一体GLAYをどこに連れて行くんだ?
──「SUMMERDELICS」に収録されているほかのメンバーの楽曲を聴いて、どんな感想を抱きましたか?
TAKUROの曲はギタリストとしての立ち位置をすごく考えているなと感じました。ソロアルバムを作ったり、ツアーを回ったりする中で、より個性が出てきましたよね。ポップな曲の中にも複雑なフレーズが入っていたり、TAKUROのプレイによって渋みが増していく。あと彼は、10年後どうやって生きていきたいかっていうのを見据えてる感じがするなあと。TAKUROはこれまでGLAYの楽曲をほとんど手がけてきたし、これからも曲を書いていくと思うけど、今はギタリストとしての欲が強くなってるんじゃないかな。
──それは「MUSIC LIFE」のインタビューのとき、TAKUROさんご自身も話されていましたね(参考:GLAY「MUSIC LIFE」特集 TAKUROインタビュー)。HISASHIさんの曲についてはいかがでしたか?
HISASHIに関しては、アルバム用に作った楽曲は「シン・ゾンビ」だけでしたが自由度が増したというか。一体GLAYをどこに連れて行くんだろうっていう(笑)。これまでライブでは何をやるかわからないHISASHIのスタイルっていうのがあったんですけど、それが曲にも反映されていると言うか。まさか自分たちの曲で「太鼓の達人」とコラボをするとは思いませんでしたね。
──楽曲に、ゲーム「太鼓の達人」のオープニングシーンを思わせるナレーションが入っていて度肝を抜かれました。
でも、それを許せるGLAYの懐の深さが最近すごく心地よいんです。彼は遊び心を広げてくれていますね。「シン・ゾンビ」が入ってなかったら、「単にすごくいいGLAYのアルバム」っていう感じになると思うんですよ。でも「シン・ゾンビ」が1曲目に入ってることで「GLAY、どうなんだろう?」っていうところからアルバムが始まって、最後は安心感のある曲で終わるという。
──その安心感を作ってるのがJIROさんが作詞も手がけた「lifetime」です。
JIROは自分でメッセージを伝えることが苦手な人なので、今まではTAKUROに歌詞を書いてもらったりしていたんですけども、今回はデビュー20周年を機にファンの子たちとの関係性を見つめ直したみたいで。それが「lifetime」の歌詞を書くことにつながったんじゃないかな。JIROは今までだったら自分のやりたいことをステージで一方的に出していく人ではあったと思うんですけども、ファンの子たちの意見とか言葉に気持ちが左右されるときもあって。最近はそれを受け入れたうえで自分の答えを出していくようになったんじゃないかな。彼は心が強くなりましたね。
自分が表現したいことがGLAYの中で全部できちゃってる
──今作の中でTERUさんがボーカリストとして一番歌うのに苦労した曲はどれでしたか?
うーん、「聖者のいない町」ですね。俺が今まで歌ってきたものとは、まったく違うタイプの楽曲と言うか。
──「聖者のいない町」は展開が複雑ですし、それに合わせて歌い方を変えられているのが印象的でした。どうやって歌いこなしていったんですか?
とにかく自分で納得できるまで、いろいろ試しながら歌っただけですね。それと自分が歌いやすいかどうかとか、“GLAYのTERUの歌”を歌うのではなく、“その曲に合ってる歌”を歌うという点を大事にしました。「聖者のいない町」に関しては「今まで出したことない声を出してるな」と自分でも思います(笑)。Led Zeppelinっぽいと言うか、甲高いシャウトも効かせてるし。これまでは自分の直感に従って歌ってたし、それが自分にとっては正解だったんです。でも、今回はいろいろ選択肢を作ってみようと。前は甲高い声とかは、僕の中では商売にならない、「金にならない声」って言ってたんですよ。好まれないし求められてもいない。だから歌わないでいたんですけど、今回は曲に合うものであれば採用しました。
──曲に呼ばれて自分の歌い方を変えるのをよしとするようになったと。
ええ。最初から最後まで聴いてもらうと、いろんな声色で歌ってるのがわかるんじゃないかな。今までは「何をやっても、どんなジャンルの曲を歌ってもGLAYの曲になるよね」っていうのが僕なりの持ち味ではあったんだけど、ちょっと冒険したくなったんです。
──ここにきて歌い方が変わった?
そうですね。今年でデビュー24年目なんですけど、こんな僕らにファンが付いてきてくれていることにすごく喜びを感じて、彼らをもっともっと違う世界に連れていきたいんです。ファンの子たちとGLAYのメンバーとの関係性っていうのも歌に影響してるでしょうし、自分に自信が付いたのかもしれない。
──こういう歌い方をしても受け入れてもらえると。ちなみにTERUさんにとって歌う喜びとは?
