音楽ナタリー PowerPush - GLAY

「MUSIC LIFE」特集

JIRO×ピエール中野(凛として時雨)対談

絶対にスタジオで夕飯は食わない!

ピエール GLAYってレコーディング現場の雰囲気がすごくいいですよね。いつもあんな感じなんですか?

JIRO いっつもあんな感じ(笑)。

ピエール中野

ピエール 本当にいいんですよ。メンバーやスタッフさんとのやり取りも建設的で、みんな仲良いし。この現場、いい人たちしかいないなって(笑)。

JIRO 亀田さんものっけから「イエーイ!」みたいな(笑)。

ピエール 「今日も張り切ってやっちゃうよ!」みたいな感じでしたよね(笑)。

JIRO でもそのおかげで、さらに現場の雰囲気が明るくなったよね。あと、エンジニアの工藤さんって方は、地元が僕らと一緒の函館で。そういうのもあって、みんなで仲良く楽しんでやってる感じ。でもさ……そんなレコーディングで唯一イヤなのがメシで。オレら、スタジオで夕飯を食べるのが大っ嫌いなんだよね。

ピエール えっ、なんなんですか、それは?(笑) なんでそんなに恨みがこもってるんですか?(笑)

JIRO なんだろうね……1997年に「HOWEVER」を1日半で完成させなければいけない切羽詰まった状況があって、そのときのレコーディングがトラウマになっているのかな。まあ結果的にはGLAYの代表曲になったけど、そういう経験があったから今は13時にスタジオ入りして、18時には帰るようにしてるんだよね(笑)。

ピエール 13時18時!

JIRO ちょっと作業が押しても絶対にスタジオでメシは食わない! 夕飯は酒なしで食べるものではないっていうね(笑)。

ピエール あはははは!(笑) 時雨のレコーディングでもそうなんですけど、夕飯食べるタイミングって難しいんですよね、確かに。

JIRO オレもTHE PREDATORSをやってると、夕方からスタジオに入ることが多くて。で、(山中)さわおさんが「じゃあ、ごはん頼もうっか?」と言うと、「やっぱそうですよね!!」って思う。

ピエール でもGLAYの現場はそれがない。確かにGLAYのやり方は合理的だし作業もはかどるし、そりゃ空気いいよなって思いますよ。しかも本当に18時に終わるんですよね。

JIRO だってスケジュールを立てづらくなるからさ、いつ終わるかわかんないみたいなのは。そこをいいふうに解釈するなら、メリハリみたいなことだよね(笑)。

ピエール 確かにメリハリがちゃんとある現場でしたね。

JIRO あとさ、1週間かけてすべてのリズム録りをすることがあるじゃない。でもオレはそれがイヤだったんだよ(笑)。1週間も集中力が続かないと思うし。だから今回は2曲リズム録りをしたら次の日はギターダビングをしてもらって、その翌日にまた2曲録るようにしてもらってる。

ピエール ああ、それはいいっすね。

JIRO こないだ亀田さんと対談したときに、「あのスケジューリングは素晴らしい!」って褒めてくれて(笑)。マネージャーたちは調整が大変だったかもしれないけど、それさえできればこのレコーディング方法は今後も続けたいなあ。

曲を作った人の気持ちをすごく理解している人

ピエール 僕のプレイって、どういうところが印象に残ってますか?

JIRO 初めてセッションしたときから言ってるけど、「運命論」のアプローチを聴いたときに「わっ、すごく曲のことを理解してるドラマーだな!」と。無駄に自分を主張しないシンプルな音で、「すごくいい!」と思ったのね。ピエールくんは「え、これでいいのかな?」と思ったのかもしれないけど。

ピエール いやいや、そんなことないです。

JIRO 普通は自分の爪痕を曲に残そうとすることがあるじゃない?

ピエール ああ、急にテクニカルな要素が入ったり?

JIRO

JIRO そのときにハマってるテクニックだとか、入れたくなるだろうから。でもピエールくんに関しては本当にそういったのがなくて。凛として時雨というバンドをやっていることもあって、曲を作った人の気持ちを理解している人なんだなと思った。テクニックももちろんすごいけど、押し引きみたいなところ、歌心をすごくわかってるなって。

ピエール 基本的にどんなアーティストさんの作品に参加するときも、楽曲に導かれるままのドラミングをしたいというのがあるので、それをちゃんと感じ取ってもらえてるのはうれしいですね。僕はJIROさんのプレイ、音がいいしリズムの芯がしっかりしていて、非常に合わせやすかったです。あの感じはピッキングがしっかりしてるからなんですか?

