音楽ナタリー Power Push - Goodbye holiday×寺岡呼人
メジャーデビュー飾る“アンセム”制作の裏側
広島出身の正統派“歌モノ”バンドGoodbye holidayがシングル「革命アカツキ」でついにメジャーデビューを果たす。寺岡呼人のプロデュースによるこの曲はドラマチックなイントロから始まるアッパーチューン。切ない雰囲気のメロディ、「賛美や非難のため生きているんじゃない / 鐘を鳴らして行け」という前向きな歌詞を含め、Goobye holidayの新たなアンセムと呼ぶべき楽曲に仕上がっている。
今回はGoodbye holidayのメンバーと寺岡の対談を企画。両者の出会いから「革命アカツキ」の制作秘話、メジャーデビュー後の展開などについて語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 関口佳代
音源とライブの印象はかなり違いました
──歌を中心とした音楽を志向しているGoodbye holidayと、歌詞に重きを置いたプロデュースワークで知られる寺岡さんの相性は本当にピッタリだと思います。まずは寺岡さんとメンバーの出会いから教えてもらえますか?
寺岡呼人 最初にライブを観に行ったんですよ。(東京・TSUTAYA)O-WESTだったよね。
山崎晃平(Dr) はい。2月の「MUSIC MONSTERS」というイベントなんですけど(参照:渋谷「MUSIC MONSTERS」最終発表にボールズ、ハウル、LFAJら6組)、そこにいきなり来てくれて。
寺岡 30分くらいのライブだったんですけどね。そのときは挨拶したくらい?
福山匠(B) そうですね。
──そのときのGoodbye holidayの印象はどうでした?
寺岡 その前に音源を聴かせてもらっていたんですが、ライブの印象はかなり違いましたね。音源ではしっかり形になっていて、それはそれでいいんだけど、ライブだともっといろいろなものを出そうとしてるんだなって。あと「まだまだ名前を知られてないんだろうな」と思ってたんだけど、意外とお客さんが多かったんですよ。男のお客さんもけっこういたし、人気なんだなって。
一同 ハハハハハ(笑)。
寺岡 児玉くんはけっこう寡黙な感じなんだけど、歌うと存在感があって。MCも印象的だったというか、ボーカルよりもベースがしゃべるバンドってあんまりいないなって思いました(笑)。それがまた、くだらないMCだったんですよ。
福山 ライブとは関係ない話をしてますからね。あまりにもしょうもなくて、自分も覚えてないくらいなんで(笑)。僕らのお客さんはライブに慣れてない子もすごく多いから、和ませる意味でやってるんですよ。ライブが終わったあと、スタッフさんから「寺岡さんがMCでクスクス笑ってたよ」って聞いたから「あ、大丈夫だな」と思いました(笑)。
──しかも同じ広島県出身ですからね。
寺岡 広島は横に長くて、(お互いの地元は)端と端なんですよ。僕は岡山との県境に近くて、こっち(Goodbye holidayのメンバー)は山口寄りなので。
山崎 距離的には埼玉と神奈川くらい離れてるから、同郷とは言えないですね(笑)。しゃべり方も違いますし。
児玉一真(Vo, G) 僕はおばあちゃんの家が福山市だったから、ときどきそっちのほうにも遊びに行ってましたけどね。
アンセムソングにしたかった
──メジャーデビューシングルの「革命アカツキ」ついて聞きたいと思います。制作はどんなふうに進められたんですか?
