音楽ナタリー PowerPush - GLAY
「MUSIC LIFE」特集
「MUSIC LIFE」参加ドラマーインタビュー
松下敦 インタビュー
参加曲
「百花繚乱」
──今回はどういった経緯でレコーディングに参加することになったんですか?
少し前のアルバム(「THE GREAT VACATION VOL.2」)に一度参加させてもらったことがあって、そのときは3曲ぐらいセッションしたんですね。そもそものきっかけは、GLAYの皆さんが同郷であるYUKIちゃんのライブによくお見えになっていて、僕がYUKIちゃんのサポートドラムをさせてもらっていたことだったと思います。それで僕のことが気になって呼んでくださった、と聞いていますけれども。1回目のときもすごく楽しく演奏させてもらいましたし、今年の2~3月ぐらいにまた呼んでもらいまして。「百花繚乱」は、デモテープの段階でかなりできあがっている感じだったので、「ここからどうしよう?」とは思いながら、スタジオに入って皆さんと一緒に演奏しました。
──最初にデモを聴かれたときの曲の印象はいかがでしたか?
「GLAYにしかできないような内容の曲だな」と思いましたし、そこに参加させてもらうのはすごく楽しみでした。そのときすでに「YAVAI! YAVAI!」という歌詞が入っていましたね。僕は長崎と東京と2カ所に暮らしていまして、そのレコーディングのときは長崎からスタジオに直行したんですね。飛行機でデモを聴いていたらすっごく揺れて、そのときに「YAVAI! YAVAI!」と耳元でTERUさんの声が聞こえていたのが印象的でした(笑)。
──レコーディングの際にメンバーからドラム演奏に対するリクエストはありましたか?
TAKUROさんからリクエストがあった気もしますが、そんなに細かいことはなくて、基本、「好きにいっちゃって!」という感じでしたね。僕は2回目ということもあったので、「こういう印象のドラムになるだろう」というイメージがあって呼んでいただいたのだと思いますし、「まずはちょっとやってみてから」みたいな。長く一緒にやられているメンバー同士の中での“曲の転がし方”があると思うんですが、そこにうまくハマればOK、という感じだったんじゃないでしょうか。そこに持っていくまで何パターンか試しながら録って行きました。でも、意外と早かったと思いますよ。確か、夕方の4時、5時には片付けて帰った気がしますね。
──メンバーの印象は、初めて会ったときと今回とで何か変わった部分はありましたか?
特にないと思いますね。メンバーの皆さんは昔からの知り合い同士でやってこられていて、ずっと共に成長している方たちだと思うんですよね。そのガッチリ具合というのがすごくうらやましいな、とは常々感じています。出会いから今まで、その印象が変わらないですね。
──今回いつもとセッティングを変えられた部分はありましたか?
いや、レコーディングでいつも使っている僕の好きなドラムを持って行きましたし、あまり特別なことはしてないですね。とにかく行って、ストレートに音を出すように心がけたというか。
──「百花繚乱」はビートが太い曲だからこそ、メンバーは松下さんの特徴を生かしてパワフルに叩いてもらいたかったのかなと思うのですが、いかがでしょうか?
それはそうかもしれないですね。ぶっとい感じ、というか。ただ、僕としては、GLAYの音の塊に一体化しようと思っていました。デモを聴いた段階で、独立しているものがあまりなくて、塊で転がっている印象を受けたんですね。だから自分はそこに“混ぜてもらう”というか(笑)。一緒に合体して転がっていく、みたいな感じを意識しましたね。
──完成した曲を聴かれた第一印象はいかがでしたか?
「GLAY節になっている」と感じましたね。強いメッセージがありつつも、すごく王道な曲という印象です。
──GLAYは松下さんのドラムに何を期待していたと思いますか?
難しい質問ですね。そうだな……求められていたのはきっと、“素直に没頭する感じ”じゃないですかね? GLAYの皆さんと一緒に演奏していると、“グッと力が入るな”と感じるポイントがあるんですね。そこに素直に反応して没頭するところでしょうか。
──GLAYのメンバーが生み出す独特のグルーヴ感、みたいなものがあるのでしょうか?
