音楽ナタリー PowerPush - GRANRODEO
KISHOWとe-ZUKAが誘う リアルとファンタジーの狭間
完璧なラストナンバーに“なっちゃった”
──e-ZUKAさん言うところの「新しいチャレンジ」って?
e-ZUKA 例えば「Blue Pandora Box」や「silence」であれば、普段ドラマやアニメの劇伴を作っている加藤達也さんっていう方にアディショナルのプログラミングをお願いしていて。いろんな効果音を作っていただいたり、パーカッションのループのブラッシュアップをしてもらったりしているんですけど、そういう「僕だったらこういう音は使わない」っていう音を加えていただいたことも、今までとは違うテイストの曲になった理由の1つだと思いますし。「DAWN GATE」も、シングルバージョンと同じようにベースのスラップからイントロを始めるのは面白くないから、弦にDメロの進行を弾いてもらってイントロダクションを作ってみたりしてますし。そうしたら「Blue Pandora Box」や「silence」に負けないくらい、やたら大げさな感じになっちゃって……。
KISHOW 「なっちゃって」(笑)。
e-ZUKA でも「なっちゃった」おかげでバッチリ、キマったな、と。「これは誰が聴いてもアルバムのエンディングを飾る曲だろう」っていう感じに“なっちゃいました”し(笑)。
──ところで制作ってスムーズでした?
e-ZUKA KISHOWの詞は早かったですけど、僕の曲が……。当初の予定はどうだったんだっけな? ツアーが5月に始まるから、4月中にリード曲の候補をいくつかあげておいて、ツアー中にリード曲の選定をして、6月にレコーディングとPVの撮影をしましょう、なんて言われてたわけですよ。で、実際にPVを撮ったのいつだっけ?
KISHOW 8月。
──あはははは(笑)。
e-ZUKA 曲を録ったのも7月後半ですし。というかムチャなスケジュールだったんですよ。曲作りを始める前、自分の手帳を見ながら、空いてる日にちを数えてみたんですけど……。
KISHOW 計算が合ってなかったよね(笑)。
e-ZUKA アレンジに1日かかって、楽器とボーカルの録りにもそれぞれ1日ずつかかって、ダビングにも1日だろ? ということは1曲あたり4日か、って感じで手帳に予定を埋めていったら日にちが全然足りなくて(笑)。「ハナから新曲を5曲も録れねえことになってんじゃん」ってスケジュールの中、なんとか間に合わせ。その曲作りのスケジュールって、5月からのツアーの日程がかぶってたから、あの頃はライブのある日がホントに楽しみで楽しみで。
──曲作りのことを考えなくていいから(笑)。
e-ZUKA めちゃくちゃハシャいでました。で、東京に帰ってきてからはずっとイライラしっぱなし(笑)。
歌詞、清書しないですもん
──KISHOWさんの作詞がスムーズだったのは「今回特に」って感じだったんですか?
KISHOW いや、基本的に作詞は早いと思いますね。もちろんそれなりに苦労はするんですけど、こういうのはサッと書いちゃったほうがいいと思ってるので。今回の話をするなら、特に「ボルケーノ」とかはノリで書くべきだと思ってたし、実際ノリでいけましたし。
──「バラバラビブンセキブンイレブン」「Oh! ボルケーノ やったるけえの」「オーソレミーヨ それでいいよ」と、ものすごく細かく韻を踏んでいる。すごくテクニカルに作ってるのかと思ってました。それか普段から思いついた韻を細かくメモってたりするのかな、って。
KISHOW いやいやいや! 僕、書いた歌詞、清書しないですもん(笑)。(紙にペンを走らせ終えた瞬間、その紙を誰かに渡す動作をしながら)「よしできたー!」「はいっ!」ってだけですから。「ボルケーノ」はホントに僕の中にあるものを出しただけって感じですね。
──そして「僕のザーメン」っていうフレーズまで“出て”しまった(笑)。
KISHOW しょうがないんですよ(笑)。そういうことを書いちゃうのは、もともと僕の中にある、絶対に消せない気質だから。
デヴィッド・リンチみたいなことできねえかな?
