ナタリー PowerPush - GLORY HILL
メジャーデビューの真意を激白
インディーズシーンで確固たる地位を築いているGLORY HILLがワーナーミュージック・ジャパンと契約。5月16日にメジャー1stシングル「LOST」をリリースする。
これを受けてナタリーでは彼らにインタビューを実施。なぜこのタイミングでメジャー進出を決意したのか、「LOST」のレコーディング秘話とともに語ってもらった。
取材・文 / 高橋美穂
このタイミングでメジャーに行くしかねえ
──いろんなところで訊かれていると思うんですが、なぜこのタイミングでのメジャーデビューだったんでしょうか。
TAKUYA(Vo, G) みんなそう思いますよね(笑)。理由は、昔一緒に仕事をしていた人からお誘いをもらったからなんですけど。
KO-01(B) それが一番でした。
──メジャーデビューはバンドとして目指していたものだったんでしょうか?
KO-01 それはなかったですね。
KENSAKU(Dr) バンドを始めた当初は、楽しければいいや、くらいでしたし。
──誘われたからとはいえメジャーデビューを決意したことで、気合を入れ直したところもあったのでは?
TAKUYA そうですね。インディーズではうまくいっているときもいかないときもあって、その下降気味のときに誘われたんです。具体的に言うと、ライブの動員が減ってきたりとか。そういうことも含めて、状況を逆転させるためにこのタイミングでメジャーに行くしかねえっていう気持ちでしたね。
初めて音源出した頃はピュアだった
──ちなみに、GLORY HILLは1stシングル「Everything e.p.」から全国区の人気を得た印象があるんですけど、当時の状況をバンドとしてどう感じてましたか?
KO-01 初期はそれほど精力的に全国ツアーを回っていたわけじゃないので、動員が増えたり物販が売れたりとか、目に見えるような変化もなくて。周りにいた人たちに「売れたよ」「すごいよ」とは言われていたんですけど、自分たちとしては「へー」みたいな。個人的にはそんなに意識が変わることもなく。
TAKUYA そうだね。自分のことじゃないような感覚でした。CDが店頭に並ぶことが単純にうれしかった時期だったんで、想像を越えたリアクションがあったときに、初めて「あれ、俺らもしかして?」って。
──それで「イエーイ!」とか喜んだりは……。
TAKUYA 全くしなかったですね。
KENSAKU 初めてのCDも「作ってみなよ」みたいに言われたことがきっかけだったんで「売るぞ!」って思いはそこまで強くなかったです。でも、タワレコ全店舗に電話して「置いてください!」とか、地道な営業はしていましたけどね(笑)。実際に聴いてもらえたら置いてもらえるんじゃないかなって、変な自信はあったんで。ただあんなに売れるとは思っていなかったんで、実際には戸惑いもありました。
──良い曲だっていう自信はあったけど、売ろうっていう狙いはなかった、と。
KO-01 ないですね。
──だからナチュラルに見えたのかな。当時のライブも戦略的なバンドにあるようなヤラしさは感じなかったんですよね(笑)。
KO-01 ヤラされてる感とか?(笑)
──そう。だからドカンと売れたのは、メンバーが好きだった音楽性と時代性がシンクロした結果だったんじゃないかと。
KO-01 ああ、そうですね。
TAKUYA 当時はピュアだったっていうか。自分で言うのも変ですけど……。
自分たちにできることは自分たちでやる
──いや、ピュアだと思いますよ(笑)。ただピュアだった分、その後いろいろと揺らいだこともあったのでは?
KENSAKU はい、何度も揺らいだ結果、ここにいるんです。
KO-01 2008年にリリースしたアルバム「GOING NO WHERE」くらいの時期は、状況が変わって、忙しいスケジュールだったり周りの動きに付いていくことに精一杯でしたね。
KENSAKU 勝手に物事が決められていたり。ぶっちゃけて話すと、ピュア過ぎて、右向けて言われたら右を向く、みたいな感じだったんで……良くないっすよね。今はほんっと逆で、1個1個細かいことを4人で話し合って決めていて。もちろん、メジャーで活動する以上は、いろんな方に力も借りますけど、自分たちにできることは自分たちでやるっていう。
──あの、普通は逆ですよね。インディーズでは自分たちでやって、メジャーでは周りの力を借りるっていう。
KENSAKU そうなんですよ。
TAKUYA CDを出したのが早かったので、下積みがないままボンって行っちゃったから。その結果こうなったんですよね。
──右って言われたら右、みたいな感じじゃなく、自分たちでイニシアチブを握って活動できるようになったのはいつ頃からなんでしょうか……。JUNYAさん笑ってますけど(笑)。
JUNYA(G) ちゃんとそういうことを考え出したのは、メジャーデビューが決まってからですね。だから、自分たちなりに結果を出そうとして作った音源は今回が初めて。僕は「GOING NO WHERE」の頃は楽曲的には良かったと思ってるんですよ。ただ、次の「Signs」(2009年9月リリース)の頃に迷いが出てきて。それから「REVIVE」(2010年12月リリース)や「Ocean Arrow」(2011年7月リリース)で、音楽的な原点を追求していったんですよ。だからある種インディーズ時代は、売れることより、音楽的なルーツを極めるっていうことを考えていたかもしれません。
GLORY HILL(ぐろーりーひる)
2005年に結成された、TAKUYA(Vo, G)、JUNYA(G)、KO-01(B)、KENSAKU(Dr)からなる4人組ロックバンド。2007年6月にリリースしたシングル「Everything e.p.」と、同年8月にリリースしたアルバム「LOST GENERATION」がインディーズチャート上位を獲得し一躍ブレイクを果たす。その後も精力的なライブ活動とリリースを展開し、爽快なメロディックパンクサウンドとパワフルな歌でリスナーを獲得する。結成7年を迎えた2012年にメジャーデビューが決定し、第1弾シングル「LOST」を5月にリリース。