音楽ナタリー PowerPush - GLAY
「MUSIC LIFE」特集
TAKUROインタビュー
GLAY特集のメンバー登場企画のラストを飾るのはリーダーのTAKURO。彼は最新アルバム「MUSIC LIFE」で収録曲11曲のうち7曲を作曲し、8曲の作詞を手がけるなどメインコンポーザーとしてデビュー20周年を飾る作品を深く豊かなものにしている。
今回ナタリーは、TAKUROインタビューを実施。9月20日に終わった「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」について、そして最新アルバム「MUSIC LIFE」についてたっぷり語ってもらった。
取材・文 / 中野明子 撮影 / 笹森健一
「GLAY EXPO」には出番と使命がある
──「GLAY EXPO」が終わって約2カ月が経ちますが、あの日はTAKUROさんにとってどんな1日でしたか?
実にGLAYらしいと言うか、10年ぶりに「EXPO」を開催するにあたって目標にしていたことがクリアできた1日でしたね。地元の人を巻き込んで、“ただのコンサート”ではないことができたと思います。今回の「EXPO」はいまだに完全に復興できていない東北の現状を伝えることや、僕らが東北でライブをすることで復興の歩みを押し進められたり、亡くなった人の鎮魂だったり、今までのGLAYが受けてきたものへの恩返しができればと思いながらやってたんで。僕らが目指したその部分は、かなり理想的な形でできたかなと思います。
──それは観ている側としても感じました。
去年の函館(「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」)や一昨年の長居スタジアム(「GLAY STADIUM LIVE 2012 THE SUITE ROOM in OSAKA NAGAI STADIUM supported by glico」)以上に、ライブが終わってからメンバー全員がへとへとだったし。2011年の東日本大震災以降にたくさんの人が感じたことを、やりきれない思いも含めてライブを通して受け止めようと思ってたんだよね。特にTERUなんかは一身に受け止めようとしてて。1人の人間が受け止めるには限界があったんだけど、それでも東北のために歌いたいっていう思いを彼が一番抱えていた。あの場では魂レベルでのやり取りもあったと思う。だからこそ、今まで3回開催したどの「EXPO」よりも、音楽ができることの可能性の限界に到達できたと思う。
──GLAYが行ってきた震災以降の活動の答えを「EXPO」でひとつ返したのかなという気がしました。
「EXPO」を開催するとなるといろんな“枕詞”が付くんですよ。初回は20万人を動員したとか……ね。でも今回は「EXPO」にそういった枕詞を付けていろんなところで話すことで、東北に目を向けてもらいたいという思いがあったんです。ただ単にデビュー20周年記念ライブをやるのではなくて、「EXPOですよ、10年ぶりですよ」しかも「20万人規模で始まったライブですよ」ってことをアピールして。「そんな歴史のあるライブなら行ってみようかな。GLAYのことあまり知らないけど」って思って来てくれた人がたくさんいたのは事実なんで。日本全国の人を集めて、東北のやるせないことや、厳しい現実の部分を10伝えられるとしたら、それと同じくらい優しくてうれしくて幸せなニュースを「EXPO」を通して知らせたかったんですよ。2020年のオリンピックに向けて日本は進んでるのに、今の東北って建築資材がそっちにシフトしてしまって、一向に住宅の建設が進まないっていう現実がある。その一方で借金してでも船を買って、震災前以上の漁獲量を目指してがんばってる漁師の人もいる。そういった2つのニュースをGLAYという枠を通して伝えていくことを目標として掲げてたんですね。もちろん勉強不足なところもあったけど、「EXPO」の名前を利用することで、その目標のかなり近いところまでいけた気がします。
──終わってから今後の「EXPO」についてのアイデアが浮かんだりは?
10年ぶりに「EXPO」をやってみて、これはビジネスという枠に乗せて何年かに1回必ずやるものではないなって思いましたね。ちゃんと使命を持ってやるものであって、「EXPO」でなければできないことや、ふさわしい“出番”があるんだなって。2004年にユニバーサル・スタジオ・ジャパンで「EXPO」をやったときに、規模感やライブのやり方のひとつの完成を見て、そのあとで解体する方向にいったんですね。「EXPO」の中で繰り広げたカフェやショップを「LiB CAFE(※注1)」という形にわけて、僕らが活動してない間でもファンの人たちが楽しめる場を作ったり、「EXPO」規模のライブを「HOTEL GLAY(※注2)」でやってみたり。GLAYほど時代に寄り添うことなく、自分たちのペースでやってるバンドもなかなかいないと思うんですよね。でも今回のように時代と合致する瞬間もあって、そういうときが「EXPO」の出番なのかもしれない。だから次は5年後なのかもしれないし、20年後なのかもしれないし……。今は誰も答えられないと思います。
──今年やってみてその役割を確認したと。
そうですね。また時が来れば開催すると思いますけど、なんせ終わったばかりですからね(笑)。
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- ニューアルバム「MUSIC LIFE」 / 2014年11月5日発売
- 「MUSIC LIFE」
- 2CD豪華盤 BALLADE BEST☆MELODIES / 3996円 / ポニーキャニオン / PCCN-00017
- 2CD豪華盤(G-DIRECT限定)BALLADE BEST☆MEMORIES / 3996円 / loversoul music & associates / LSCD-0018
- 1CD盤 / 2700円 / ポニーキャニオン / PCCN-00018
CD収録曲
- BLEEZE(Album Ver.)
[作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光] - 百花繚乱
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:松下敦] - Only Yesterday
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行] - 疾走れ!ミライ
[作詞・作曲:TERU / ドラム:永井利光] - 祭りのあと
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:永井利光] - 浮気なKISS ME GIRL
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:高橋まこと] - 妄想コレクター
[作詞・作曲:HISASHI / ドラム:永井利光] - Hospital pm9
[作詞・作曲:TAKURO] - DARK RIVER
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:村石雅行] - TILL KINGDOM COME
[作詞・作曲:TAKURO / ドラム:中村達也] - MUSIC LIFE
[作詞:TAKURO / 作曲:JIRO / ドラム:永井利光]
GLAY(グレイ)
函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。メジャーデビュー20周年を迎えた2014年9月20日には、宮城で大型ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」を敢行した。同年11月5日、1年10カ月ぶりとなるオリジナルアルバム「MUSIC LIFE」をリリース。
2014年11月26日更新