ポップであるけどベクトルが違う各メンバー
──アルバム「SUMMERDELICS」は、メンバーそれぞれの作曲家としての個性が実感できる作品でもあると思いますが、ほかの3人の楽曲を聴いてどんなふうに感じますか?
ポップであるというのは共通しているんだけど、ベクトルが違うんですよね。その中でいろんな変化が起きているというか。TERUが作る曲も変わってきてる気がします。以前はもっと幅が広かったんだけど、最近は「GLAYはこうなんです」ということを表現するような曲を作ることが多くて。GLAYを先導する中心人物として「希望がある曲で次のステージに連れていきたい」という意志を感じますね。TAKUROは今、すごく周りを見ていると思います。TERUの曲がシングルになったり、HISASHIの曲にタイアップが付いて表に出ていくことが増えて。僕は僕で自由にいろんな曲を作ってるわけですけど、その中でTAKUROは「今はこういうピースが足りない」と考えながら作ってるんじゃないかな。その一方で、北海道新幹線のイメージソング(「Supernova Express 2016」)というとてつもなく大きな仕事をしっかりやり遂げるプロフェッショナルな部分もあるっていう。HISASHIの曲はどれもHISASHIというか(笑)。本当にアニメのテーマソングに合いそうな曲を書きますよね。それは最近だけじゃなくて、デビューからずっとそういう路線の曲を作ってきてるんですよ。
──特に1曲目の「シン・ゾンビ」は強力ですよね。
「シン・ゾンビ」はTAKUROが「これは絶対に1曲目にしたい」と強く言っていて。「この曲で23年目のGLAYがまだまだ攻めているところを見せたい」ということだったんだけど、曲を作ったHISASHIが「いやいや、それは違うでしょ」って反対していて(笑)。「この2人、面白いやり取りしてるな」と思いながら見てました。
──JIROさんも「バンドとして攻めている部分を見せることは必要」と思っていますか?
どうなんですかね? 僕はもともとあまり先のことを見ないで、今できることをしっかりやろうというタイプなんです。僕はライブのセットリストを考える役なんですけど、まだアリーナツアー(「GLAY ARENA TOUR 2017 "SUMMERDELICS"」)の曲は固めてなくて。アルバムのプロモーションが落ち着いたら手を付けようと思ってるんですけど、それくらい目の前のことしか考えられないんですよね。逆にTERUやTAKUROは10年後、20年後のことまでしっかり考えるタイプだから、そこで役割分担ができてるんだと思います。2人が描いているビジョンに乗っかれば、面白いことになりそうだなって(笑)。もちろん自分がサポートできることはしっかりやろうと思ってますけどね。
──では、過去のことを振り返ることはありますか?
それもしないですね。ツアーが終わったあとの音源チェック、映像チェックなんかも嫌いなんですよ。ツアー中の情熱はすでにないわけだし(笑)、スタッフに「聴いておいて」って任せちゃうことが多いですね。初めての映像クリエイターの方と組むときはチェックしますけど、さっと1回観て「こういう感じにしてほしいです」ということをザックリ伝えるくらいなので。ライブの音源もほとんど聴かないです。GLAYはリハーサルをしっかりやっていて、そこで細かくチェックしてからツアーに出ているんですよ。あとは自分の問題なので、特に聴き返す必要もないかなと。
──ライブの写真などもチェックしないんですか?
しないです(笑)。信頼している女性のスタッフがいて、アーティスト写真もライブの写真も雑誌に載せる写真も、その人にすべて任せてるので。「この顏、納得いかないな」なんて言ってもしょうがないですからね、ぜんぶ俺の顔なんだから(笑)。それよりもできる限りコンディションを整えてライブに臨むことが大事かなと。シワが増えたとかたるんできたとか、それはしょうがないですけどね、年なんだし。もちろん努力はしますけど、「メンバーが年取ってきたことが気になる方は、10年前の映像を観てください」って言うしかないです(笑)。
10年後、20年後のことはわからない
──見た目の印象はほとんど変わらないですけどね、JIROさん。
どうなんでしょうね? やれることはやってるんですよ、もちろん。日々のトレーニングとか、食生活にも気を遣ったりとか。と言いつつ、ライブを休むっていうね(笑)。
──4月25日の石川公演ですね。あのときのファンの反応も印象的でした。JIROさんがストイックに節制しているのを知っているから「今はゆっくり休んでください」という声が本当に多くて。
そうなんですよね。甘えたことは言えないですけど、気を付けていても体調を崩してしまう年齢になったんだなって実感しました。それも「lifetime」の歌詞に書いたこととつながっているんですよね。僕らと同年代のファンの方も多いし、「今回のライブ、チケットを取ってたのに病気になって行けなかった」ということもあると思うんですよ。そういうときに「大丈夫。またすぐ行くから」って言えれば、安心してもらえるじゃないですか。元気な姿で声援を送ってくれる姿を見ると、すごくうれしいし。よく「GLAYは活動を止めないですよね」と言われるんだけど、「止めてる余裕なんてないですよ。待ってくれてる人がたくさんいるんだから」としか答えようがないんですよね。
──キャリアを重ねるにつれて、支えてくれるファンの存在が大きくなっている?
