バンドの美しさとは?
──2023年にフォーリミは結成15周年、バニラズはCDデビュー10周年を迎えました。10年以上バンドを続ける中で、お互い大変な時期もあったと思いますが、続けてこられた理由や要因はどこにあったと思いますか。
KOUHEI 大義名分とかないよね? 単純にやりたいことをやってるだけで、誰かにやらされてるわけでもないし。
セイヤ でもメンバー同士でちゃんと言い合えることは大事かな。納得いくまで話し合う。ケンカするのがいいわけじゃないけど、意見の食い違いとかが、すごいズレにつながるんですよね、バンドって。ちゃんと見てる方向を一緒にせんと続けれんというか。
KOUHEI バニラズって仲いいよね。確か水戸と千葉で対バンしたとき(2019年12月10日、11日に開催された「カントーロード vol.13 ~水戸ライトハウス&千葉LOOK30周年SPECIAL_8~」)、水戸の日が牧の誕生日で。みんなで誕生日プレゼントを渡してるんすよ(笑)。
セイヤ ははははは。なんかもう恒例化してるんですよ。
KOUHEI いや偉いよ、本当に。俺なんて、GENから「これ誕生日プレゼント」って「ひもQ」もらって、グミ大好きだからヤッターと思って開けたら、中に縄跳び入ってたからね。
セイヤ ははははは!
KOUHEI 俺らはそんなもんなのに、バニラズは「これたぶん好きだと思うから」ってプレゼントを渡してる(笑)。でも翌日、会場入りしたら、リハ中にプリティが「これじゃ聴こえないから!」と怒ってるんですよ。それをほかの3人が「大丈夫だよ、そんな怒んなくて」って冷静に対処してて(笑)。コイツらやっぱり仲いいな、って。
セイヤ 言い合いになることも多いんですよ。ケンカみたいになることもあるけど、それをしないとバンドって無理だと思うんです。
KOUHEI どういうケンカ? うちも、俺とGENでよくあるけど。
セイヤ いいライブをしたいとか、いい音源を録りたいとか、ゴールは一緒なんですよ。ただ、そこに行くまでの道がちょっとズレててぶつかる。こっちの行き方のほうがいいだろ!みたいな。でもちゃんと話していったら「行き先一緒やん」ってわかるから、そこで和解するんですけど。
KOUHEI なるほどね。俺らはどっちかと言うと、折れるほうが多いかな。例えばGENが右がよくても、ほかの3人が左がいいと言ったら、「3人が言うなら、そうしようか」ってなることが多い。
セイヤ 多数決なんだ。
KOUHEI そうそう。自分が選択したゴールではない感じもするけど、「ま、そっちに行きたいんだったら、ついていくよ」という感覚。でも折れることって勝ち負けじゃないし、その折れる選択を毎回同じ人がしないことが、長く続けられる秘訣なのかも。
セイヤ そうっすね。全部正解っちゃ正解なんでしょうし。
KOUHEI ぶっちゃけ正解ってないじゃん。選んだことを正解にしていくのがバンドだから。メンバー4人いて、全員同じ人格ではないから、ぶつかるのは当然。
セイヤ そのバラバラな人たちが同じ音楽をやる美しさがバンドにはあるんですよね。
KOUHEI そうなんよ。GENと俺って性格は真逆なの。俺は道筋を立てて、その通りに進めたいタイプ。でもGENは「これが決まっていれば、なんとかなるでしょ」っていうタイプ。そうなると、熱量とか考え方にズレが生じるときもあるんだけど、一緒に音を奏でるだけで、それがどうでもよくなる瞬間があって。それが面白い。
セイヤ すごいっすよね。
KOUHEI 音楽の力だなって、一番感じるところかもしれない。全然違う人同士、違う意見も持ってるのに、音鳴らした瞬間に、一緒のとこ向いてるやん!と思えるんだから。
セイヤ うん、あれは不思議。変な物体やと思う、バンドって。ホントに歪だし、いつ終わってもおかしくない。
KOUHEI プリティの件もそうじゃん。俺らもGENの耳の調子が悪くなって活動休止しようと思ってたときもあったし。やっぱり順風満帆にいかないものなんだよ、バンドって。そこで踏ん張れるかどうかは、常にぶつかり合いながらメンバーで培ってきた底力があるかどうかだと思う。それがカッコいいし、そこにずっと魅了されてるんだろうな。
主催イベントは熱いバトンの回し合い
──お二人がステージに上がるうえで意識していることや、大事にしていることはありますか?
