテーマにして22枚目のシングル「Punky Funky Love」を発表している。また2月からは全国ツアー「カルマとラビリンス」を開催。