音楽ナタリー PowerPush - GRANRODEO
KISHOWとe-ZUKAが誘う リアルとファンタジーの狭間
タイトル先行のアルバムメイキング
──その「アーティスト気質はない!」発言なんですけど、実はけっこう眉にツバして聞いているというか。というのも「カルマとラビリンス」は、「鍵は何処へ?」と連呼する「Blue Pandora Box」から始まって、10分弱の大作である「DAWN GATE」=夜明けの“門”で終わっている。本当にアーティスティックに仕組まれた、コンセプチュアルなアルバムだと思っているので。
e-ZUKA 本当はそういうふうにアルバムを作るべきだとは思うんですけどねえ……。
KISHOW 「今回のアルバムは、これこれこういうコンセプトで作った1枚なんで」みたいなことをきちんと語れるアーティスト気質も持ち合わせないんですよ、これが(笑)。ただ確かに今回のアルバムはこれまでのとはちょっと違う。何か一貫したものがあるんだとは思ってます。
──やっぱり「思ってます」っていう感じなんですね。
e-ZUKA 本当に偶然というか、アルバムを作ってるうちにだんだん全体像、それも今までのアルバムとはまた違う姿が見えてきたって感じなんですよね。作り方自体、まず最初にアルバムタイトルを決めるってやり方でしたし。
KISHOW たぶんその後のプロモーションがやりやすくなるからなんでしょうけど、アルバム用の曲なんて1曲もできてないのに、周りの大人たちから「まずアルバムタイトルを決めろ」って言われたので。ちゃんと期日を守りつつ「じゃあ『カルマとラビリンス』でお願いします!」ってタイトルを提出しました(笑)。
e-ZUKA たぶんあれだよね? 店舗での予約カードを目立たせるために、とりあえずアルバムタイトルを決めるんだよね。前作の「CRACK STAR FLASH」のときもそうだったんだけど。
──「GRANRODEO『ニューアルバム』(タイトル未定)」よりも「GRANRODEO『カルマとラビリンス』」のほうが目を惹くから(笑)。
e-ZUKA 「(仮)」よりカッコがつきますからね(笑)。まあそれは半分冗談なんですけど、アルバムタイトルが先だったのは事実なのでリード曲を作るときは、そのタイトルからイメージを膨らませるんですよ。「CRACK~」なら「8ビートでダダダダダッって感じのロックンロールだろう」っていう感じで。
既存曲が呼んだアルバムタイトル
──実際「CRACK STAR FLASH」ってフレーズがよく似合う、威勢のいいロックンロールナンバーでしたよね。
e-ZUKA ただ「カルマとラビリンス」については「ん?」ってなっちゃって。「カルマ? BUMP OF CHICKENかな?」「でもラビリンスはちょっとV系っぽいな」って(笑)。
KISHOW タイトルを決める前から「今度のアルバムには、この2年のシングルの収録曲のうち、これとこれとこれを収録しましょう」っていう話をしていたんですけど、その曲名を並べてみたら浮き世離れしたイメージ、ファンタジックなイメージがあって。例えば「変幻自在のマジカルスター」の“変幻自在”とか“マジカル”であったり、「偏愛の輪舞曲」の“輪舞曲”であったり。既存曲にはそういうフレーズが多かった。「絶頂ポイズン」については、最初「毒入りラビリンス」っていうタイトルにしようか?って話もあったくらいですし。そういうイメージがあったから「カルマとラビリンス」というタイトルを思い付き……。だから「アルバムタイトルの意味はなんですか?」って聞かれて一番困るのは僕なんですけどね。(小声で)「……いや、なんとなく」としか答えられないから(笑)。
──そしてe-ZUKAさんも困ってしまった(笑)。
e-ZUKA なので「アルバムタイトルのことはさておいて、とにかくどんどん曲を作っていこう」っていうことで作りたい曲をバンバン作っていったんですよね。で、その曲の中にあった1曲が「Blue Pandora Box」で。リズム&ブルース系のヒップホップのテイストとQueenの「We Will Rock You」のテイストをミックスしてみようっていう感じで作った曲なんですけど、作っているときから「これは絶対1曲目だな」と思っていて。でも「じゃあこの曲が『カルマとラビリンス』っていうタイトルの曲なのか?」っていわれるとそうではない。なので組曲ってわけじゃないんだけど、この曲のあとにメタルナンバーをくっつけて、その2曲を「カルマとラビリンス」っていう位置付けにしてみたんです。
2曲で1曲のリードトラック
──じゃあe-ZUKAさんの思惑にまんまとハメられました(笑)。ミディアムテンポのビートに乗せてKISHOWさんが煽りまくる「Blue Pandora Box」が終わった刹那「silence」の高速ギターリフが流れてきたとき、すごくアガりましたから。