──その一方で「強がる皮膚の温度が現実味を増していった 戯れる光と闇の中 ただ増していった」と、抽象性が高い上に、すごくシリアスな「Blue Pandora Box」の詞も書いています。これも特に難渋することは……。
KISHOW なかったですね。さっき「なんとなく」とは言ったんですけど「カルマとラビリンス」には「現実と夢」みたいな意味を込めていて。カルマが仏教用語でいう人間の業。まさに現実で、ラビリンス、迷宮はどこか夢うつつのもの。その2つが並び立っている状態を音や言葉にしてみたかったので。デヴィッド・リンチがすごく好きなんですけど、あの人の映画みたいなことができねえかな?って思ってたというか。
──あっ、リンチお好きなんですね。とかく難解な映像作家なんて呼ばれがちですけど。
KISHOW そのくせあの人、リップサービスで「スピルバーグがうらやましい」「みんなに自分の作品の意味をわかってもらえて」とか言うでしょ(笑)。
──でも、そうやって自ら認めるくらい難解な作風だから好き嫌い以前に、理解できる / 理解できないがはっきり分かれる。観る側の解釈する力を問う作家だよなっていう気がします。
KISHOW でもきっとどう解釈しても、それは正解であり、不正解でもあると思うんですよ。だから自分なりの答えを好きなように見出すこともできる。そこが好きなんですよね。「というわけで『カルマとラビリンス』はデヴィッド・リンチっぽいアルバムになりました」なんてことはおこがましくて言えないけど、それでも「Blue Pandora Box」、要はパンドラの箱を開けたら、「DAWN GATE」という“夜明けの門”が待っていた。そういう現実と夢が混ざり合う展開、ある意味、オレの解釈するリンチ的なものを作れたかなとは思ってます。「DAWN GATE」は去年のシングルの収録曲だから詞も当然去年のもので、「Blue Pandora Box」の詞は今年書いたもの。で「DAWN GATE」に寄せて書いたわけじゃないんだけど、その2曲がちゃんと対になってくれている気がしますし。
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- ニューアルバム「カルマとラビリンス」2014年9月24日発売 / Lantis
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / LACA-35430 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3240円 / LACA-15430 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- Blue Pandora Box
- silence(「musicるTV」9月度オープニングテーマ)
- 変幻自在のマジカルスター(「黒子のバスケ」第2期新OP主題歌)
- ボルケーノ
- DARK SHAME(「CODE:BREAKER」OP主題歌)
- baby bad boy(PS3用ゲームソフト「スーパーロボット大戦OG INFINITE BATTLE」OP主題歌)
- The Other self(「黒子のバスケ」第2期OP主題歌)
- 桜色第2ボタン
- 偏愛の輪舞曲(「カーニヴァル」OP主題歌)
- 絶頂ポイズン
- Pink Phantom
- wonder color
- DAWN GATE
初回限定盤 DVD収録内容
- カルマとラビリンス(Music Clip)
- OPENING ※
- 欲望∞ ※
- メリーゴーランド ※
- NO PLACE LIKE A STAGE ※
- OPENING ※※
- SUPERNOVA ※※
- Y・W・F ※※
- メズマライズ ※※
※:GRANRODEO LIVE TOUR 2014 MAGICAL RODEO TOUR@Zepp Tokyo 2014.6.28 男子限定ライブ
※※:GRANRODEO LIVE TOUR 2014 MAGICAL RODEO TOUR@Zepp Tokyo 2014.6.29 女子限定ライブ
- ライブBlu-ray / DVD「GRANRODEO LIVE 2014 G9 ROCK☆SHOW」2014年10月22日発売 / Lantis
- 「GRANRODEO LIVE 2014 G9 ROCK☆SHOW」
- Blu-ray3枚組 / 12744円 / LABX-8081~3 / Amazon.co.jp
- DVD3枚組 / 10584円 / LABM-7156~8 / Amazon.co.jp
DISC1
- G9 ROCK☆SHOWさいたまスーパーアリーナ公演
DISC2
- G9 ROCK☆SHOW大阪城ホール公演
DISC3
- 「MAGICAL RODEO TOUR」メイキング映像
- 「MAGICAL RODEO TOUR」ツアーファイナルZepp Tokyo公演ダイジェスト
GRANRODEO(グランロデオ)
KISHOW(谷山紀章)とe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマにして、ユニットの1stシングル「Go For It!」のリリース直後から、声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行する一方で「Animelo Summer Live」などの大型フェスでヘッドライナークラスのポジションを確立する。そして2014年9月、6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリース。なおメンバーをモデルにした初のオリジナルアニメ「ぐらP&ろで夫」の放送も決定。10月よりBSフジ「ロデオ倶楽部~season II」内でオンエアされる。またランティスYouTubeアカウントでも配信予定。