いい声でライブができたときの喜びに勝るものはないですね。「HOWEVER」の最後の高いところを歌い切れたときの気持ちよさとか。ただソロで歌っても喜びはないんです。GLAYのメンバーとして歌うことに喜びがある。
──あくまでGLAYありきなんですね。
はい。「ファンクラブ30周年のとき、ベネチアでGLAYとして歌いたいんだー! ベネチアの景色をファンにも見せたいんだ」って言ったら協力してくれるメンバーやスタッフがいてくれるし。別にTAKUROもHISASHIもJIROもベネチアでやりたいって思ったことは一度もないと思うんですよ(笑)。「でもTERUが言うんだったらやるか」みたいな気持ちで付いてきてくれる。自分が表現したいことがGLAYの中で全部できちゃってるんですよね。
夢のために逆算をしていくのが大事
──そのベネチアライブまで9年ありますが、年齢を重ねていくと若い頃に比べて体力が落ちてくるでしょうし、いいステージを作るためにストイックにならざるをえないところもあると思います。その点についてはいかがですか?
うーん、でもストイックになりすぎてもよくないんだろうな。ちょっと抜くときは抜いて、戦うときは戦うっていうバランスを考える必要があるんですよね。あとは夢のために逆算をしていくのが大事。
──逆算?
先輩たちを参考にしながら、50歳の自分、55歳の自分、60歳の自分っていうものをイメージしながら活動してます。そうすれば自分の理想のステージにたどり着けるんじゃないかなと。
──いつ頃から逆算をするようになったんですか?
たぶん30代からですね。自分たちで事務所を立ち上げたくらいから、ちゃんと未来を見据えて戦っていかなければ、この世界で勝てないっていうのは自覚するようになりました。「なんとかなるよ!」「誰かがなんかやってくれるでしょう」みたいな姿勢だと、ミュージシャンとして寿命も短くなるんじゃないかなって。
──なるほど。まだまだGLAYとしての道は続きそうですね。
自分たちの活動に夢や新鮮味を感じられなくなったら、GLAYはちょっとお休みするんじゃないかな。常に新鮮な活動をしていきたいと言うか。ライブに関してだと、JIROがセットリストや演出を決めてくれるんですけども、その中にもフレッシュさがあるんですよね。昔の曲をひさびさに引っ張り出してくれたり。20代のときに演奏してた曲を今やると、すごくフレッシュで楽しかったりして。今回のアルバムにしても「これをしたい」「こういう歌を歌いたい」っていうことを“大人の頭”で考えるんじゃなくて、若い頃のように「とりあえずやってみようよ」って気持ちでやっていったことがフレッシュさにつながっていったんじゃないかな。40代半ばだからっていうことを理由に欲求を押さえ付けてしまったら、つまらないものしか生まれない。
──でもなかなかそれを実行するのは簡単なことではないですよね。過去の経験とかが邪魔になってくることもあるでしょうし。
もちろん難しいですけど、この4人だったら高校生当時ワイワイやってきたような感じでずっと続いていくんだろうなっていうのはあるんです。見た目はおっさんになってくだろうけれども(笑)、心はずっとフレッシュなまま。それを今回はHISASHIが証明してくれたと思います。「シン・ゾンビ」という曲でね。
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TAKUROソロインタビュー
- GLAY「SUMMERDELICS」
- 2017年7月12日発売 / LSG
-
CD+2DVD盤
5400円 / PCCN-00027 -
CD盤
3240円 / PCCN-00028 -
G-DIRECT限定盤
[5CD+3Blu-ray+グッズ]
24800円 / LSGC-0002
- CD収録曲(共通仕様)
-
- シン・ゾンビ [作詞・作曲:HISASHI]
- 微熱Ⓐgirlサマー [作詞・作曲:HISASHI]
- XYZ [作詞・作曲:TAKURO]
- 超音速デスティニー [作詞・作曲:HISASHI]
- ロングラン [作詞・作曲:TAKURO]
- the other end of the globe [作詞:TERU、TAKURO / 作曲:TERU]
- デストピア [作詞・作曲:HISASHI]
- HEROES [作詞・作曲:TERU]
- SUMMERDELICS [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 空が青空であるために [作詞・作曲:TERU]
- Scoop [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO]
- 聖者のいない町 [作詞・作曲:TAKURO]
- Supernova Express 2017 [作詞・作曲:TAKURO]
- lifetime [作詞・作曲:JIRO]
- Single Track Only Live @函館アリーナ [DVD(CD+2DVD盤) / Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- Bible
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 百花繚乱
- 誘惑
- HEROES
- 紅と黒のMATADORA
- サバイバル
- 彼女の“Modern…”
- BLEEZE
- MUSIC LIFE
- VIDEO GLAY 7 [Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
-
- SCREAM
- ANSWER
- ASHES-1969-
- SORRY LOVE
- VERB
- 紅と黒のMATADORA
- I LOVE YOUをさがしてる
- SAY YOUR DREAM
- 春までは
- I am xxx
- LET ME BE Live Ver. 2009-2010 at makuhari messe
- 誘惑
- Apologize
- Precious
- Satellite of love
- everKrack
- My private "Jealousy"
- Time for Christmas
- 君にあえたら
- Bible
- JUSTICE[from]GUILTY
- 運命論
- Eternally
- DARK RIVER
- DIAMOND SKIN
- BLEEZE
- 百花繚乱
- 疾走れ!ミライ
- さくらびと
- 外灘SAPPHIRE ~スタジオセッションVer~
- YOU ~スタジオセッションVer~
- 黒く塗れ! ~スタジオセッションVer~
- BLEEZE ~スタジオセッションVer~
- HEROES
- 微熱Ⓐgirlサマー
- つづれ織り~so far and yet so close~
- 彼女はゾンビ
- Scoop
- Supernova Express 2016
- 空が青空であるために
- デストピア/超音速デスティニー
- the other end of the globe