そうですね。昔はいっぱいテレビに出てたし、雑誌の表紙もたくさんやらせてもらったし、ドームツアーもやってましたけど、今ほどの責任感はなかった気がするんです。引っ張りだこだったけど、「この人たち、いつまで応援してくれるんだろう?」っていう状態でライブをやっていた時期もあったし……そういう意味では、今のほうが「応援してもらっている」ということにリアリティがありますね。ファンに対して愛しさを感じるし、しっかり向き合いたいと思うので。最近は子供連れで来てくれる方も多いから、その子たちのためにも適当なことはできないですよ。ドラッグなんかで捕まってる場合じゃないです(笑)。
──ライブに対するスタンスについても聞かせてください。ここ数年はキーボードを入れず、ギターバンドのスタイルを打ち出していますが、手応えはどうですか?
試行錯誤はありましたね。キーボードを入れずに行った最初の「Supernova」ツアーは、見た目にも安心感があったほうがいいなと思って、自分の立ち位置からほとんど動かなかったんです。ドラムと一緒に前の3人(TERU、TAKURO、HISASHI)を支えようと思ってたんだけど、「JIROが動かなくてつまらない」という批判があって。自分としては「その気持ちもわかるけど、今はギターバンドとしての基礎をもう1回作り直したいと思っているし、俺が動き回ることで演奏がグチャグチャになるのがいいことだとは思えない」という感じだったんですけどね。まあ、今振り返ると「あれは極端だったな」と自分でも思うけど(笑)。
──(笑)。でも、そのときはバンドのグルーヴを再構築する時期だったわけですよね。
はい。その次のツアーは曲によって動いたりしてたんですけど、そうすると「JIROが動いた!」ってザワついたり(笑)。最近は「出るときは出る。出ないときは激しい曲であっても淡々と弾く」というメリハリが付けられるようになって、いい感じだと思います。
──アルバム「SUMMERDELICS」のリリース、秋から始まるアリーナツアーとGLAYの活動は続いていきますが、やはり“目の前のことに集中する”というスタンスは変わらないですか?
そうですね。今までは「とにかく健康だけには気を付けよう」という感じだったんですけど、ライブを休んだこともあって最近は「健康であるのはもちろんだけど、生きてればいいよな」と思うようになってきて。去年の「VISUAL JAPAN SUMMIT 2016」のときにSUGIZOさんとYOSHIKIさんが「メンバーが生きていればいいよ。死んだら、やろうと思ってもやれないんだから」と言ってたんですけど、その言葉が妙に沁みて。昨日は元気だった人が、明日はいない可能性だってあるじゃないですか。そう考えるとライブの1曲1曲を真剣にやらなくちゃいけないし、テンションを下げることなくやり切らないとなって。秋からのアリーナツアーも、そういう気持ちで臨みたいですね。そうやって1つひとつやっていくしかないんですよ、ホントに。だから10年後、20年後のことは、僕にはやっぱりわからないです。
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Message to GLAY(1)
- GLAY「SUMMERDELICS」
- 2017年7月12日発売 / LSG
-
CD+2DVD盤
5400円 / PCCN-00027 -
CD盤
3240円 / PCCN-00028 -
G-DIRECT限定盤
[5CD+3Blu-ray+グッズ]
24800円 / LSGC-0002
- CD収録曲(共通仕様)
-
- シン・ゾンビ [作詞・作曲:HISASHI]
- 微熱Ⓐgirlサマー [作詞・作曲:HISASHI]
- XYZ [作詞・作曲:TAKURO]
- 超音速デスティニー [作詞・作曲:HISASHI]
- ロングラン [作詞・作曲:TAKURO]
- the other end of the globe [作詞:TERU、TAKURO / 作曲:TERU]
- デストピア [作詞・作曲:HISASHI]
- HEROES [作詞・作曲:TERU]
- SUMMERDELICS [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 空が青空であるために [作詞・作曲:TERU]
- Scoop [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 聖者のいない町 [作詞・作曲:TAKURO]
- Supernova Express 2017 [作詞・作曲:TAKURO]
- lifetime [作詞・作曲:JIRO]
- Single Track Only Live @函館アリーナ [DVD(CD+2DVD盤) / Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- Bible
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 百花繚乱
- 誘惑
- HEROES
- 紅と黒のMATADORA
- サバイバル
- 彼女の“Modern…”
- BLEEZE
- MUSIC LIFE
- VIDEO GLAY 7 [Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- SCREAM
- ANSWER
- ASHES-1969-
- SORRY LOVE
- VERB
- 紅と黒のMATADORA
- I LOVE YOUをさがしてる
- SAY YOUR DREAM
- 春までは
- I am xxx
- LET ME BE Live Ver. 2009-2010 at makuhari messe
- 誘惑
- Apologize
- Precious
- Satellite of love
- everKrack
- My private "Jealousy"
- Time for Christmas
- 君にあえたら
- Bible
- JUSTICE[from]GUILTY
- 運命論
- Eternally
- DARK RIVER
- DIAMOND SKIN
- BLEEZE
- 百花繚乱
- 疾走れ!ミライ
- さくらびと
- 外灘SAPPHIRE ~スタジオセッションVer~
- YOU ~スタジオセッションVer~
- 黒く塗れ! ~スタジオセッションVer~
- BLEEZE ~スタジオセッションVer~
- HEROES
- 微熱Ⓐgirlサマー
- つづれ織り~so far and yet so close~
- 彼女はゾンビ
- Scoop
- Supernova Express 2016
- 空が青空であるために
- デストピア/超音速デスティニー
- the other end of the globe
- SUMMERDELICSハイレゾ音源 / GLAY Documentary Film Part1 ~俺(TERU)にVENEZIAでライブをさせてくれ編~ / GLAY Documentary Film Part2 ~GLAY史上最大の作戦編~[Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