JIRO そう!? まあ、そこを佐久間さんにみっちり鍛えられたからね(笑)。

ピエール こんなに芯のあるベースを弾く方だったんだって、実際に合わせてみて強く感じました。あとライブパフォーマンスもすごいですよね。なんでちゃんと弾けるんだろうってぐらいに、パフォーマンスも激しいし。

JIRO でもガンガン間違えるけどね(笑)。昔は間違えてもクールな顔をしてたけど、今は「うわーっ、なんだよーっ!」ってすぐ顔に出ちゃう(笑)。こないだのGLAY EXPOでも、何百回、何千回と演奏してる「グロリアス」の、目立つパートで間違えたからね(笑)。

ピエール あるんですね、そういうことも。やっぱパフォーマンスを観て、ロックスターだなって思いますよ。我々にとってヒーローですからね。

今は「こんなに休んで大丈夫かな?」って不安に思うくらい

ピエール 最近のGLAYって作品も定期的にリリースしていて、ライブもかなり大規模なツアーを行っている。デビューから20年経ってそれをやり続けるのって相当エネルギーが必要だと思うんです。

JIRO でもね、世の中的にヒットソングを連発していた1998年、99年、2000年頃はこんなもんじゃなかったから。それと比べると、最近はそんなに忙しいって思ってないんだよ。逆に今は「こんなに休んで大丈夫かな?」って不安に思うくらいで。

ピエール 「もっとやれるのに!」って思っちゃうわけですね。

JIRO そう。でも今のペースでいいなあと思うけど(笑)。

ピエール バンドをやめる気配もまったくないですよね。

JIRO それはないね。ライブも楽しいし、レコーディングの現場もピリピリ要素がゼロだし。今回亀田さんが入ってくれて、ピエールくんとかほかのゲストドラマーも来てくれて、なんかピリピリじゃないけど、いい意味で緊張感が加わったかなって感じ。こういう楽しみ方ってすごくいいなって。

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TAKUROインタビュー
「MUSIC LIFE」参加ドラマーインタビュー
ニューアルバム「MUSIC LIFE」 / 2014年11月5日発売
「MUSIC LIFE」
2CD豪華盤 BALLADE BEST☆MELODIES / 3996円 / ポニーキャニオン / PCCN-00017
2CD豪華盤(G-DIRECT限定)BALLADE BEST☆MEMORIES / 3996円 / loversoul music & associates / LSCD-0018
1CD盤 / 2700円 / ポニーキャニオン / PCCN-00018
CD収録曲
  1. BLEEZE(Album Ver.)
    [作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光]
  2. 百花繚乱
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:松下敦]
  3. Only Yesterday
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行]
  4. 疾走れ!ミライ
    [作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光]
  5. 祭りのあと
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:永井利光]
  6. 浮気なKISS ME GIRL
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:高橋まこと]
  7. 妄想コレクター
    [作詞・作曲:HISASHI / ドラム:永井利光]
  8. Hospital pm9
    [作詞・作曲:TAKURO]
  9. DARK RIVER
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行]
  10. TILL KINGDOM COME
    [作詞・作曲:TAKURO / ドラム:中村達也]
  11. MUSIC LIFE
    [作詞:TAKURO / 作曲:JIRO / ドラム:永井利光]
GLAY(グレイ)

函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。メジャーデビュー20周年を迎えた2014年9月20日には、宮城で大型ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」を敢行した。同年11月5日、1年10カ月ぶりとなるオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリース。

ピエール中野(ピエールナカノ)

凛として時雨のドラマー。高度なテクニックに裏打ちされたドラムプレイやステージで見せる独自のマイクパフォーマンスで多くの音楽ファンの支持を獲得している。CHAOTIC SPEED KING、玉筋クールJ太郎のメンバーとしても活躍するほか、DJやコラム連載でもその才能を発揮。2011年より自主イベント「ピエールナイト」を開催している。2011年9月にドラム教則DVD+BOOK「Chaotic Vibes Drumming 入門編」「Chaotic Vibes Drumming 実践編」をリリース。2014年6月にさまざまなアーティストとのセッションを収録したミニアルバム「Chaotic Vibes Orchestra」を発表した。


2014年11月26日更新