福山 まずは自分たちで作ったデモを寺岡さんに聴いてもらったんです。
寺岡 そのデモが「これでいいんじゃないの?」と思うくらいカッコよかったんですよね、演奏も含めて。ただ「もし(リスナーがアーティストに対して)真っ白な状態で聴いたとしたら、取っ掛かりになるようなものがあったらいいな」と思って、少し変えさせてもらって。
大森皓(G) イントロを付けてくださったんですよね。メンバーもすぐにそのイントロを口ずさむようになって、まさに取っ掛かりができたというか。すごくよくなったと思います。
児玉 たぶん大森からは出てこないフレーズだし、お客さんからも「イントロカッコいい」って言われることがあって。
山崎 対バン相手のギタリストが「革命アカツキ」のイントロを弾いたりもするんですよ。それくらい印象的というか、弾きたくなるようなフレーズなんですよね。
寺岡 やっぱりな(笑)。メジャーデビューの曲だし、タイトルに“革命”という言葉も入っているから、アンセムソングにしたかったんですよ。イントロだけで「あ、あの曲だね」ってわかるような。このイントロのフレーズはカッコよさもありつつ、ともすれば童謡っぽいメロディでもあるんだけど、そのバランスがいいのかなと。でも、それ以外はほとんど変えてないんですよ。僕もバンド(JUN SKY WALKER(S))をやってたからわかるんですけど、人(プロデューサー)が入るってけっこう難しいところもあるんですよ。男と女じゃないですけど、相性みたいなものがあるんですよね。僕も「こんなアレンジにするんじゃねえ!」って思うこともあったし、「このアレンジ、すごくいい」というときもあったし。それは理屈じゃないところもあるんですよね。
福山 なるほど。
寺岡 僕らはプロデューサーとして関わったときも、うまくいくこともあれば、いかないときもあって。そこで気を遣ってもしょうがないから、まずは自分の思ったことをやるだけなんです。
山崎 サウンドプロデューサーの方やアレンジャーの方と一緒にやったこともあるので、慣れてる部分もあるんですけどね。人が入るのがイヤだなという感じはなくて。
寺岡 でも、家に帰って飲んでるときに「クソ!」とか思ってるんじゃないの?(笑)
山崎 いやいやいや(笑)。
次のページ » “忘れてしまいたい”と思う経験も糧にして前向きに
収録曲
- 革命アカツキ
- サイダー
- 世界が終わる朝は
- Goodbye holidayワンマンツアー
- 2015年10月29日(木)北海道 COLONY
- 2015年11月1日(日)宮城県 enn 2nd
- 2015年11月5日(木)愛知県 ell.FITS ALL
- 2015年11月6日(金)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
- 2015年11月8日(日)東京都 TSUTAYA O-WEST
- 2015年11月12日(木)福岡県 graf
- 2015年11月13日(金)広島県 ナミキジャンクション
(※10月1日よりSECOND CRUTCHに名称変更)
Goodbye holiday(グッバイホリデイ)
児玉一真(Vo, G)、大森皓(G)、福山匠(B)、山崎晃平(Dr)からなる4人組バンド。2008年に広島で結成。2011年に東京に拠点を移し現在のメンバーとなる。ポップで耳触りのいいメロディ、独特な視点を持った歌詞、存在感のある歌声で着実にファンを増やし、2013年1月に初の全国流通盤「ソラリス」、同年10月に「はじまりの唄」をリリース。2014年8月には島田昌典がプロデュースした「スパイダー」を含む3rdミニアルバム「FLAG」を発表した。2015年7月、歌詞サイトで注目度ランキング1位を獲得したシングル「革命アカツキ」でエイベックスからメジャーデビュー。表題曲のプロデュースは寺岡呼人が務め、TBS系「CDTV」6月度エンディングテーマに使用された。
寺岡呼人(テラオカヨヒト)
1968年生まれ、広島県出身。1988~93年にJUN SKY WAKER(S)のベーシスト兼コンポーザーとして活躍。バンド脱退後はソロでの活動を展開するとともに、他アーティストのプロデュースも行い、これまでゆず、矢野真紀、ミドリカワ書房、植村花菜、グッドモーニングアメリカらのプロデュースを手がけている。2001年より、自身が尊敬するアーティストや親交あるアーティストをゲストに迎えコラボレーションを行うイベント「Golden Circle」を不定期に開催。2014年9月には通算14枚目となるオリジナルアルバム「Baton」をリリースした。