- Live CD Single Track Only Live @函館アリーナ [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 誘惑
- HEROES
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova 16.3.4 ロームシアター京都 [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- 汚れなきSEASON
- laotour ~震える拳が掴むもの~
- 冬の遊歩道
- 100万回のKISS
- More than Love
- MERMAID
- Believe in fate
- SORRY LOVE
- カナリヤ
- 航海
- 空が青空であるために
- 百花繚乱
- BEAUTIFUL DREAMER
- Supernova Express 2016
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova reprise 16.11.10 下北文化会館 [CD (G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- MIRROR
- デストピア
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- Freeze My Love
- 誘惑
- 生きてく強さ
- THINK ABOUT MY DAUGHTER
- BELOVED
- 都忘れ
- 彼女はゾンビ
- 微熱Ⓐgirlサマー
- 時計
- BLEEZE
- 彼女の“Modern…”
- HIGHCOMMUNICATIONS
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Never Ending Supernova 17.5.4 足利市民会館 [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- the other end of the globe
- THE FRUSTRATED
- DIAMOND SKIN
- ASHES -1969-
- BROTHEL CREEPERS
- BE WITH YOU
- May Fair
- SOUL LOVE
- MERMAID
- FRIEDCHICKEN & BEER
- WORLD’S END
- 時計
- XYZ
- CRAZY DANCE
- ピーク果てしなく ソウル限りなく
- HEROES
- GLAY ARENA TOUR 2017 "SUMMERDELICS"
-
- 2017年9月23日(土・祝)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月24日(日)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月30日(土)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月1日(日)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月7日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月8日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月21日(土)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月22日(日)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月25日(水)東京都 日本武道館
- 2017年10月27日(金)東京都 日本武道館
- 2017年10月28日(土)東京都 日本武道館
- 2017年11月3日(金・祝)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月4日(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月11日(土)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月12日(日)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月15日(水)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月16日(木)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月25日(土)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年11月26日(日)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年12月9日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月10日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月16日(土)愛知県 日本ガイシホール
- 2017年12月17日(日)愛知県 日本ガイシホール
- 2018年3月に台湾・台北アリーナライブ開催!
- GLAY(グレイ)
- 北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し、有料の単独ライブとしては世界最多観客動員を記録する。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」(現:LSG)を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行い、11月にオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリースした。2015年には5月に10年ぶりとなる東京・東京ドーム公演を2日間にわたって開催。2016年1月にシングル「G4・IV」を発表し、同月より全国ツアー「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova"」を開催した。2017年7月に2年半ぶりとなるニューアルバム「SUMMERDELICS」をリリース。9月末からは「GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”」と題した全23公演、23万人を動員する大型アリーナツアーを開催する。2018年3月には台湾・台北アリーナ公演の開催も決定している。
2017年7月26日更新