5月25日にデビュー25周年を迎えたGLAYがニューシングル「G4・V-Democracy 2019-」を7月2日にリリースした。
「GLAY DEMOCRACY」をテーマに「7つの公約」を発表し、アニバーサリーイヤーを盛り上げていくことを宣言している彼ら。今回のシングルは2つ目の公約に当たる「新元号初シングル」であると共に、アニバーサリーイヤーを飾る第1弾作品となる。収録曲は、エッジの効いたサウンドと刺激的な歌詞が耳に残る「JUST FINE」、ストレートなメロディと青春の匂いが香る歌詞が魅力の「はじまりのうた」、親子の絆を歌ったバラード「COLORS」、MISIAをフィーチャーした「YOUR SONG feat. MISIA」の4曲。楽曲ごとに異なる個性が詰め込まれた、GLAYの音楽性の幅広さを感じさせる1枚だ。
音楽ナタリーでは本作のリリースを記念して、GLAYファンを公言し、「ニコニコ超会議2019」での競演も記憶に新しいゴールデンボンバーの鬼龍院翔にインタビュー(参照:女々しくて×3!GLAYとゴールデンボンバー、平成最後の対バンで互いの曲をカバー)。新曲の感想やGLAYの魅力を話してもらった。さらに今回はGLAYへのメールインタビューも行い、近況なども交えながら節目を迎えた心境などを明かしてもらった。
取材・文 / 中野明子 撮影 / 曽我美芽
「Savile Row ~サヴィル ロウ 3番地~」に衝撃
──今回はGLAYのニューシングルのリリースにあたって、GLAYファンである鬼龍院さんに新曲を聴いてもらい感想を語っていただきたく思っています。
光栄です。
──新曲のお話の前に、まずは鬼龍院さんとGLAYの出会いのきっかけを教えていただけますか?
最初にGLAYさんの曲を聴いたのは、内田有紀さんが出演していたCMで流れていた「グロリアス」だったと思います。
──スポーツブランド用品店「ヴィクトリア」のCMですね。
リリースが1996年なので僕が小学生のときですね。ただ、僕、GLAY世代ど真ん中なんですけど、ハマったのは普通の人よりも遅かったんです。中学生の頃は周りが当たり前のように聴いていたので、僕も聴いてはいたんですけど、シングルのA面だけのような感じで。でも高校1年生くらいのときに仲良くなった友人がGLAYさんが大好きで。その友人に薦められて「HEAVY GAUGE」(1999年10月リリースのアルバム)を聴いて、その中に収録されている「Savile Row ~サヴィル ロウ 3番地~」の歌詞を読んで自分の中のGLAYに対する価値観が変わったんです。
──どう変わったんですか?
「Savile Row」を聴くまでは、GLAYさんは「売れていて流行ってる人たち」という認識だったんです。「誘惑」を聴いたときにカッコいい曲だなと思ったんですが、ほかの曲を掘り下げるまで聴いてなくて。でも「Savile Row」の歌詞にある「いつの日か僕に全てをいやせるような歌を作る力をくれ…」という一節を見たときに、アーティストも実は弱いところがあるんだと知ったんです。それまで曲を作るような人は特殊な才能にあふれた、無敵の人というイメージだったんです。しかもGLAYさんは売れてるしブイブイ言わせていて、いいことしか起きてないだろうと思っていたのに、あの歌詞からTAKUROさんにも弱いところがあるというのが感じられて衝撃でした。僕は小さい頃から漠然とミュージシャンに憧れてたんですが、「Savile Row」を聴いたことがきっかけで作詞の面白さに目覚めました。そこからずっとGLAYにどハマりしてます。
──そうでしたか。
GLAYさんは歌詞の振り幅が広いんです。失礼に聞こえたら申し訳ないんですが、ぶっ飛び加減もGLAYの魅力ですね。わかりやすいところで言うと「彼女の“Modern…”」。歌い始めの「ダイスで決める1日の 予定はとりあえず無視して」とか、初めて聴いたときに「ダイスで1日の予定を決めるやつがいるのか!」と。その一方で「Savile Row」や僕が大好きな「Together」のように繊細な歌詞の曲もあって、とてもダイスで1日の予定を決めている人が書いたとは思えないんです。
──確かに歌詞の振り幅が広いですよね。
そういった部分も尊敬しています。僕、20歳の頃、レンタルCDショップでバイトしていたときにGLAYさんのアルバムのポップを書いたことがあって。「売れているバンドとして片付けてじっくり聴いていない人が多いと思いますが、歌詞カードと共に聴いてみてください。うわべのイメージとは違うことに驚くと思います」と書いた記憶があります。
TAKUROさんはロックに魂を捧げている
──ここからは「G4・V-Democracy 2019-」の感想を聞かせていただければと思います。1曲目の「JUST FINE」は、TAKUROさんが昔のGLAYの曲をあえて意識して作ったそうで。
そうなんですよね! これはまさにぶっ飛んだ世界観の曲で、「彼女の“Modern…”」と同じタイプの主人公が描かれてると思うんです。それと、すごく個人的なことなんですけど、僕、TERUさんの歌う「い行」が大好きで。「JUST FINE」はそれが楽しめる曲なんです。TERUさんの歌う「い行」は豊かな倍音を含んでいて、張りがあって弾けるような感じなんですよ。ギターで例えると、いいアンプでディストーションをかけたようなすごく張りのある倍音なんです。その「い行」の魅力を曲の冒頭から楽しめる。TERUさんの「い行」好きとしてはたまらないですね!
──なかなかマニアックですねえ。そのほかに「JUST FINE」を聴いて魅力的に感じた部分はありますか?
先ほどもお話ししましたが、ぶっ飛んだ世界観の歌詞ですね。「空にシャンパングラス 跳ねるフライデーナイト」とはどういうことなんだと。でも、「どういうことなんだ!?」と言いたくて歌詞を読んでいるところがあるんですよね。本当はTAKUROさんが意図していないところかもしれないですけど、そういう部分も楽しませてもらってます。
──わかる気がします。
TAKUROさんは、ロックに魂を捧げていると思うんですよ。TAKUROさんってプライベートで街を歩いているときも“TAKUROさん”なんです。ステージ上の佇まいそのままで、プライベートの服もビシッとしててカッコいいし。「JUST FINE」の歌詞はロックに魂を捧げている人が書く歌詞なんです。空にシャンパングラスが跳ねるフライデーナイトも、TAKUROさんだったらありえると思えてしまう。そして、ダイスで1日の予定も決めかねない……そんなロックな生き様が歌詞にも表れているんです。歌詞って共感できる部分があることが感動につながる部分もあると思うんですが、「JUST FINE」に関してはハナから共感されることを考えていないんです。描かれているのはロックな生き様、ロッカーの日常ですよね。そう考えると、昔から歌ってることがブレてないなと。
──サウンドはいかがでしたか?
円熟した音だと思いました。ゆったりしたリズムで、長めのギターのイントロを入れられるのはその証拠だなと。曲の尺が短くて、いきなり歌が始まったほうが若々しい荒々しさが出るじゃないですか。それを考えるとデビュー25周年のバンドの円熟味と余裕が出てると思いました。それと、最新アルバムの「SUMMERDELICS」の実験的な内容から考えるとオーソドックスで懐かしいところもある。ギターが前面に出てて、TAKUROさんとHISASHIさんのツインギターがハモってるところとかGLAYさんらしいなと。歌詞も含めてGLAYさんは変わってないんだなと思わされる曲ですね。デビュー25周年でこういった曲を出せる姿勢を尊敬しています。
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なぜ25年目の今、TERUさんの作曲能力が爆発するんだ!