KOUHEI 僕らは主催の顔が見えるイベントに対して、めっぽう“強く”なるんですよ。なんでかと言うと、相手のバンドを好きだからこそ全力でいけるから。ライブを主催するってことは、そのバンドが締めなきゃいけないじゃん。そこで「いや、この空気どうやって締める?」となるくらい熱いバトンを渡すのが大事だと思ってて。
セイヤ それは間違いないっすね。
KOUHEI 「YON FES」も毎回すごい熱いバトンが回ってくるんだよ。だから、語弊があるかもしれないけど、対バンはお客さんを楽しませるというよりも、相手のバンドに対してどこまでぶつけられるか。ワンマンはぶつける相手がお客さんしかいないから、全力でお客さんを楽しませにいくけど。でもセイヤは対バンでもワンマンでもスタンス変わらなそうだよね。「『その日を一番楽しむのは俺だ』選手権」じゃん、絶対。
セイヤ そうっすね。お前ら俺より楽しんでみろって感じ。俺楽しんでるよ、もっと来いよっていう。コロナ期間中は無観客ライブもあったじゃないですか。そこでより強く思いましたね。まずは演奏してることを俺ら自身が一番楽しむ。そのムードは観てる人にも伝わると思うんですよ。それは対バンでもワンマンでも変わらないかな。
KOUHEI ステージ上のメンバーが楽しんでるかどうかって、すごく伝わる。だからセイヤが一番メンタル攻撃が効かないと思うんですよ(笑)。何してもスーンってかわされそう。
セイヤ ははは。ただ思うのが、お客さんとしてライブを観に行ったときに、やっぱり自分が知ってる曲をやってくれるほうがうれしいじゃないですか。そういうのは意識してますね。
KOUHEI ああ、わかる。昔は、どうせみんな「swim」しか知らないだろうから「swim」はやらん、みたいな変なパンク精神があったけど(笑)、最近はそれもなくなってきた。むしろ、期待されている「swim」やってあげようかな、っていう。
セイヤ フェスとかイベントでも、一時はちょっとコアな部分を出してこう、みたいなところがあったけど、もうないですよね。楽しんでもらえたらいいなっていうモードになってきました。
KOUHEI それもコロナ禍があったからじゃない? 規制がめちゃくちゃ多い中でもライブに来てくれたり、グッズを買ってくれたりした人たちがいたから、俺らは生きられたわけよ。そういう事実があるからこそ、感謝の気持ちが全面に出てくる。みんな優しくなったよね(笑)。
セイヤ そうですね。俺らも楽しむし、みんなも楽しんでくれたらいいなと思うようになったかな。
──幕張でも、来た人たちを全力で楽しませてください。
KOUHEI 俺らが「YON FES」をやってて一番感じるのは、とにかく出てくれるバンドと協力してくれたスタッフへの感謝なのね。俺らもライブはやるし、「この動線はこのほうがいいんじゃないか」とか意見も出すけど、それを具現化してくれるのはスタッフだし、いいイベントだったねって思わせてくれるのは、出てくれるバンドやお客さんで。たった1日でそれが全部わかるし、みんなのことが好き!になるから、それだけは期待しててほしい。
セイヤ はい!
KOUHEI ただ俺らは、バニラズがライブをやりにくいと感じるようなバトンを渡すつもりだから、それも覚悟もしてね(笑)。愛を持って全力で潰しにいくライブするんで。
セイヤ ちゃんとバトン受け取ります! まさかこんな6バンドが集まってくれるとは思ってなかったし、そこはホントに感謝しかないんで。今回は10周年ってことで、みんなからのバトンをしっかり受け取って、がっつり今のバニラズを見せつけます。それで過去イチ最高な日にしたいですね。
ライブ情報
DREAMS TOUR 2023-2024 FINAL「MAKE MY DREAM」
2024年3月9日(土)千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
<出演者>
go!go!vanillas
DREAMS TOUR 2023-2024 FINAL「MAKE YOUR DREAM」
2024年3月10日(日)千葉県 幕張メッセ国際展示場9~11ホール
<出演者>
go!go!vanillas / [Alexandros] / sumika / 04 Limited Sazabys / My Hair is Bad / マカロニえんぴつ / UNISON SQUARE GARDEN
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プロフィール
go!go!vanillas(ゴーゴーバニラズ)
牧達弥(Vo, G)、柳沢進太郎(G)、長谷川プリティ敬祐(B)、ジェットセイヤ(Dr)による4人組バンド。2013年1月に7inchシングル「人間讃歌 / アクロス ザ ユニバーシティ」、7月に1stアルバム「SHAKE」をSEEZ RECORDSよりリリースした。2014年11月にはビクターエンタテインメント内のレーベルGetting Betterよりメジャーデビューアルバム「Magic Number」、2015年4月にメジャー1stシングル「バイリンガール」を発表。2020年11月にはツアー「ROAD TO AMAZING BUDOKAN TOUR 2020」を開催し、最終公演では東京・日本武道館のステージに立った。2022年12月に6thアルバム「FLOWERS」をリリース。2023年10月にはデビュー10周年記念アルバム「DREAMS」を発表した。2024年1月にポニーキャニオン内のレーベル・IRORI Recordsに移籍し、シングル「SHAKE」を配信リリース。3月には千葉県・幕張メッセ国際展示場9~11ホール公演「MAKE MY DREAM」「MAKE YOUR DREAM」を行う。
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04 Limited Sazabys(フォーリミテッドサザビーズ)
2008年に愛知県名古屋市にて結成された、GEN(B, Vo)、HIROKAZ(G)、RYU-TA(G, Cho)、KOUHEI(Dr, Cho)によるロックバンド。2013年5月に発表した2ndミニアルバム「sonor」より日本語詞を多く取り入れ、楽曲の幅を広げる。メロディックパンクやギターロック、ラウドロックなど、さまざまなジャンルのバンドと競演を重ね、2014年9月に1stシングル「YON」をリリース。2015年4月に1stフルアルバム「CAVU」を日本コロムビアから発売し、メジャーデビューを果たした。2016年4月に初の主催フェス「YON FES」、2017年2月に初の東京・日本武道館公演を行い、成功に収めた。2019年9月には埼玉・さいたまスーパーアリーナで単独公演「YON EXPO」を初開催した。2022年10月にアルバム「Harvest」、2023年10月にセルフリメイクアルバム「Re-Birth」をリリース。2023年11月11、12日には東京・日本武道館公演「THE BAND OF LIFE」を行った。
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