- SUMMERDELICSハイレゾ音源 / GLAY Documentary Film Part1 ~俺(TERU)にVENEZIAでライブをさせてくれ編~ / GLAY Documentary Film Part2 ~GLAY史上最大の作戦編~[Blu-ray(G-DIRECT限定盤)]
- Live CD Single Track Only Live @函館アリーナ [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- My Private "Jealousy"
- 天使のわけまえ
- 疾走れ!ミライ
- とまどい
- SOUL LOVE
- a Boy~ずっと忘れない~
- Way of Difference
- グロリアス
- 真夏の扉
- ずっと2人で…
- HOWEVER
- いつか
- 微熱Ⓐgirlサマー
- THOUSAND DREAMS
- 誘惑
- HEROES
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova 16.3.4 ロームシアター京都 [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- 汚れなきSEASON
- laotour ~震える拳が掴むもの~
- 冬の遊歩道
- 100万回のKISS
- More than Love
- MERMAID
- Believe in fate
- SORRY LOVE
- カナリヤ
- 航海
- 空が青空であるために
- 百花繚乱
- BEAUTIFUL DREAMER
- Supernova Express 2016
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Supernova reprise 16.11.10 下北文化会館 [CD (G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- MIRROR
- デストピア
- Scoop
- 千ノナイフガ胸ヲ刺ス
- Freeze My Love
- 誘惑
- 生きてく強さ
- THINK ABOUT MY DAUGHTER
- BELOVED
- 都忘れ
- 彼女はゾンビ
- 微熱Ⓐgirlサマー
- 時計
- BLEEZE
- 彼女の“Modern…”
- HIGHCOMMUNICATIONS
- HIGHCOMMUNICATIONS TOUR Never Ending Supernova 17.5.4 足利市民会館 [CD(G-DIRECT限定盤)]
-
- SE
- the other end of the globe
- THE FRUSTRATED
- DIAMOND SKIN
- ASHES -1969-
- BROTHEL CREEPERS
- BE WITH YOU
- May Fair
- SOUL LOVE
- MERMAID
- FRIEDCHICKEN & BEER
- WORLD’S END
- 時計
- XYZ
- CRAZY DANCE
- ピーク果てしなく ソウル限りなく
- HEROES
- GLAY ARENA TOUR 2017 "SUMMERDELICS"
-
- 2017年9月23日(土・祝)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月24日(日)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
- 2017年9月30日(土)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月1日(日)大阪府 大阪城ホール
- 2017年10月7日(土)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月8日(日)宮城県 セキスイハイムスーパーアリーナ
- 2017年10月21日(土)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月22日(日)広島県 広島グリーンアリーナ
- 2017年10月25日(水)東京都 日本武道館
- 2017年10月27日(金)東京都 日本武道館
- 2017年10月28日(土)東京都 日本武道館
- 2017年11月3日(金・祝)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月4日(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる
- 2017年11月11日(土)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月12日(日)神奈川県 横浜アリーナ
- 2017年11月15日(水)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月16日(木)大阪府 大阪城ホール
- 2017年11月25日(土)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年11月26日(日)福岡県 マリンメッセ福岡
- 2017年12月9日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月10日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
- 2017年12月16日(土)愛知県 日本ガイシホール
- 2017年12月17日(日)愛知県 日本ガイシホール
- 2018年3月に台湾・台北アリーナライブ開催!
- GLAY(グレイ)
- 北海道函館市出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には千葉・幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し、有料の単独ライブとしては世界最多観客動員を記録する。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」(現:LSG)を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行い、11月にオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリースした。2015年には5月に10年ぶりとなる東京・東京ドーム公演を2日間にわたって開催。2016年1月にシングル「G4・IV」を発表し、同月より全国ツアー「GLAY HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2016 "Supernova"」を開催した。2017年7月に2年半ぶりとなるニューアルバム「SUMMERDELICS」をリリース。9月末からは「GLAY ARENA TOUR 2017“SUMMERDELICS”」と題した全23公演、23万人を動員する大型アリーナツアーを開催する。2018年3月には台湾・台北アリーナ公演の開催も決定している。
2017年7月26日更新