何と言うか……「ムワッ!」と来るときがあるんですよね。そこがすごく面白いところだなと思うんですけど。
──ほかのアーティストとも仕事をされている松下さんから見て、GLAYの音楽にしかない特徴や魅力だと感じるのはどんな点ですか?
やっている音楽にパーソナリティがにじみ出るのは誰しもみんなそうだとは思うんですけど、その感じがGLAYの皆さんの場合は特にあるんじゃないかな?と思いますね。やっぱり、長年一緒にやっている人たちの醸し出すものが曲にジワッと染み出ていて、その具合が相当強い。そういうところに混ざらせてもらうのは、普通はないことなので、貴重な体験だなと感じます。
──今回のレコーディングで一番印象に残っているエピソードやメンバーの言葉はありますか?
ネガティブな発言を誰もしない、というのは印象に残っていますね。グループでモノを作っていると、意見を折衷しなければならない場面もあると思うんですけど、その持って行き方からも“GLAY節”を感じました。「きっと、こうやってずっとやってきているんだろうなあ」と。実は20年くらい前に、僕がバイトをしていたリハーサルスタジオにGLAYの皆さんがリハーサルをしに来たことがあったんです。そのときは僕もバイトの店員だったので、「おお! GLAYだ!」と思ってただ見ていただけでしたけど(笑)。デビュー直後だったんでしょうかね? 「こういうところで練習したりするんだな」と思った記憶があります。
──今後再びGLAYとコラボするとしたら、「こんな曲がいい」といった希望はありますか?
彼らが作ったものに参加させてもらえるのであれば、もう「どんなタイプの曲でも」という感じですね。たぶん、「こういう曲だったら合うかな?」というのが、GLAYの皆さん側の前提のジャッジとしてあると思いますし、何をやっても僕はすごく楽しむ自信はあります。彼らと一緒に演奏するのはかけがえのないことですし、なかなかそんなチャンスはないですからね。
──最後にGLAYに対して一言メッセージをお願いします。
せっかく一緒の時代に生きて、たまーに惑星が接近するような感じで交わったりしていますが(笑)、これから先、いつ何時お会いしてもGLAYの皆さんはそんなに変わらないんじゃないかなと感じるんです。それって彼らのすごく素敵なところだな、と思うんですよね。だから期待することと言えば、「変わらんでほしい」「このまま突っ走ってもらいたい」ということですね。
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- ニューアルバム「MUSIC LIFE」 / 2014年11月5日発売
- 「MUSIC LIFE」
- 2CD豪華盤 BALLADE BEST☆MELODIES / 3996円 / ポニーキャニオン / PCCN-00017
- 2CD豪華盤(G-DIRECT限定)BALLADE BEST☆MEMORIES / 3996円 / loversoul music & associates / LSCD-0018
- 1CD盤 / 2700円 / ポニーキャニオン / PCCN-00018
CD収録曲
- BLEEZE(Album Ver.)
[作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光] - 百花繚乱
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:松下敦] - Only Yesterday
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行] - 疾走れ!ミライ
[作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光] - 祭りのあと
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:永井利光] - 浮気なKISS ME GIRL
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:高橋まこと] - 妄想コレクター
[作詞・作曲:HISASHI / ドラム:永井利光] - Hospital pm9
[作詞・作曲:TAKURO] - DARK RIVER
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行] - TILL KINGDOM COME
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:中村達也] - MUSIC LIFE
[作詞:TAKURO / 作曲:JIRO / ドラム:永井利光]
GLAY(グレイ)
函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。メジャーデビュー20周年を迎えた2014年9月20日には、宮城で大型ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」を敢行した。同年11月5日、1年10カ月ぶりとなるオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリース。
松下敦(マツシタアツシ)
1969年生まれ。1990年代中盤よりBuffalo Daughterのレコーディングに参加しているほか、YUKIをはじめさまざまなアーティストのライブやレコーディングに参加。2005年よりZAZEN BOYSのメンバーとして活動している。
2014年11月26日更新