e-ZUKA あれは2曲で1曲なので、あの展開にハマってくれるとうれしいですよね。
──ただ、その2曲はあくまで「『カルマとラビリンス』という位置付けの2曲」であって、表題曲ではないんですね。「silence」の詞の中に「カルマとラビリンス」というフレーズは出てくるけど。
KISHOW 僕は最初、2曲まとめて「カルマとラビリンス」っていうタイトルにしようと思ったんですけど、それだとCDのジャケットやレーベル、それから配信のトラックリストのクレジットのしかたが難しいってことだったので。でも1曲目が「カルマ」で2曲目が「ラビリンス」だと……。
──正直「安直だなあ」と思ったと思います(笑)。
KISHOW 「KISHOWちゃーん、まんまやっちゃったよ」みたいなね(笑)。そう思われるのは非常にシャクだったので「Blue Pandora Box」と「silence」にしてみました。
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- ニューアルバム「カルマとラビリンス」2014年9月24日発売 / Lantis
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / LACA-35430 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3240円 / LACA-15430 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- Blue Pandora Box
- silence(「musicるTV」9月度オープニングテーマ)
- 変幻自在のマジカルスター(「黒子のバスケ」第2期新OP主題歌)
- ボルケーノ
- DARK SHAME(「CODE:BREAKER」OP主題歌)
- baby bad boy(PS3用ゲームソフト「スーパーロボット大戦OG INFINITE BATTLE」OP主題歌)
- The Other self(「黒子のバスケ」第2期OP主題歌)
- 桜色第2ボタン
- 偏愛の輪舞曲(「カーニヴァル」OP主題歌)
- 絶頂ポイズン
- Pink Phantom
- wonder color
- DAWN GATE
初回限定盤 DVD収録内容
- カルマとラビリンス(Music Clip)
- OPENING ※
- 欲望∞ ※
- メリーゴーランド ※
- NO PLACE LIKE A STAGE ※
- OPENING ※※
- SUPERNOVA ※※
- Y・W・F ※※
- メズマライズ ※※
※:GRANRODEO LIVE TOUR 2014 MAGICAL RODEO TOUR@Zepp Tokyo 2014.6.28 男子限定ライブ
※※:GRANRODEO LIVE TOUR 2014 MAGICAL RODEO TOUR@Zepp Tokyo 2014.6.29 女子限定ライブ
- ライブBlu-ray / DVD「GRANRODEO LIVE 2014 G9 ROCK☆SHOW」2014年10月22日発売 / Lantis
- 「GRANRODEO LIVE 2014 G9 ROCK☆SHOW」
- Blu-ray3枚組 / 12744円 / LABX-8081~3 / Amazon.co.jp
- DVD3枚組 / 10584円 / LABM-7156~8 / Amazon.co.jp
DISC1
- G9 ROCK☆SHOWさいたまスーパーアリーナ公演
DISC2
- G9 ROCK☆SHOW大阪城ホール公演
DISC3
- 「MAGICAL RODEO TOUR」メイキング映像
- 「MAGICAL RODEO TOUR」ツアーファイナルZepp Tokyo公演ダイジェスト
GRANRODEO(グランロデオ)
KISHOW(谷山紀章)とe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマにして、ユニットの1stシングル「Go For It!」のリリース直後から、声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行する一方で「Animelo Summer Live」などの大型フェスでヘッドライナークラスのポジションを確立する。そして2014年9月、6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリース。なおメンバーをモデルにした初のオリジナルアニメ「ぐらP&ろで夫」の放送も決定。10月よりBSフジ「ロデオ倶楽部~season II」内でオンエアされる。またランティスYouTubeアカウントでも配信予定。